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第24話 「斑目部長は数字の魔術師って呼ばれていますからね」

2007年12月26日(水)

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◎前号までのあらすじ

達也は間中専務から転勤を命じられ、愛知工場の副工場長に就任した。工場長の三沢は元々優秀な技術者で、商品競争力のある高機能「スイッチ」の発明者でもあった。しかし愛知工場はスイッチを積極的に生産しようとしない。それだけでなく、三沢は間中によって閑職に追いやられていた。工場を案内された達也は、倉庫に在庫の山が積まれ、ロボットが稼働せずに放置されているのを目の当たりにした。

 副工場長室に戻ると、達也は疑問に感じたことをノートに書き出した。

 材料倉庫には、必要以上と思われる大量の部品が置かれている。製品倉庫にも在庫があふれ返っている。
 製造現場には10台のロボットが設置されていたが、このうち8台が、コネクターと可変抵抗器を製造するロボットだ。ところが、そのうち4台は止まったままだ。
 しかも、機械倉庫には10台を超える錆だらけのロボットが無造作に放置されている。

 間中がムキになって進めている新しいビジネスはうまくいっていない。そう考えても不思議ではない。

 ところが木内は、この工場は利益が出ているし、生産している製品はすべて黒字だと言っていた。

 (やはり数字をいじっているな)

 達也は、間中がどんな手を使ったのか考えてみた。答えはすぐに浮かんだ。

 彼はMBAのテキストに載っている典型的な利益捻出術を使ったに違いない、と達也は考えた。つまりこういうことだ。

 製品在庫が増えるということは、生産量を増やしていることにほかならない。
 工場で生じるコストは、材料費のほかに人件費と経費がある。
 これらは、生産量が増減しても毎月ほぼ一定額かかる固定費だ。

 例えば、1カ月の固定費を100万円とする。生産量が1000個ならば製品1個当たりの固定費は1000円だ。だが、もしも生産量を10倍に増やせば、1個当たりの固定費は100円になる。
 つまり、生産量を増やすほど製品原価は安くなり、利益が増えることになる。

 (この手を使ったんだな)

 その時、木内が書類を持って部屋に入ってきた。
 「来週の棚卸しの実施要領です」と言って達也に手渡した。
 「木内さん。ひとつ教えて頂きたいのですが」
 「私が知っていることなら」

 「以前、木内さんは、この工場も、ここで作っている製品も利益が出ているって言ってましたよね」

 「ええ、その通りですが」
 木内はきょとんとした顔で答えた。

 「そこでひとつ聞きたいのですが、木内さんは本当にこの会社は黒字だと思っていますか?」
 達也は単刀直入に聞いた。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第24話 「斑目部長は数字の魔術師って呼ばれていますからね」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官