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第22話 「ロボットなんかに頼っているからダメなんだ」

2007年12月12日(水)

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◎前号までのあらすじ

達也は間中専務から転勤を命じられ、愛知工場の副工場長に就任した。なぜか愛知工場は、単価の低いコネクターと可変抵抗体の生産に力を入れ、競争力が高く単価の高いマイクロスイッチは積極的に生産しようとしない。だが、工場では機械ごとに利益を管理しており、工場全体として黒字になっているという。

 達也の席に三沢がやって来た。
 三沢は「団君、そろそろ行こうか」と言って、帽子を差し出した。

 「製造現場は、材料の流れに沿って見学するとよく分かるんだよ」
 三沢が最初に案内したのは、部品倉庫だった。そこは段ボールの箱が所狭しと置かれていて足の踏み場もなかった。

 「これ全部、会社の材料ですか」と、達也が聞いた。
 「正確に言えば、あそこの検収済みの部品がうちの材料在庫で、こちらの検収前の部品は業者のものだね」
 「検収ですか…」

 もちろん達也は「検収」という言葉は知っている。しかし、検収という行為がどのような意味を持つものかは知らない。

 そんな達也の戸惑いを察してか、三沢は説明をした。
 「業者から届いた部品が、質も量ともに問題ないとは限らないからね。だから、受け入れ検査をするんだよ。問題がなければ会社の在庫として受け入れる。この手続きが検収だ」

 もし届いた部品が注文した条件を満たしていなければ、返品することもあれば、値引きを要請することもある。

 「そう、検収は関所のようなものと考えればいい。不良品がここをすり抜けたら、わが社の損害として降りかかってくるからね」

 (関所か。うまいことを言うな)と、達也は感心した。

 確かに、製品の品質の大部分は、使う材料で決まる。不良品は入り口で食い止めないと、あとが大変だ。
 「不良部品を使って製品を作っても、出荷検査をパスしない。もし、この出荷検査をパスしても、得意先から返品される。そうなると捨てるしかない」
 不良品の発見が遅くなればなるほど損害は膨らむのだ。

 「そうなると材料代も、加工費も、すべてジェピーが負担することになるのですか?」と、達也が聞いた。

 「明らかに部品不良が原因していれば、材料代は仕入れ業者に請求することになる。しかし、受け入れ検査をしっかりしていれば、加工作業はせずに済んだはずだ。不良品を作るために機械を動かし、作業者が働いたわけだから、もったいない話だ。こんなムダをなくすために、検収は重要なんだよ」

 三沢の説明を聞きながら、達也はビジネススクールで勉強した事例を思い出した。食品加工を営む会社は食の安全のため、徹底して「入り口管理」をしているという話だ。
 材料を受け入れる時に徹底的にチェックしておけば、社内の安全管理だけに神経を集中できる。そうすれば、出口管理は少ないコストで済む、というものだった。
 電子部品メーカーであっても、理屈は同じなのだ。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第22話 「ロボットなんかに頼っているからダメなんだ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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