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【第10回】つわり体験でワークライフバランス再考

2007年12月12日(水)

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 10月、11月は筆者の都合で本連載をお休みさせていただき、お詫びいたします。理由は妊娠によるつわりでした。今回はこの体験を踏まえて、記事を書かせていただきます。

*  *  *  *  *

 妊娠そのものは計画通りだったので、驚きはなかった。昨年の7月から今年の7月末まで1年間、調査のため米国に留学していたが、この間に数十人のワーキングマザーに話を聞いた。周囲には妊娠中も元気に仕事をし、また育児をしながら仕事を続ける同僚や先輩が何人もいた。彼女たちを見て、「妊娠・出産しても、私も何とかやっていけるだろう」と比較的安易に考えていた。

 ところが全く想定外だったのが、つわりである。妊娠3カ月に入った9月から10月にかけては、ほぼ毎日吐き続けることになった。最初の頃は、食べたものはすべて吐くため食事は取れず、ひどい時にはお茶やジュースですら受け付けなくなった。久しぶりに会った家族は、私を見て「一瞬、誰だか分からなかった」と驚いた。

 起きている間は常に車酔いのような状態が続くため、9月末からは出勤することが不可能になった。11月、5カ月目に入ってやっと体調が安定し職場に復帰したが、これまで吐いた回数は128回に達した。嘔吐が100回を超えた頃、「もしかすると、これが原因で仕事を辞める女性も多いのではないか」と感じたほどだ。

 働く既婚女性の退職理由は「出産・育児のため」が最も多く、86.7%に達する(厚生労働省・平成15年「第2回 21世紀成年者縦断調査」)。こうしたデータを見て、これまでは「仕事と育児の両立が大変だから、仕事を辞めざるを得ないのだろう」と解釈していた。しかし実際に自分が妊娠を体験してみると、つわりがひどくて仕事を続けられなくなる人がかなりいるのではないか…と思えてきた。

 つわりとは、妊娠初期の胃のむかつきや食欲不振、味覚の変化や不快感のこと。妊娠して5~6週目(1カ月半くらい)から、15~16週目(4カ月くらい)くらいまでだが、期間は個人差がある。

 妊婦の8割は、何らかのつわりを経験するとされる("Morning Sickness: A Mechanism for Protecting Mother and Embryo", S. Flaxman and P. Sherman, Quarterly Review of Biology, 75(2), 2000. *)。

 期間だけでなく、症状も個人差が大きい。眠いだけで気分は全く悪くならなかったという人もいれば、点滴を必要としたり入院する人まで様々だ。私の場合は、自宅療養で済む範囲としてはかなり辛かった方だが、もっと大変な人もいる。保育所整備などの育児支援はもちろん大事だが、女性の就業継続を本気で望むなら、産む前からの支援をメニューに入れるといいかもしれない。

 日産自動車は2006年から、妊娠が分かった時点で産休に入れる「母性保護休職」制度を設けた。同社ではカルロス・ゴーンCEO(最高経営責任者)の下、「女性活用」を進め、工場の生産ラインにも女性が増えた。彼女たちが辞めずに働き続ける施策を取り入れるのは、人材戦略の観点からは自然な流れと言える。つわりを体験した後では、こうした制度がいかにありがたいか理解できる。

* 脚注:56の先行研究をまとめている

 今回痛感したのは、男性のワークライフバランスの重要性だ。私の場合、夫が多くのことを助けてくれたので、本当にありがたかった。自宅近くの産院や分娩に適した病院を探し、直接足を運んで予約を入れ、妊婦健診には4回付き添ってくれた。ほとんど寝たきりの私に代わり、区役所へ母子手帳を取りに行ったのも、ネットから妊娠や出産情報を集めてくれたのも夫だった。

