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Vol.8 あなた自身が「誰でもメディア」の勝者になるには?(前編)

  • 小林弘人

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2008年1月17日(木)

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 前回までで、「誰でもメディア」時代には有人メディアのみならず、無人メディアでも優れたメディアが組成できるという話をしました。そして、容器(メディア)の進化と共に編者のスキルというものが変容しているということを述べました。

 そして、「誰でもメディア」のライバルは「誰でも」だからこそ、頭ひとつでも抜きん出ることの難しさにも触れました。今回は、アマチュアだらけの「誰でもメディア」から、それだけで食べていこうとするプロフェッショナルな「誰でもメディア」(特に有人メディア)に絞って、述べます。

メディアにおけるロングテールは、トルソー(胴体)が美味

図1 ロングテール・モデル

図1 ロングテール・モデル
Picture by Hay Kranen / PD
http://en.wikipedia.org/wiki/Image:Long_
tail.svg

 本稿をお読みの皆さんは、すでにご存知かと思われますが、一時期喧伝されたロングテール・モデルを頭に思い浮かべてみてください。それは恐竜をイメージし、左に頭の部分が、そして右側に長いシッポが延々と続くグラフになります(図1)。縦軸が商品の販売数量として、横軸が商品名として説明されることが多いでしょう。

 つまり、人気商品は左寄りに集約され、全体的にも少ない商品数にも関わらず、圧倒的に売れまくっています。それが右に移るほどニッチ商品となるわけです。ただし、ネット上ではニッチ商品でも検索機能により需要と供給のマッチングが行ないやすいため、ロングテールによるレバリッジ(てこの原理)が効いてきて、従来では見過ごされてきたニッチ商品の売れ行きの総和が左の上位人気商品に劣らず見込まれるのです。

 品揃えの豊富なアマゾン、決して有名ではない個人サイトへの出稿を膨大に行なうグーグル、アフィリエイト広告を展開する企業群など、ロングテールで稼ぐというビジネスモデルは、インターネット人口の増えた21世紀以降のウェブ企業の特徴でもあります。

 米テクノラティの前CEO、David Sifry氏は、このロングテール・モデルをウェブ上のメディア群の分布に見立てました。

 彼は、左にマスメディアが運営する有名メディアが集中し、右のロングテールが個人の日記などを含む無数のブログというように自身のブログで分類し、そのなかで、真ん中の胴体(トルソー)が膨らみ続けていて、それらのトラフィックやバックリンクが増えているという説明と共に、その部位を「マジックミドル(魔法の真ん中)」と呼んだのです。

ロングテール時代のメディア・ボリューム・ゾーン

 メディアの送り手として見た場合、ロングテール・モデルのヘッド(グラフの左側)は寡占的なメディア企業によって占められています。そして、テール(右)には名も無い個人がずらりと続きます。ヘッドがほとんどのトラフィックを占めしていますが、ここはごく一部のポータルサイトやニュースサイトなどで構成されているので、ウェブ総体の数からいえばごくわずかです。そのため、短い首(ショートヘッド)となるわけです。また、数多あるロングテールの人々が必ず利用するサービスを提供する「規模のビジネス」を行える大企業(アマゾン、グーグルなど)によってテールからの収益は占められています。

 前出のDavid Sifry氏は、「マジックミドル」は、影響力の高いブロガーやニッチな分野のブログの集合体だと説明します。さらに付け加えれば、Sifry氏の定義では、マジックミドルには15万5000のブログが相当し(2006年時点)、それらは20以上1000以下の他のサイトから貼られたリンクをもつブログだそうです(sifry.comより)。

 私が思うに「誰でもメディア」時代の以前より、世の中にはすでにブランドネームをもつショートヘッドとボトムエンドのロングテールがいたわけですが、ときどき、インディーズ、つまりロングテール以外のセミプロ級のアマチュア、もしくはフルタイムではない、パートタイムでコンテンツを編むなにかしらの専門家がショートヘッドの予備軍として表出し、いまではそれがインターネットという媒体により、全国区までとはいかなくとも、局所的に多大な影響力を及ぼすことに至ったと考えます。これは、検索エンジンなどにより、ユーザーのニーズと送り手のコンテンツがマッチングするようになったからです。

 たとえば、実際にアマゾンでも販売されている『How I reversed my Hashimoto’s Thyroiditis Hypothyroidism』(私はいかにして私の患者である橋本さんの甲状腺炎症を逆行させたか)は、もともとセルフ出版といい、日本では個人出版と呼ばれる著者自らが資金を投じて書籍を刊行する出版形態を指すものですが、個人出版の範疇を超えて売れたようです。つまり、同書のような超ニッチなテーマの個人本が全国区で配本されても、TSUTAYAや文教堂でお客の目に留まることはないけれど、ネット上では類似の症例をなんとかしたいと願う医師や患者によって、そこそこの購読者数を集めることができます。

 そのように、「誰でもメディア」の特徴は、単にアマチュア以上プロ未満のメディア人を掘り起こすばかりではなく、ニッチ分野のチャンピオンと、その情報がほしかった人たちを接合することで、これまで可視化されることがなかったけれど、確実に存在していた専門性の高い分野を扱うニッチメディアの可能性をぐっと引き上げることになります。そして、これら専門性の高いメディアがトルソーという中核、つまりこれからのメディアにおけるボリュームゾーンを占める割合が高いのではないか、と私は予想しています。

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