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「私も買いました」という勧め方はしない
~店員はプロの消費者たれ

  • 和田 けんじ

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2007年12月10日(月)

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 東急ハンズの店頭は、たくさんの商品で埋め尽くされています。

 一見したところ、「すっきりしていて見やすい」とは言いづらいかもしれません。しかし、こうして大量の商品を並べることの背景に、東急ハンズの従業員の本質が見えます。

 それは、「プロの販売員」ではなく、「プロの消費者」としての目線で、商品を仕入れ、販売しているということです。前回最後に申し上げた、「現場の従業員の能力」の根本は、まさにこれのことです。

 小売り・流通業未経験者によって構想され、立ち上げられた東急ハンズは、幅広く・専門的な品揃えをその大きな特徴とし、それを補完させるため、商品知識や実際の使用経験を持った従業員を採用しました。

 彼らには、小売業・接客業の経験がありませんでした。しかし、彼らは今まで多くの商品を使って仕事をしてきた、「プロの消費者」でした。

 東急ハンズは、彼らに「お客様のご要望にお応えすること」「お客様にとって何が良いことか考える」ことを徹底しました。つまり、「お客様のお役にたつ」ために、「プロの消費者」としての彼らの知識・経験が生かされたのです。

 「プロの販売員」は、販売のプロなのですから、「売る」ということが最大の目標です。「売る」という結論から逆算し、「何を仕入れ」「どう接客するか」を考えます。しかし「プロの消費者」は、そうではありません。「何が使いたいか」「何をお勧めしたいか」によって、「何を仕入れるか」「どう説明するか」を考えます。

 ここには、同じようで大きな違いがあるのです。

売上高を稼ぐ品揃えと、「買いたい商品」の品揃え

 「小売り・流通のプロ」の方たちは、「商売」に徹するあまり、数字を作れる商品にどうしても目が向きます。この結果、消費者の本当の需要に鈍感になりがちな面があります。しかし、「商品の知識・使用経験を持ったプロの消費者」である東急ハンズの従業員は、「消費者の目線を保持し続けている」ため、「お客様の需要・ご要望」に素直に対応しました。

 このことは具体的には、品揃えとして表れます。

 百貨店やおしゃれな雑貨店などでは、「商品を良くみせる」ために、ディスプレイに工夫がこらされます。その商品を売りたいのですから、いかに良く見せるかが大切です。少しでも良く見せて、買っていただきたいのです。

 必然的に、「売りたい商品」「見せたい商品」を、「より良く見せる」ことが大事になります。その結果、あまり多くの商品を同じ場所に並べるということをしません。十分にスペースをとり、一点一点を際立たせるのです。

 しかし、東急ハンズは違います。そもそもお客様のニーズは、「価値観」や「生活様式」「趣向」などによって、人それぞれ本当に様々です。

 東急ハンズのように、「売ること」だけを前提とせず、「多様なお客様のニーズ」に対応しようとすれば、品揃えは幅広くならざるを得ません。さらに、「プロの消費者」の視点から、「使っていただきたいもの」「お勧めしたいもの」も品揃えするため、商品の種類は必然的に多くなり、同じ場所にたくさんの商品が並べられます。

 こうして、東急ハンズの店頭は、たくさんの商品で埋め尽くされます。百貨店のように「それぞれをいかに良く見せるか」ではなく、「いかに多くの選択肢を用意するか」によって、多様なご要望にお応えしているのです。

 私も先輩から、良い従業員の条件のひとつは、「いかに多くの商品を提案できるかだ」と教えられました。そのために、商品情報や世の中の需要の動きを、正確かつ迅速に掴む努力をしてきました。

 そして、もうひとつ大切なことがあります。

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