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Vol.9 あなた自身が「誰でもメディア」の勝者になるには?(後編)

  • 小林弘人

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2008年1月24日(木)

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 前回ではアマチュアだらけの「誰でもメディア」の有人メディア群において、それだけで食えるというプロフェッショナルな「誰でもメディア」の始祖は、1990年代半ば過ぎにネットに出現して絶大な人気を誇ったSuck.comだったという話をしました。そして、その後、紙のインディーズ雑誌として出発し、2000年からブログ化、現在は世界的に著名なブログとなったBOING BOINGについて触れました。今回はその続きです。

前回から読む)

BOING BOINGから学ぶ(?)「誰でもメディア」成功の秘訣

 なぜ、BOING BOINGが多くのブログのなかから飛び抜けて成功したのでしょうか。その要因について、運営者のMarkのインタビューから、その答えを要約したうえで、私が補足を加えてみました。

1)開始時期が早かったこと

 同ブログは2000年からブログ化して現在も継続しています。ブログ・ブームが米国でも2002年頃からその兆しを見せ始めたことを考慮すると、かなりのアーリーアダプターです。

 ブログは、特にグーグルなどの検索エンジンがもつアルゴリズムと相性が良かったこともあり、まったく無名のブログでも更新を続けているだけで、検索エンジンの上位を独占することができました。一時期、ブログによる検索エンジンのランキング上位独占は『グーグル虐待(アビューズ)』と呼ばれましたが、まさに開始時期によってアドバンテージをもつことができたわけです。しかし、もうブログブームは過去の出来事です。ここから私たちは新たなヒントを得ることができないものでしょうか?

 結論から言えば、まだ遅くはありません。

 これは私の持論ですが、新しいメディアは新しいパラダイム(ソフトやインフラのような技術革新とライフスタイルの変化)のなかで台頭してきます。成功するプラットフォームはライフスタイルの変換点と合致したり、ユーザーの潜在的欲望を適えるべく、ある時点から勢いを増しますが、技術者や企業からの押しつけのほうが、ユーザーのニーズより勝ってしまったものは、当然ながらすぐに潰えます。

 基本的には、新しい技術を用いているだけで、優位に立つことが可能です。これは後出しジャンケンのようなものなので、常に新しい技術のほうが機能的には旧来のものより秀でている可能性が高いのですが、ハイプ(誇大宣伝)だけで、マジョリティーを獲得できないまま終了するトレンドは確実に存在します。ただし、数年後にさらなる技術革新やリバイバルで敗者復活する場合もあり、長期的においては完全に無くなってしまうものというのは僅かです。

 昔から邪(よこしま)な欲望がハードを牽引していたんだよ。つまり、「つながりたい」とか「みたい」という欲望に忠実なメディアが勝ってたわけ。

 多くは時期尚早か、その重要性が伝わらないまま商業的な成功をおさめる前に退場を余儀なくされるのです。その意味でメディアを乗せるプラットフォーム選択は、新しいメディア人にとって、最初で最大の難関となるのです。

 多くの人々は、自分がいま携わっているメディアこそ最高のものだと考えがちです。手塩にかけて育んできたコミュニティのユーザーたち、あるいは何年も費やし完成形を見いだしたデザインや使い勝手など、そのメディアにとっての財産なのですから当然のことです。しかし、新たなプラットフォームはそれを切り捨てるかのように迫ります。これは運営者にとっては堪え難く、ときに敵対的な態度を取らせたり、あるいは誤解をもたらしたまま、そのプラットフォームに乗り換えることを躊躇させてしまいます。

 また、仮にスムーズに新しいプラットフォームに乗り換えられたとしても、そのフレームが求める文脈をいちはやく発見し、それにあわせたコンテンツを供給し、必要とあればユーザーの成長とともにスタイルも変えていくことがなければ、ユーザーの支持は得られません。

 ある意味、新しいメディア人は、周囲からは軽薄と思われるほど腰が軽く、同時にそのメディアが普及すると信じて継続する粘り強さも持ち合わせるパラノイア的資質が必要なのかもしれません。

 新しいメディアは、その前に敷衍していたメディア原理主義との闘いの歴史なのだ。

プロであることを利点にするか、弱点にするかはあなた次第

2)書き手のプロだったこと

 Markはすでに、前述したように自らZineを興し、それ以外にもWIREDで編集者として働き、さらに、ネットやテクノロジーに詳しかったため、New York TimesやM.I.T. Technologyなどメジャー媒体にも寄稿していました。

 Markは「nut graph」を使うことに長けていたとインタビューでは語っています。「nut graph」というのは、記事や物語のなかで、もっとも重要なアイデアについて記述されたパラグラフです。最後まで読み進まずとも、冒頭のあとに潜ませることで、読者に対してその後の興味を引き立てます。同様に「惹句」などのコピーライティングも重要になるでしょう。私は「掴み」などと呼んでいて、映像では「アタック」などとも呼ばれています。ウェブメディアを始めたばかりの1990年代の後半に、雑誌以上にウェブにおけるこの「掴み」の重要さを思い知りました。

 掴みだけでウザいのが、いまのポータルサイト系ニュースの特徴だ。学習しやがって(W

 文章構造なども「逆ピラミッド」式にしたり、さまざまな工夫が必要ですが、検索エンジンに対する「最適化」やアグリゲーターのなかでタイトルを埋没させない技などと組み合わせ、方法論は運営者の数ほどあると言えるでしょう。なお、本稿は具体的に解説するマニュアル書を目指すわけではありませんので、ここではそういうことは割愛いたします。

 私なりに解説を加えると、「誰でもメディア」をテキストで始める場合には、やはり文章がヘタでは話にはなりません。しかし、プロであることは重要なファクターではないと私は考えます。それは多くのプロが「誰でもメディア」時代に対応が遅れ、先の新しいフレームにおける新たな文法の発見に遅れを取った点に見いだせるからです。

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