コメント17件コメント/レビュー

こちらの記事を読み、私の気持ちを代弁してくれたと涙がでました。私は最近妊娠、そして流産を経験しました。妊娠を社長に告げたとき、社長は「子供を生む女性を支援していかないとね」と厚意のある言葉をかけてくれたにもかかわらず、つわりがひどく1ヶ月の間週に2日だけ出社という勤務形態にしてほしいという話がこじれ、「つわりで休むなんて聞いたことがない」から始まり、結局ねちねちと労働基準法では・・となり、有給休暇があるから、有休でとられたら、止める権利はないと社長が言い、しまいには診断書を出せだのと言われました。そして、その後は私は仕事をほされ、今まで担当していた事の会議にさえも呼ばれなくなり・・。これはパワハラだよと同僚に教えられました。小さな会社なだけに、一人あたりの責任が重いので、自分が休むと他の人へ迷惑がかかることは必至です。妊娠して初めて、責任感から、働きづらくなるということに気がつきました。男女雇用均等といいましても、女性は子供を産むときは、均等にしてもらう事で逆に心の負担が増える気もしました。こういう場合、自分が会社にとって欠かせない存在となる仕事の技量が必要なのでしょう。ただ、そこまでは今一歩という女性は、労働基準法を盾に堂々と休むことと、実際の業務での同僚への負担増という現実でジレンマに苦しむのではないでしょうか?(2008/04/15)

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「【第10回】つわり体験でワークライフバランス再考」の著者

治部 れんげ

治部 れんげ(じぶ・れんげ)

経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社で16年間、経済誌記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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こちらの記事を読み、私の気持ちを代弁してくれたと涙がでました。私は最近妊娠、そして流産を経験しました。妊娠を社長に告げたとき、社長は「子供を生む女性を支援していかないとね」と厚意のある言葉をかけてくれたにもかかわらず、つわりがひどく1ヶ月の間週に2日だけ出社という勤務形態にしてほしいという話がこじれ、「つわりで休むなんて聞いたことがない」から始まり、結局ねちねちと労働基準法では・・となり、有給休暇があるから、有休でとられたら、止める権利はないと社長が言い、しまいには診断書を出せだのと言われました。そして、その後は私は仕事をほされ、今まで担当していた事の会議にさえも呼ばれなくなり・・。これはパワハラだよと同僚に教えられました。小さな会社なだけに、一人あたりの責任が重いので、自分が休むと他の人へ迷惑がかかることは必至です。妊娠して初めて、責任感から、働きづらくなるということに気がつきました。男女雇用均等といいましても、女性は子供を産むときは、均等にしてもらう事で逆に心の負担が増える気もしました。こういう場合、自分が会社にとって欠かせない存在となる仕事の技量が必要なのでしょう。ただ、そこまでは今一歩という女性は、労働基準法を盾に堂々と休むことと、実際の業務での同僚への負担増という現実でジレンマに苦しむのではないでしょうか?(2008/04/15)

私もつわり、妊娠による仕事のペースダウンを経験し、現在育児休暇中です。このコラムは私が当時感じていたことを代弁してくれているかのような記事で、胸がすっとしました。筆者さんは、つわりを経験して初めて見えてきたものがある、ということをおっしゃっていますが、私もそうでした。「女性がなぜ働きにくさを感じていて、なぜ辞めるのか」に頭を悩ませ、考えている多くの人の中にも実際の妊娠出産の経験実感が無かったり、辛さの個人差まで認識できていない人も多いのではないかと思います。育児の大変さについてもしかりです。実際に経験した者がその辛さ、欲しい援助、支えてもらえた感謝等について、それを考える人(経営者、管理職、人事担当の方等)に届く場所で声を出していく必要を感じました。(2008/03/20)

おめでとうございます。正社員であるという事は、妊娠・出産を含めたフォローまで責任を持つ、という事です。休暇中、仕事が7割しか出来ないから、給与も7割で良い、というのは全体を見ていません。元々、パフォーマンスを100%出せる人は稀有ですし、パフォーマンスの低下理由が、本人だけに起因しているものでもありません。(2008/02/13)

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三品 和広 神戸大学教授