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第26話 「製造現場ですごいことが起きてますよ」

2008年1月23日(水)

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◎前号までのあらすじ


 達也は間中専務から転勤を命じられ、愛知工場の副工場長に就任した。出迎えてくれたのは、間中によって実権を奪われていた工場長の三沢だ。三沢に工場を案内してもらうと、動かないロボットがずらりと並んでいる。また、倉庫には大量の製品在庫が山と積まれていた。
 棚卸しの数日前から、三沢の予言通り、工場では不可解な出来事が次々と起き始めた。まず大量の製品在庫が一気にトラックで出荷されていった。また、放置されていたロボットがコネクターと可変抵抗器を作り始めたのだ。達也は疑問を抱いた。 (売れない製品をこんなに作るなんて。何をしようとしているんだ…?)

棚卸し 2日前

 その翌日、達也はいつものように、材料倉庫から材料の流れに沿って工場を歩いて回った。

 材料倉庫の部品は相変わらず満杯で、未検収の部品も山積みになっていた。そして、あの4台のロボットは今日も動いていた。昨日と比べて仕掛品は目に見えて増えていた。

 製品倉庫に入った時、達也は驚くべき光景を目にして、言葉を失った。ものすごい数の在庫が、製品倉庫の床にびっしりと置かれていたのだ。

 それまで、達也は4台のロボットで作った製品はすべて工場から出荷されるはずだと思っていた。営業担当は得意先にむりやり引き取ってもらい、何とかして売り上げを増やそうと画策しているに違いないと考えていた。
 ところが、その在庫は積まれたままなのだ。

 (あれはなんだ?)

 在庫の脇にはA4の用紙が張られていて、そこには「出荷検査前」と書かれているではないか。つまり、これらは「仕掛品」であって、まだ「製品」ではないのだ。

 仕掛品と製品の違いは、「倉入れ前」か「後」かの違いだ。達也はMBAコースの授業を思い出した。「倉入れ」とは、単に出荷検査後の製品を製品倉庫に移すだけの行為ではない。それは完成品が製造部から営業部に引き渡されたことを意味する。製品倉庫は営業部に帰属しているからである。

 倉入れした途端に、仕掛品は製品に変わる。営業部はこの製品を得意先に販売して、お金に換える責任が生じるのだ。ここにある在庫が「出荷検査前」ということは、まだ製造部の責任下にある仕掛品の状態なのだ。

 (なぜ、製造を途中で止めたのか。品質に問題があるのだろうか…?)

 いや、そうではない。誰かが、あえて出荷検査の段階で止めたのだ。

 では、なぜ止まったままだった専用ロボットを動かして、こんなに大量の仕掛品を作る必要があったのか…。達也は頭を抱えた。

 その日の夕方、極め付きの不可解な事態が起きた。材料倉庫にあった部品が、次々とロボットの周りに運ばれたのだ。その結果、未検収の部品も、材料倉庫も、みるみるうちに空になり、ロボットの周りは部品であふれ返った。

 達也はこの1週間の動きを整理してみた。最初に、工場はため込んでいた製品を一気に売りさばいた。仕向け先は一流メーカーだった。

 次に、それまで止まっていた4台のロボットが動きだした。ところが、製造途中の在庫は製品倉庫に放置されたままだ。

 そして最後に、未検収の部品も、材料倉庫の部品も、すべて製造現場に運び込まれた。これらの出来事は、あの数字の魔術師、斑目が考え出した粉飾の序章なのか?

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第26話 「製造現場ですごいことが起きてますよ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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