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迫られる“ねじれ会計”の解消 (上)

連結海外子会社と日本本社の会計方針は統一、を義務化

  • 松尾 絹代

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2008年1月24日(木)

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 年が明けてもいまだに話題に上る『ミシュランガイド東京(MICHELIN GUIDE TOKYO)』。この本の発売直後、「フランス在住のフランス人調査員と日本在住の日本人調査員と、異なる食習慣や生活環境で育ってきた調査員が、同じ基準で料理を評価できるのか」という趣旨の疑問が投げかけられた。

 味覚は人それぞれの面もあり、絶対的な評価というものは成り立ちにくい。こうした中で、誰もが納得できる評価をするならば、世界の料理に精通する特別な訓練を受けた調査員が世界を飛び回り、同じ舌で各国のレストランの味を比べるのが妥当かもしれない。

同じグループなのに、別々の会計基準で合算は妥当?

 統一の基準ではなく、複数の個別基準を組み合わせた評価は、果たして参考になるのか。実は、同じような疑問が日本の会計基準に対して、世界から投げかけられてきた。日本の会計基準では、連結財務諸表を作成する際に、日本の本社や国内のグループ会社は日本基準で、フランスの販売会社はフランスの国内基準ないしは国際会計基準で決算をすることを容認しているからだ。

 本来ならばフランスの販社も日本本社と同じく日本基準で連結決算を作成した方が、同じ取引なのに評価の仕方が異なるという“ねじれ”を避けることができる。例えば、Aという製品の棚卸し資産を本社では簿価で評価しているが、フランス販社では低価法で評価するといった事態は起こらない。

 統一した会計処理に基づいて連結決算書が作成されることは、投資家など社外のステークホルダーにとっては、その会社の現状を知るのに、それぞれの国の決算処理を把握するといった労力をかけずに済む利便性を持つ。実際、米国のSEC(証券取引委員会)基準や国際会計基準では投資家保護の意味も含め、連結会社の決算書は1つの基準で作成することを義務づけている。

 米国企業の場合、米国本社がSEC基準を採用しているならば、子会社の日本法人もフランス法人もSEC基準に直して連結用の決算書を作成しなくてはならないのだ。仮にこの米国本社の日本法人はSEC基準で決算を作成しているが、フランス法人はフランス基準で決算を作成していれば、フランス法人を連結する際に、SEC基準に評価し直すことになる。

 連結財務諸表の会計方針の統一とは、それぞれの国で活動している企業は、その国で義務づけられている会計基準で決算を作成するが、連結財務諸表を作成する際には、活動している国で義務づけている決算処理とは異なり、連結グループの方針に基づいた会計処理をするということになる。

例外規定を利用して不統一を続けてきた日本企業

 このように連結財務諸表の作成のために会計方針を統一することを、実は日本基準もSEC基準や国際会計基準と同様、原則は義務づけている。しかし、日本公認会計士協会が会計実務における指針として出した文書の中で、ある条件の下では会計処理を統一しなくても可、としてきた。この例外規定を根拠に、多くの日本企業は、在外子会社の会計方針を統一しないまま連結財務諸表を作成してきていたのだ。

 その例外規定は、日本公認会計士協会の監査・保証実務委員会報告第56号「親子会社間の会計処理の統一に関する当面の監査上の取扱い」という文書の中にある。この第56号には、日本の親会社と海外の子会社の会計処理が異なることが、「明らかに合理的でないと認められない限り、当面の間は親会社と子会社との間で会計処理を統一する必要はない」という趣旨の内容が記載されている。

今年4月1日以降は、統一を義務づけ

 しかし、2008年4月1日以降に開始する決算年度からは、この56号の例外規定が通用しなくなる。というのは、日本の会計基準を設定する財務会計基準機構の企業会計基準委員会(ASBJ)が、2006年5月に公表した実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」で、今後は原則として在外子会社の会計処理を統一しなくてはならないことを示したからだ。

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