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迫り来る“大公開時代”にどう対応する

米国のIPOで10社に1社は中国企業

  • 杉田 庸子

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2007年12月18日(火)

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 2007年の米国の株式市場は、夏以降のサブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)焦げ付き問題の影響を受けて乱高下を繰り返しているが、IPO(新規株式公開)に関しては、数を見る限り大した影響を及ぼしていない。むしろ好調と言える状況だ。

■米国のIPO数の推移

 米国の株式公開ニュースサイト、IPOホーム・ドット・コムのデータによると、2007年に米国内市場で新規に株式公開をした会社は、12月7日時点で221社となっている。ドットコム・バブルで年間に406社の株式公開があった2000年以降、最多の株式公開を記録した。

 2005年から2006年にかけては、財務報告の内部統制を規定するサーベンス・オックスレー(SOX)法によって、米国内のIPOが減少すると産業界が憂慮していた(当連載2007年2月26日付け「それでも必要な内部統制」参照)。結果的には2007年中の企業改革法の運用緩和などと足並みを合わせるように、米国の新規株式公開市場が勢いを盛り返してきたように見える。

米国証券市場のIPO、20%は外国籍

■IPOの規模

 2007年は外国企業による米国でのIPOも盛んだった。2007年12月7日までの外国企業の株式公開は49社、全新規公開221社の20%が外国籍の企業なのである。外国企業の中で最も株式公開が多かったのは中国企業の23社で、次点のイスラエル企業の6社に大きく差をつけた。実に、2007年に米国で公開した企業の10社に1社が中国企業だったことになる。

 2007年に米国で新規に株式公開を行った企業の平均パフォーマンス(売り出し価格と現在の株価との差額)は13%となっている。中国企業の中には、これをはるかに上回るパフォーマンスを上げた企業も多く、投資家からの高い注目を反映していると言えそうだ。

新規公開企業の会計スキャンダル勃発、市場の警戒も

 その一方で、中国企業への投資過熱を牽制する動きも出ている。12月に入って行われた中国企業2社のIPOでは、公開初日の売り出し価格を予定公募価格より切り下げなくてはいけなかった事実から、投資家が中国企業の新規公開株への慎重な動きを見せ始めているとするメディアもある。

 2007年10月17日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、「利益の信頼性はどの程度あるのだろうか」「ドットコム・バブルの二の舞にはなるまいか」という懸念を示すアナリストの声を紹介している。実際、利益の信頼性については、上場後半年を経ずして元従業員からの告発で不正会計の疑いが明るみに出て、大きく市場の信頼を揺るがす企業も現れた。

 2007年5月17日にニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場したLDK ソーラーは、中国南部江西省に拠点を置く太陽熱発電用のシリコンウエハーを製造する企業である。クリーンエネルギーへの関心の高まりを受けて、同社の株式は公開後4カ月で73.95ドル、売り出し価格の3倍近い高値をつけた。

■2007年の主な中国企業の米国での新規株式公開
企業名 Giant Interactive Group LDK Solar China Nepstar Chain Drugstore China Nepstar Chain Drugstore Xinhua Finance Media Limited
創業 2004 2005 1995 1998 2005
地域 上海 江西州
新宇城市
深セン Bauding,China 上海
新規株式
公開日付
10/31/2007 5/31/2007 11/8/2007 6/7/2007 3/8/2007
売り出し価格
(ドル)
15.50 27.00 16.20 11.00 13.00
現在の株価
(12月7日)
13.00 45.75 16.52 31.91 6.80
株価増減率
(%)
-16.01 69.40 2.00 190.10 -47.70
調達額
(億ドル)
8.9 4.7 3.3 3.2 3.0
業種 ソフトウエア エネルギー 小売(ドラッグ
ストア)
エネルギー メディア

※企業名をクリックするとIPOホーム・ドット・コムの情報ページへ飛びます。

 しかし、その動きに水を差す動きが秋に表面化した。2007年9月下旬、同社の元財務部長チャーリー・シツ氏が、LDKソーラーがシリコン素材の棚卸し資産を正しく評価していない疑いがあるとSEC(米証券取引委員会)と同社の外部監査人であったKPMG香港事務所へ告発文を送ったのである。 

株価は一時、半値以下に

 棚卸し資産の評価に関しては、米国会計基準では低価法を強制適用しており、これによって取得原価と時価を比べて、低い価格の方で財務諸表に計上することになる。シツ氏の主張では、同社の保有する棚卸し資産の3分の2以上は購買後180日以上がたつ古い在庫で、シリコンウエハーの作成には投入できない品質であり、大きく評価を切り下げるべきものだという。

 同社はコストを削減するため、スクラップのポリシリコンを原料として購入しており、その評価が甘かったとシツ氏は主張している。LDKの棚卸し資産は2007年3月時点で1億1421万ドルと、総資産の34%を占める。このうちの3分の2の評価を切り下げることとなると、同社の財務諸表に与える影響は非常に大きいだろう。

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