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デルの不正決算がもたらした教訓

あなたの会社の企業風土は大丈夫?

  • 杉田 庸子

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2008年1月28日(月)

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 2008年は日本の上場企業にとって、会計報告の面では多くの「初年度」を迎える忙しい年となりそうだ。まず、2008年4月1日以降に開始する事業年度からは上場企業には四半期の決算報告が義務づけられる。国際会計基準へのコンバージェンス(共通化)に向けても、日本の会計基準と重要な差異があるとしてとらえられた26項目について2008年までに作業を終えるという合意があることから、その調整のための会計基準の変更も予想される。

 加えて、いわゆる「日本版SOX法」に基づく内部統制報告書の提出・監査も2008年4月1日以後に開始する事業年度から適用される。これほど多くの新しいルールへの対応が目白押しということで、日本の上場企業にも、監査に対応する会計事務所にとっても試練の多い1年となることだろう。特に「日本版SOX法」に関してはまだ取り組みも途上であり、作業の膨大さから現場が混乱しているという声をよく聞く。

 一方の米国では、大規模公開企業にとっては企業改革法(サーベンス・オックスリー法)に基づく内部統制報告実務も4年目となったわけだが、2007年中にはサーベンス・オックスリー法404条の実質的な緩和が行われ(当連載「緩和策が具体化した米SOX法」参照)、2007年度決算はこの「緩和」した基準の下での内部統制の報告・監査実務が有 効かつ効率的であるかの試金石となりそうだ。

 また、実務開始から数年、404条に基づいて内部統制は有効と評価された決算報告に関しても粉飾決算を防ぐことができなかった事態も発見されており、404条が万全の機能を果たすわけではないことも事実として確認されつつある。

デルの4年間にわたる不正な決算の露見

 日本でも報道された、米パソコン大手のデルの不正決算などはその例に当たると言えそうだ。当連載4月「NECが米国で決算報告できない事情」でも触れたが、2006年以降、米パソコン大手のデルは過去4年分の決算報告に関する不正決算の疑いで、米証券取引委員会 (SEC) から取り調べを受け、社内調査を行っていた。

 その調査結果によれば過去4年間の累積で9200万ドルの利益を下方修正することとなった。主な修正の内容は以下の通りである。

 未払い費用勘定、引当金勘定を利用した決算数値の調整

 外部報告目的、および会社内部の決算数値目標に合致させる目的で、四半期決算直後に上級経営者が未払い費用や引当金を作為的に取り崩したり、あるいは追加で計上する、という操作を行った。一つひとつの数値の操作は数十万ドルから数百万ドルだが、勘定科目は多岐にわたり、高い頻度でそのような操作が行われたことが確認されている。

 また、未払い賞与や未払い訴訟関連費用などで十分な計算根拠がないもの、明らかに計算から抜け落ちているものなどが報告された。これらは厳密な会計処理がされていなかったからこそ不正に使われやすかった、ということができそうだ。

 適切な売り上げ計上基準が適用されていなかったことによる売上金額の修正 

 デルは自社のパソコンに他社が開発したソフトウエアを組み込んで再販を行っている。そのソフトウエアの売り上げ計上が米国会計基準に従っていなかった。ソフトウエアの売り上げ計上の修正に関連し、2006年は2億4800万ドル(報告されていた総売上高559億ドルの0.4%)2005年は1億500万ドル(報告されていた売上高492億ドルの0.3%)が売り上げから減額された。

 そのほか、無償保証期間経過後の保証サービスの売り上げ計上、複合要素の売り上げの計上方法の誤りなどで多くの修正が行われた。

 製品保証引当金の不正確な計算

 製品保証引当金に関し、ベンダーの保証が受けられるためにデルの保証金額から差し引けるものまで入っていたり、期間の経過した引当金を取り崩していなかったり、また、予想保証率・予想保証コストなどが正しい方法で見積もられていなかった。

たかだか1%の利益操作のために払った大きな代償

 デルの過去4年間の累積修正額は上記で述べた通り9200万ドルで、決算修正を行った4年間の累積利益120億ドルの1%にも満たない。たかだか1%未満の不正で、デルはその会計報告の信頼性に関し大きく評判を落とした。一連の問題の解決には長い期間と多くの労力が割かれており、125人の弁護士と250人の会計士が不正調査のために派遣され、2600もの仕訳を再検査したという。それに対応する従業員の負担も大きかったことだろう。

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