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鉄道は、みんなを「まちづくり」の当事者にする点火スイッチ

『がんばれ!銚子電鉄』その3

  • 向後 功作

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2008年2月7日(木)

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 経営危機に陥った銚子電鉄を救うために、多くの人が行動してくださいました。それには、新聞やテレビ、そしてインターネットが連動する「クロスメディア」の力が大きかったということを、前回お話しました。

 地方の小さな鉄道会社や、小さな町が生き残っていくためには、テレビや新聞、インターネットを通じた露出が不可欠です。外部の人に知っていただいて、足を運んでもらうようにならなければ、地方鉄道も地方都市も活性化することはないと思います。

 しかし、1度や2度紹介されたからといって、事態がすぐに好転するとは限りません。

悲鳴を上げればうまくいく、わけはない

 メディアでの露出と同じくらい重要なのは、自らの手で情報発信することです。そのためにインターネットを活用できることは、この連載ですでに述べました。テレビや新聞で興味を持った人が、さらに情報を得るためにインターネットで検索するのは、いまや常識です。当事者がインターネットで情報を公開することで、興味を持ってくれた人が行動に移すきっかけを作ることができるのです。

 そのような情報発信を続けていけば、定期的にメディアで取り上げられるようになり、定期的に訪れてくれる人も増えていきます。ただし、そこで問題なのは、「何を発信するのか」です。伝えたいことがなければ、人を引きつけることができません。

 伝えたいこととは、結局のところ、「自分たちがどのような取り組みを行っているのか」につきると思います。現状を嘆くだけでは、初めは注目を集めるかもしれませんが、人を巻き込むことはできません。問題をどうとらえているのか、どのような活動をしていくのか、どのような目標をすえているのかを伝えれば、感心を持ってくれた外部の人が「では、自分はこのように関わりたい」という意思表示をしてくれるようになります。

 自分たちが行っている取り組みについて伝えるのは、それほど難しいことではありません。インターネットのホームページや、ブログなどで、等身大のありのままの言葉で書くだけです。それよりも大切なのは、取り組みの「内容」です。

 例えば、企業や自治体の広報部門が、自分たちの決定した取り組みを発表するとします。それは、ニュースとして取り上げられたり、一般の人の関心を引くこともありますが、たいていはすぐに忘れられてしまうものです。それに、ニュースリリースのようなものを読んで一般の人が「自分も関わりたい」と思うでしょうか。

車への移行より、地域の人口減が衰退の主因

 それよりも、個人レベルでの情報発信のほうが有効だといえます。企業の社長や担当者がざっくばらんに語るブログのほうが、親近感をおぼえるからです。そのようなやり方でファンを増やしている企業も最近は増えてきているようです。

 地方鉄道と地方都市では、どのような取り組みをして、どのように情報発信していくべきなのでしょうか。

 銚子電鉄は、ぬれせんべいの販売で窮地を脱しましたが、本業の鉄道で安定した収入を得なければ、万全とはいえない気がします。しかし、乗降客数が落ち込んでいるのは、根が深い問題です。

 地方鉄道の乗降客数が減少しているのは、モータリゼーション、つまり社会が車中心になったことが原因だという人もいます。ただし、通勤に電車を使わずに車を使う人が増えたことが、乗降客数が減ったことの決定的な要因とは思えません。それよりも、少子高齢化が進み人口が流失していることで、鉄道を利用する人が少なくなったことのほうが、大きく影響しているのではないでしょうか。

 現在、小さな地方都市は、どこも少子高齢化と人口の流出が悩みの種です。地方鉄道は、子どもが減って通学客が減り、定年を迎えた人や若者を中心に大都市に移り住む人が増えることによって通勤客が減っているのです。これは、地方鉄道を抱えるどの地方都市でも共通の問題です。

 このような状況で、鉄道の利用者が急激に増えるというのは、考えにくいことです。それでは、観光客を誘致するのはどうでしょう。観光資源を開発したり、旅行会社と協力してツアーを企画すれば、うまくすると訪れる人が増えるかもしれません。ただし、一時的なブームではなく、継続的に人を呼び込むには、もっと根本的な取り組みが必要です。

 いま、地方の町が活気を失っています。駅前の商店街は、店を閉める店舗が増え、「シャッター通り」と化しています。一方で、郊外に大型のショッピングセンターができ、社会が車中心になっていることが表れています。

