• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

迫られる“ねじれ会計”の解消 (下)

連結海外子会社と日本本社の会計方針は統一、を義務化

  • 松尾 絹代

バックナンバー

2008年1月31日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 先日、日本経済新聞は、日本たばこ産業(JT)(2914)が2007年に英国の子会社を通じて英ガラハーを買収したことに伴い、「2009年3月期からこの海外子会社が買収で生じた2兆円近くののれんを償却する」という趣旨の記事を掲載した。

 報道によれば、この英国子会社は当初は買収で生じたのれんを償却していなかったが、2008年4月1日以降の会計年度から海外子会社の会計方針の統一が義務づけられることを受けて、日本基準に従ってのれんの償却を計上するという。

 M&A(合併・買収)で生じるのれんは、日本基準では、原則として最大20年の期間で償却していくが、国際会計基準やSEC(米証券取引委員会)基準ではM&Aの実施後に、傘下に収めたビジネスが期待していたような収益が得られないと判断された時点で、減損処理のみを実施する。日本基準は取り込んだビジネスの収益環境の有無にかかわらず定期的に償却していくのに対し、国際会計基準やSEC基準ではのれんの償却は不定期で生じることになる。

 このように日本の親会社と海外の子会社が、同じ取引でも会計処理を異にしている場合は多々ある。世界の会計基準は、国際会計基準を中核としてコンバージェンス(共通化)の動きが進んでおり、基準が違っても同じ会計処理が取られるケースは増えている。しかし、本コラム2007年11月8日付「東京合意の衝撃」で紹介したように、日本では取り組みが今年から本格化する段階だ。そのため海外子会社と日本の親会社が異なる会計処理をしているケースは、依然として生じている。

 日本の親会社と海外子会社の会計処理が異なる場合、これまではそのまま連結できたが、前回紹介した会計基準の変更で、4月1日以降の決算年度で統一しなくてはならなくなった。今回は、親会社と海外の子会社の会計処理を統一するために、留意すべき点に触れていく。

国際会計基準もしくはSEC基準なら最大6項目の修正で済むことも

 親会社と海外子会社の会計方針の統一は、大きく2つのケースに分けて処理する方法が考えられる。

 1つは海外の子会社が国際会計基準もしくは米国のSEC基準を採用している場合。もう1つは、国際会計基準もしくはSEC基準以外の現地基準を採用している場合だ。

 現地基準を採用している場合は、日本基準に直接に変換する方法と、現地基準から国際会計基準ないしSEC基準に変換してから一定の項目を調整する方法がある。子会社が国際会計基準もしくはSEC基準を採用しているなら、同じように一定の項目を調整する形で行う。

図

 一定項目とは具体的には上の表で示した6項目で、企業会計基準委員会(ASBJ)が2006年5月に公表した実務対応報告第18号で示されている。6項目の調整は「当面の間」という前提条件付きではあるが、今後のコンバージェンスの進展で、こうした調整自体が不要になるかもしれない。それまでには6項目に該当する調整が必要だ。

 6項目の中には、冒頭に挙げたのれんの償却が含まれている。そのため、以下ではのれん以外の5項目について修正のポイントを紹介する。

 退職給付会計における数理計算上の差異の処理

  退職給付会計は見積もりの会計だ。見積もりである以上必ず実績と差が生じ、見積額を実際額に修正しなければならない。この見積もりと実際額の差額を「数理計算上の差異」というが、国際会計基準と日本基準では、修正のタイミング、修正による損益の計上という2点で違った処理が認められている。

 従業員退職金制度がある会社では、各従業員の将来の退職金の見積り金額を基に毎期の退職給付費用が計上されている。例えば、見積もり計算に使われる国債の利子率が、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)の影響などで不測の低い水準になると退職給付債務(負債)は大きくなる。実際の低い利子率を使って計算した退職給付債務が11億円、見積もりの時に使った利子率で計算された見積額が10億円とすれば、差額の1億円が数理計算上の差異だ。

 まず、修正のタイミングという意味では国際会計基準では、決算のつど退職給付債務を実際額に置き換えることが認められるが、日本基準では長期間にわたって規則的に修正が行われる。すなわち、国際会計基準では退職給付債務が11億円とされるが、日本基準では1億円の差額を10年間均等に1000万円ずつ修正していくのであれば、10億1000万円といった具合だ。

コメント0

「知らずには済まない、会計の盲点」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の社会に足りないのは起業家精神です。

デイビッド・ルーベンシュタイン 米カーライル・グループ共同創業者兼共同最高経営責任者