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第7回:買収先探しは、本業・自前主義から離れる勇気を!

  • 西村 裕二

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2007年12月20日(木)

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 赤福、白い恋人、船場吉兆など、伝統ある老舗食品ブランドの偽装問題が話題になっている。同じ食品業界のドトール・日本レスホールディングスの鳥羽 豊社長は、11月に放送された「カンブリア宮殿」でこの問題について、不祥事を起こした企業は「儲けが第一」としていることに原因があると言及していた。そして企業には「『お客様第一、儲けは後』という顧客志向の価値観が社内に浸透していることが重要だ」とも指摘されていた。確かに経営者・従業員に価値観が共有されていないと不祥事が起こりやすい。

 もう1つの不祥事を起こす企業の共通点は、成長が止まった市場にずっと居続けた企業だ。好業績を続ける企業は、以下に見るように新しい事業領域に継続的に挑戦し、組織に新風を吹き込んでいる。

好業績は、常に次の屋台骨となる新事業を発掘し続けるおかげ

 アクセンチュアが実施したハイパフォーマンス企業調査によれば、継続的に好業績を続ける企業は常に、既存事業が好調なうちに、次の屋台骨を担う新しい事業に進出している。

 多くの優良企業は、事業領域が創業当時とは大きく異なっている。トヨタが織機事業を起源とし自動車事業へ進出し、ホンダが二輪から四輪、任天堂が花札からファミコン、サントリーが赤玉ワインから総合酒類・飲料事業へ進出したことは周知のところだろう。だが、ユニチャームが建材から生理用ナプキン、ノキアが製紙パルプ業からゴム事業を経て、フィンランド・ケーブルワークスという企業を買収し、通信事業・携帯電話に進出したのは意外と知られていないのではないだろうか。これらの企業が創業当時、現在のような事業領域となることは誰も予想できなかっただろう。

 ではどうやって新しく屋台骨となる事業を作ればいいか?自力で開発するか、M&Aを活用して展開するか。経営者が悩むポイントだ。

 結論を言えば、自分の進出したい事業領域の企業が「外で買える」のであれば、買収というオプションをとるべきで、自社が最もうまくできる事業進出のみ「自前」で行うべきだと思う。

 多くのグローバルの好業績企業はM&Aを有効に活用して、どんどん新しい事業をスピーディーに立ち上げているという事実を考えると、外で買えるものに対し、わざわざ自らの時間と資源をかける意義は小さい。M&Aにより新たなケイパビリティ(強み)を学ぶのだという発想に立てば、M&Aの対象は本業の周辺事業だけでなく、本業から大きく離れた事業への参入も可能になる。更に言えば、本業と離れた事業へ大きく事業転換を図ることこそM&Aの醍醐味だといえる。

 M&Aの話を始める前に、自前で見事に周辺事業への事業展開をしてきたナイキの事例をご紹介したい。ナイキはとても整然とした事業展開シナリオを持っている。

 ナイキはバスケットボールシューズの事業からウエア、用具へと展開した。そして、同じ順序でバスケットボールから野球、サッカー、ゴルフへと展開している。この順序の意味合いはオリジナルの事業領域である靴で新しいスポーツエリアに参入し、ウエアでそのスポーツでの認知度を高め、専門性・ブランドの必要な用具に展開するということだ。このように周辺領域に十分市場が見込める、成功への展開シナリオが描ける場合は自前での事業展開が向いている。こうして、ナイキは、1987年から2002年までの15年間での営業利益の平均年成長率14%という素晴らしい業績を達成した。

企業探索は成長戦略と密接にリンク。他人任せでいいの?

 さて、そろそろ前回「買収先は「強くて、尊敬できる会社」を選べ!」を受けて「ではどうやって対象となる企業を探すのか」という話に入ろう。

 企業探索は一般的に定型的な作業と捉えられていて、企業探索の作業を投資銀行など、M&A仲介業者に丸投げする場合が多い。業界等の希望要件を伝えると、企業名やPBR,PER,EBITDA倍率などの企業の高い・安いを判断する財務情報をリストアップしてもらえる。再生によるバリューアップを目指す場合は、このアプローチでいいのであろう。

 しかし、ケイパビリティの獲得を目的とした買収では、候補者探索と成長戦略は密接にリンクする。M&Aによる成長戦略の実現には具体的に買収できそうな企業に目処がたっていることが必要であり、候補企業の裏づけがないと机上の空論になる。また、経営幹部の方が仮説として持っている買収候補企業をベースにボトムアップ的に成長戦略を構築することも有効である。

 成長戦略は候補企業探索と同時にインタラクティブに行われるもの、つまり「自社の戦略を他者に任せていいんですか」ということだ。M&Aによる成長を考える場合、候補企業探索は成長戦略立案と同程度に重要な作業であり、他社に投げずに自力で行うべきだ。

 それでは以下、候補企業探索を一体どのような考え方で行うべきかについて説明したい。

 まず、ケイパビリティ獲得を目的とした買収で候補となる企業には魅力的な会社が多く、他企業からもたくさん声がかかっているため、売ってくれる可能性がとても低いことを覚悟せねばならない。となると、候補企業の幅を広げておくことが何よりも重要だ。

 幅の広げ方は大きく分けて二通りになるだろう。

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