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もうスターは要らない

ドロシー・ハマチ・ベリー
国際金融公社人事・総務担当副総裁に聞く

2008年2月15日(金)

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 バブル経済の崩壊後、日本企業の多くがリストラの名の下に人員を削減する一方で、従来の年功序列の人事制度を改め、年齢に関係なく社員一人ひとりの業績に基づいて処遇を決める成果主義型の人事制度を取り入れた。

 その結果、社員が達成しやすい数値目標の追求に走り、組織全体の業績が落ち込むといった弊害が生じている。他方、こうした事態を既に経験した欧米の企業は個人の業績ばかりではなく、組織への貢献度を評価する人事制度の構築に取り組んでいる。一部のスタープレーヤーを重用する姿勢からチームの成果を重視する方向へシフトし始めたのだ。

 ポスト成果主義と呼ぶべき新たな人事制度はどのようなものなのか。このコラムでは、国内外の経営者や人事のエキスパートへのインタビュー取材を通して明らかにしていく。

 初回は世界銀行の人事担当副総裁などを歴任した国際金融公社(IFC)のドロシー・ハマチ・ベリー人事・総務担当副総裁に、個人の業績から組織への貢献度へと人事評価の軸足が移り始めた理由を聞いた。

(本誌による要約 日経ビジネス 中野目 純一)

ドロシー・ハマチ・ベリー

ドロシー・ハマチ・ベリー(Dorothy Hamachi Berry)氏

神奈川県鎌倉市生まれ。米ニューヨーク大学修士課程修了。米教育省などを経て1996年3月から世界銀行の人事担当副総裁。99年1月から世界銀行グループの国際金融公社(International Finance Corporation)の人事・総務担当副総裁

 私は世界銀行の人事担当副総裁を務めるなど、自分のキャリアを通じて企業や組織の人事のあり方をずっと考えてきました。組織というものを研究してその成功や失敗の要因を追求し続けてきたのです。そこで最近に強く感じるのは、他人と協力する能力の重要性が高まってきたことです。

 国際金融公社(IFC)を例に取って説明しましょう。IFCは世界銀行のグループ企業で、発展途上国の民間プロジェクトへの投融資を行っています。ですから、職員には金融に関するスキルが求められる。企業を財務的な視点から分析できなければならないのです。そうしたスキルがなければ、同僚から信頼を得ることはできません。

 専門性が重視されることから、以前は協調性のない人でも高いスキルがあれば採用していました。「彼は素晴らしいスキルを持っている。同僚と協調して働くことができなくても問題はない。採用しよう」。これが従来の姿勢だったのです。一緒にいると心地よくない人でも構わなかった。

 今ではそうした人を雇うことはあり得ません。もちろん金融に関するスキルが求められることに変わりありませんが、協調性の見られない人を採用することはない。なぜなら、我々の今の仕事のほとんどはチームによって行われるからです。職員が自分1人でできる仕事はごくわずかしかありません。

 まずはチームの一員として働けることが要求されます。仲間と協力して問題の解決策を探らなければならない。そのために時には仲間と議論を戦わせることも必要です。でも、それは事態を前進させるものでなければなりません。

“和気あいあい”は協調ではない

 協調が重要といっても、他人に接する態度が良いだけでは十分ではありません。世の中はどんどん複雑になり、解決しなければならない問題は山積している。そこで問われるのは、チームとして一緒に問題の解決に当たれるかどうかです。解決策を巡って意見が分かれた時に、違いを踏まえたうえで建設的に解決に向かって溝を埋めていくことが求められます。

 これは簡単なことではない。なぜなら、協調とは笑顔を絶やさずにお互いに良い態度で接することだと多くの人が誤解しているからです。そうした態度は実は多くの場合、かえって有害です。問題が存在しないかのように振る舞うことにつながるからです。

コメント5件コメント/レビュー

評価の基準があいまいなことが原因という意見には賛成です。ただ、発展途上国出身の社員が多い組織では、評価を明確にしやすい。なぜなら、親しい社員同士でお互いの給与や評価を見せ合う習慣がある国が多いからです。なぜ見せ合うかと言うと、評価・給与の低い人間は上司や会社にアップを要求することが当然と思われていて、自分の昇給のために交渉ノウハウを教えあうからです。上に文句を言えない日本でそんなことをしたら社員同士のイジメが始まる。互いの評価を知らないので、自分の評価が相対的に正しいのかがわからないので、改善が始まらないのです。(2008/02/19)

「ポスト成果主義 スタンドプレーからチームプレーに」のバックナンバー

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「もうスターは要らない」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

評価の基準があいまいなことが原因という意見には賛成です。ただ、発展途上国出身の社員が多い組織では、評価を明確にしやすい。なぜなら、親しい社員同士でお互いの給与や評価を見せ合う習慣がある国が多いからです。なぜ見せ合うかと言うと、評価・給与の低い人間は上司や会社にアップを要求することが当然と思われていて、自分の昇給のために交渉ノウハウを教えあうからです。上に文句を言えない日本でそんなことをしたら社員同士のイジメが始まる。互いの評価を知らないので、自分の評価が相対的に正しいのかがわからないので、改善が始まらないのです。(2008/02/19)

一読して非常に違和感を覚えた。理由を考えると2つある。まずは個人プレーよりチームプレーを重視する云々と言うがその程度の当たり前のことも今までわからなかったのか、ということ。2つ目は、日本的組織の特徴が「和気あいあい」とやっていると決め付けているように思われること。 ぜんぜん違う。(従来的な)日本的組織の強みは「目標」に向けてチーム全員が我を捨てて一致団結して取り組めることにあったはずだ。日本人には、もともとチームで協力して働けるDNAが備わっている。個人主義が前面に出る欧米と違ってチームプレイがどうの360度評価がどうのと考える必要も無かったのである。そして、目標は常に組織の外にあった。外にある明確な目標に意識を向けて全員が一致団結できたときは何の問題も無かったのである。 日本が停滞したのは、バブル崩壊以後、明確な国家なり会社組織なりの目標を見失い、かつそれを再構築する能力に欠けていたことにある。そこに形式的な成果主義を導入した為に内向きの萎縮した駄目組織、駄目人間になってしまったのである。 したがって、日本人に必要なのは組織を外に向けて一致団結させる新たな目標を立案する能力と、(「空気」では伝わらない日本人以外の人達に)ロジカルかつ懇切丁寧に説明する説得能力であろう。「何がしたいか」ではなく「何をしなければならないのか」を常に考えて議論したり行動する能力である。そこは訓練が必要かもしれないができることだと思う。(2008/02/16)

自分の意見を言う社員、部下の意見に耳を傾ける上司、どちらが先でしょうか。私は、後者だと思いますが。特に、上部組織に行くに従って、部下や他人の意見に耳を傾けない人が、(特に、社長、役員とい言った手合い)多いように思います。同じ事を、3年も4年も言い続ける方が、疲れてしまいますが。詰まるところ、常に経営側に問題があると考えます。(2008/02/15)

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三品 和広 神戸大学教授