ローカル線が「ぬれせんべい」を売って経営危機を脱した――。鉄道ブームが続くなか、いまでも語り継がれる銚子電鉄の奇跡の復活劇には、ネットの可能性や地方再生のヒントをうかがうことができます。
今回は、この記事の筆者である向後功作と、JR、私鉄の「全駅下車」を達成した鉄道ブームの火付け役、大人気鉄道マンガ『鉄子の旅』でおなじみのトラベルライター・横見浩彦氏に、ローカル線、鉄道、町、駅について、思いっきり語っていただきました。
(第一回から読む)
向後 私は横見さんが登場するマンガ『鉄子の旅』の大ファンで、全巻読みました。それほど鉄道に詳しくない女性漫画家・菊池直恵さんが、筋金入りの鉄ちゃんである横見さんと日本全国の鉄道を旅するという内容ですが、ローカル線もたくさん紹介してくださっていますね。
横見 好きですから。もちろん、銚子電鉄も好きです(笑)。銚子電鉄が登場する回は第1巻に収録されているんですけれども、眞鍋かをりさんがゲストで楽しかったですよ。あのころはまだ、「ぬれせんべい騒動」が起きる前でしたね。
向後 そのあと、『鉄子の旅』がアニメ化されてから、「横見浩彦さんと行く銚子電鉄全駅乗下車の旅」というツアーが企画されて、来てくださいましたよね。
横見 ええ。というか、仕事をのぞけば、かれこれ10回は銚子電鉄に乗りにいっていますよ。
向後 そんなに(笑)。
横見 銚子は、行けばかならず面白いんですよ。アニメ化を記念してツアーをやろうとなったときも、まっさきに候補に上がったのが銚子電鉄でした。銚子は東京から比較的近くて行きやすいし、風情もあるし、万人が楽しめるところでしょ。名物のぬれせんべいもあれば犬吠埼灯台のような観光名所もあるし。それに、銚子電鉄さんはとにかく協力的なので、それが決め手になったんじゃないかな。
電池で電車を走らせた

横見浩彦氏(左)と向後功作氏(右) (写真:鈴木 愛子、以下同)撮影協力:バー銀座 パノラマ
向後 テレビの取材や撮影などにも極力対応するようにしています。以前私が広報担当だったときにも、面白いエピソードがいっぱいありますよ。
横見 「乾電池で電車を動かす」っていうのを見たことがあります。
向後 「ザ!鉄腕!DASH!」ですね。乾電池9000個くらいで銚子電鉄の車両を2km以上走らせたんですよ。実は銚子電鉄の路線は起伏が多いので、うまく下り勾配が続くところを探して、笠上黒生駅から出発して、西海鹿島、海鹿島の駅を通って、君ヶ浜駅の先までいきましたね。
横見 うわ、よく実現できたな、この企画って思いました(笑)。すごく協力的なんですね。ぬれせんべい騒動のときも、たくさん取材を受けていましたが、昔から取材や撮影に対応してくれるという下地はあったんですね。
僕も、ぬれせんべい騒動の後、テレビとかの仕事で銚子電鉄に行きました。一度、2日続けて銚子にいくことがあって。しかもテレビだから、リアクションしなきゃいけない(笑)。心のなかでは「昨日見たよ!」とか思いながら、リアクションするわけですよ。
バブル期は「温泉付きの駅舎へ改装」という計画も
向後 鉄道ファンにもいろいろあって、乗るのが好きな人、時刻表が好きな人、写真が好きな人、スイッチバックが好きな人、などなど。横見さんは、『鉄子の旅』で全国的に知られていることですが、大の「駅舎好き」ですよね。銚子電鉄の駅はどうですか?
横見 いいですよ。すごくいいです。古い木造の駅舎もあれば、新しい駅舎もあるっていう、バランスがいいですよね。古いのだけだと、コアな鉄道ファンしかこないかもしれないけど、新しい犬吠のような駅があれば、女性客も行きやすい。トイレもきれいだし。
向後 ずばり、一番好きな駅はどれですか?
横見 そりゃあ、もう、外川ですよ。外川!! 外川駅は、最高です。古くてひなびた感じがダントツにいい!
向後 マンガでも、「この角度から見る外川駅がいい!」と力説していましたね。

『鉄子の旅』第1巻172ページより (c)菊池直恵・横見浩彦/『鉄子の旅』/小学館IKKI
横見 自分にとって、日本全国の駅のなかでも、5本の指に入りますよ。
向後 実際、新聞か何かに載っていた日本全国の駅ランキングでも、ベスト5に入ったことがあったかと思います。実はあの外川駅も、バブルのころは改修する計画があったんですよ。確か、老人ホームを建てて最上階に温泉を作ろうという計画だったように記憶しています。
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