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iPod Touch 有償アップグレードの不思議

経済のサービス化で変わる売り上げの計上基準

  • 杉田 庸子

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2008年2月25日(月)

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 iPod、iTunes Store、iPhone、Apple TV、そして今年は超薄型ノートパソコンのMacBook Airと、ここ最近、話題の商品を立て続けに発売してきた米アップル。業績も好調で2004年9月期は83億ドルの売上高が、2007年9月期は240億ドルと4年間で3倍に拡大した。2008年1月に発表された第1四半期(2007年12月29日締め)の売上高も96億ドルと好調で、純利益は16億ドルと前年同期比で58%の増益となった。

 堅調な収益の成長は、意表を突く商品開発で消費者の支持を着実に獲得してきたことが大きい。しかし今年一月に発表した既存製品のアップグレードに関しては、利用者の間でちょっとした物議をかもしている。

片や無料、片や有料の不思議

 そのアップグレードとは、昨年発売された携帯電話のiPhoneと無線通信機能が付いた音楽端末のiPod touchの2つの製品に、新機能を追加するソフトウエアを提供するというもの。これが不思議なことに、iPhoneに対しては無料だが、iPod touchに関しては20ドル(日本では2480円)と有償で提供された。

 新しく提供する機能は、iPod touchとiPhoneに共通のものと、iPod touch独自のものがある。共通の新機能には、地図アプリケーション「Maps」の改良と、好みのウェブサイトとそのサイトの特定部分を登録しておくことができる「Web Clips」がある。

 一方、iPod touch独自のものとしては、複数メールサービスからメールをダウンロードできるリッチHTMLメールクライアント「Mail on iPod touch」、株式情報を提供する「Stocks」、天気予報を提供する「Weather」、キーボードでメモを取ることができる「Notes」というアプリケーションで、 iPod touchの機能をよりiPhoneにより近づけるものだった。

 確かに、iPod touchへの機能追加の方が大きいのだが、そもそも本体価格が3万6800円からという製品に、この仕様追加が2480円の価値が果たしてあるのかと疑問を持つ利用者もいるはずだ。特にiPhoneに先駆けてiPod Touchが販売されている日本の利用者の中には、不満を抱く人もいるだろう。

 アップル製品情報誌・ウェブサイトの「Macworld」など米国のメディアの中には、このアップルの一見割に合わない有料アップグレードの背景には、米国会計基準に基づくソフトウエアの売り上げ計上基準に抵触しないための苦肉の策だったのではないか、と指摘するところがある。果たしてそうなのか。

無償ソフトウエアの売り上げは繰り延べ

 アップルの年次報告書によると、アップルはすべての製品に関し米国会計基準の原則通りSEC職員会計公報104号を適用している。この104号は、売り上げの取り決めに説得力のある証拠が存在し、品物の引渡しないしサービスの提供が行われ、料金が固定されている(または決定できる)、そして代金の回収が確からしい、という4つの基準を満たした時に初めて売り上げの計上を認めるものだ。

 アップルはこの方針に従い、iPod Touchを含めた全てのiPodや同社のパソコンであるマッキントッシュ(Mac)シリーズは原則出荷時点で売り上げを計上し、無償保証などの追加コストについては引当金を計上している。しかし、iPhoneや Apple TVについては少し異なる。

 この2種類の新製品に関しては、Appleは将来無償でのソフトウエアの提供とアップグレードを予定しているため、米国公認会計士協会の意見書「SOP97-2」に従い、契約期間に按分して売り上げを計上する「サブスクリプション・アカウンティング」を採用し、2年間に分割して売り上げを計上する、としている。つまり、2008年2月に399ドルのiPhoneを1台売って、2008年9月期決算で計上できる売り上げは399ドル×8/24カ月で133ドルとなる。

本来は、無償ソフトの提供がある場合は、分離計上が必要

 SOP97-2によると、一度売った製品に関して、将来追加でソフトウエアの無償提供がある時には、原則としてそのソフトウエアの価格分だけ売り上げの計上を繰り延べることとなる。iPhone 1台399ドルのうち、将来の無償ソフトウエアの提供分が99ドルだったら、その99ドルはソフトウエアが提供されるまでは計上できず、売った時点で売り上げに計上できるのは300ドル分だけなのだ。

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