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ハンズ勤務初日はこうして過ぎた
~「プロの消費者」たる従業員の育て方(1)

  • 和田 けんじ

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2008年1月16日(水)

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 小売店でありながら、「売れる」という結果に固執せず、「プロの消費者」としての目を最優先に、徹底した品揃えを実現してきたのが東急ハンズ。私は自らが働いてきたハンズをそういう組織だと思っています。

 その特異な存在感を成り立たせるうえで決定的なもの、それは従業員です。それでは、ハンズの従業員たちがどのように「プロの消費者」として育成されたのか。自分の体験を通して、今回からしばらくお話ししてみようと思います。

扱う商品と合わせて、人材の幅も広がった

 東急ハンズの事業が立ち上げられた時に、多くの人材が採用されました。

 お店の性格が、生活に関わる商品全般を扱うというものであり、さらに専門的な商品を徹底して集めるという方針であったため、おのずと必要な人材も決まっていきました。

 それら専門的な商品の知識と使用経験がある方々、つまり「職人」「大工」「電気技師」「メーカーの技術の方」、などなどです。さらに時代が移り、生活も多様になってくると、その多様さも一段と広がりました。

 「フィットネスクラブのインストラクター」「ミュージシャン」「イラストレーター」「介護福祉士」「役者」「銀行員」「教師」「栄養士」…と、大変な幅広さです。また近年では、ある種のテーマに深く沈溺なさっている方々、いわゆる「オタク」の方まで含め、あらゆる職業出身の方がいます。

 しかし、お気づきのように、これらの方たちの多くは接客業や小売業の経験がありません。「いや、マニアックすぎてむしろ不向きなのでは…」と思われる方が多いことでしょう。
 
 実は、ここにこそ東急ハンズの成功の、大きなカギがありました。

 小売店を新規オープンさせる場合、その従業員として接客業・小売業の経験者を採用するのは当然です。接客業としての基本ができていれば、研修等は必要ありませんし、何より安心して任せられます。

 しかし、東急ハンズはそうはしませんでした。何故でしょう? それには、いくつか理由があります。

 ひとつは、幅広く専門的な品揃えを徹底するためには、それらの商品の幅と深さに見合う、知識や経験を持った従業員が必要だったということです。

 東急ハンズの大きな特異性のひとつである品揃え、その基本は、「売れるかどうか」という販売員の目線から品物を選ぶのではなく、実際にものを使う側に立った目線、言い換えれば「消費のプロ」としての目線で扱う商品を選ぶということです。

 職業としての経験と知識で、一般の店舗にはない、専門的かつ役に立つ品揃えを実現する。そのために、実際に商品を知り、使ったことがある、多種多様な経歴を持った人材が選ばれたのです。

「売る」こと優先の経験が、むしろ邪魔になる

 もうひとつの理由は、「売る」ことに固執せず、お客様にとって何が良いかを最優先に考えるという、接客時の基本方針を実現するためです。

 接客業・小売業の経験者は、売り上げを伸ばすということに、どうしてもこだわってしまいます。その点未経験者は、そういうこだわりがなく、自分と同じ目線でお客様を見ることができます。

 なぜなら販売員の経験はなくとも、今のままでもお客様と同じ消費者だからです。

 「自分なら、自宅にあるもので間に合わせる」そう思えば、たとえ販売につながらなくとも、そうお客様に伝えます。販売員としての経験の欠落、という弱点は、消費者の目線で接客するという、大きな個性に変えられました。欠落は個性につながるのですね。

 これらの人材を採用することで、品揃えはより深みを増し、プロの消費者の目線の確保によって、その特異性は際立ち、東急ハンズ独自の個性の確立に成功しました。既存の考え方にとらわれなかった(というよりは、知らなかった?)東急ハンズの、面目躍如です。

 しかし、東急ハンズの従業員は、他業種から採用した方たちばかりではありません。当然、新卒採用の新入社員もいます。接客業・小売業の経験が深い従業員だって入ってきます。彼らは、どのようにして「プロの消費者」になるのでしょう。

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