 このような状況を打破するために必要なのは「まちづくり」です。まちづくりこそ、地方の町と地方の鉄道を活気づかせるものだと、私は考えています。

 まちづくりというと、何か新しい名物や施設を作り、それを目玉として宣伝するということかと思う人がいるかもしれませんが、そうとは限りません。古くからある建物や伝統を残すための運動が、まちづくりへと発展し成功を収めた例もたくさんあります。

「まち」が復活してこそ本当の再建が果たせる

 ですから、古くて利用者が減ってきた地方鉄道を、まちづくりの中心にすえることも可能なのです。沿線でイベントを開催したり、沿線の観光資源を紹介して人を呼び込めば、電車に乗る人も増え、町が活気づきます。

 このようなまちづくり活動の中心になるのは、市民団体です。銚子でも、2007年1月に「銚子電鉄サポーターズ」が結成され、銚子電鉄を応援してくれています。このような団体が、結果として銚子の町全体を応援してくれているのです。また、個人レベルの情報発信をと先ほど言いましたが、銚子電鉄サポーターズもブログやホームページを利用してメッセージを伝えています。

 まちづくりが重要な理由はもう一つあります。それは、高齢化が進むと、現在のような車中心の社会では暮らしづらいからです。

コメント7件コメント/レビュー

確かに人口の老齢化として現れているように、若年層の人口は激減し、通学客の減少は目覆うばかりだ。地理的に銚子電鉄に近い鹿島鉄道は利用客も少なく、既に2007年に廃止になっている。同じ千葉県下でもいすみ鉄道は2年間の猶予が与えられたが、誰にも魅力あるとするに足る観光資源は乏しく絶望的だ。だが銚子はその点で関東周辺の人間が一度は行く箱根、高尾山に匹敵する観光資源を有する所だと思うので、これを生かさない手はないだろう。そのためには小中学生などを積極的に招くなどし、家庭を持つ頃になって今度は子供をつれて行きたいという思い出作りをするように地域全体の協力と周辺の整備が必要だろう。(2008/02/20)

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確かに人口の老齢化として現れているように、若年層の人口は激減し、通学客の減少は目覆うばかりだ。地理的に銚子電鉄に近い鹿島鉄道は利用客も少なく、既に2007年に廃止になっている。同じ千葉県下でもいすみ鉄道は2年間の猶予が与えられたが、誰にも魅力あるとするに足る観光資源は乏しく絶望的だ。だが銚子はその点で関東周辺の人間が一度は行く箱根、高尾山に匹敵する観光資源を有する所だと思うので、これを生かさない手はないだろう。そのためには小中学生などを積極的に招くなどし、家庭を持つ頃になって今度は子供をつれて行きたいという思い出作りをするように地域全体の協力と周辺の整備が必要だろう。(2008/02/20)

今までの2回の寄稿よりマシではあるが、ことの本質の捉え方が間違っている。「自動車への移行より、少子高齢化で人口流出の方が影響が多い」と書いておられるが、これは銚子鉄道の潜在顧客がどれほどおられるのかの調査をしていない証拠である。すなわち、どれだけの顧客がどこにいて、何に働きかければ顧客増になるかという、マーケティングの基本の基本もしていない。こういうところに焦点外れの論があり、それに共鳴する情緒だけの読者がいるのではなかろうか。資本主義のルールは、自分の掛けるコスト以上の便益を生み出すことが、社会的な財の最適配分になり、効用を増すというものである。観光などは、栄養剤的なもので、その地域の人が利用しない鉄道は存続の意味がない。すなわち、自動車を使って通勤したりする人達が、多少の不便を忍んででも使うことをしない限り鉄道も存続できないのである。そう言うコミュニティの活動がなされないとダメだし、表立っては無理かもしれないがそう言う働きかけが必然なのだ。パンがないならケーキを食べたらと言う主従逆転の寓話があるが、地域住民の利用がパンであり、観光はケーキである。地域住民の意識改革が一番だ。それを理解できず「暴論」だとかといっている愚かな話が横行するところに今の日本のダメになりつつある原因がある。(2008/02/17)

その片一方で少しづつ廃線になる路線もあります。正直首都圏が近い、巨大な人口がそばにあるケースと、ふるさと銀河線のように、140kmもの長大さ、にもかかわらず沿線人口が10万を切るようなケースなど、置かれている状況は千差万別です。ただ、自動車交通が与える環境負荷は莫大で、また、燃料代に翻弄されます。地域が頑張るのはもちろんですが、頑張る地域に対する積極的な政治による支援も求めます。バブル期後の過剰負債で今のままでは座して死を待つのみの自治体が多すぎます。(2008/02/08)

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