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第32話 「団さん、監査はこれからです」

2008年3月5日(水)

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◎前号までのあらすじ


 達也は間中専務から転勤を命じられ、愛知工場の副工場長に就任した。出迎えてくれたのは、間中によって実権を奪われていた工場長の三沢だ。

 工場では棚卸しの数日前から、三沢の予言通り不可解な出来事が次々と起き始めた。達也はそこに粉飾の気配を感じた。棚卸し当日、公認会計士の西郷が、病気の今川の代理としてやって来た。しかし西郷が立ち会うはずの在庫数量カウントは、1日前に終わってしまっていた。

 斑目はどうやって工場の利益を水増ししているのか。それを突き止めるためには、棚卸し結果を決算書に反映させる方法を知る必要がある。不正の仕組みを解くカギは、ジェピーが行っている仕掛品の金額算出方法にあった。

 棚卸しの2週間後、会計士の西郷がフォローアップにやって来た。

棚卸しフォローアップ

 西郷は、在庫数量のチェック作業を行った。

 まず、棚卸しの日に自らカウントして書き留めた記録が、コンピューターから打ち出された在庫リストと一致しているかどうかをチェックした。実際の在庫数量がタグに記録され、それが在庫リストに反映されていることを確かめる重要な作業だ。

 続いて、在庫リストからタグへ遡って数量をチェックした。在庫リストには材料倉庫分と仕掛品分の欄があり、仕掛品分の欄だけに数量が印字されていた。

 在庫リストから見ても、タグから見ても、在庫数量は全く一致しなかった。
 当然である。実地棚卸しは仕掛品単位(親品目)でカウントしたのに、在庫リストはそれを構成部品(子品目)単位に分解しているからだ。しかも、期末日には仕掛在庫しかなかった。

 この工場で製造している製品は約50種類だ。しかし、同じ製品でも10以上の仕様に分かれるから、実質的には500種と考えるべきだ。それぞれの製品に10種類の部品を使うとすると、5000種の部品になる。

 (こんな状態でどうやって数量の正しさを検証するんだろう…?)
 達也には見当もつかなかった。

 「木内さん。製品説明書と部品構成表を見せてください」

 木内が資料を取りに部屋を出ると、西郷は達也に種類(親品目)ごとの仕掛品数量を知りたい、と伝えた。西郷が要求したのは、部品に分解した後の在庫リストではなく、分解する前の親品目単位の在庫リストだった。

 なるほど、と達也は思った。製品を1つ作るのに使う部品は1つとは限らない。だから、西郷は、親品目の仕掛品から、部品構成表を使って子品目である構成部品ごとの数量を計算しようとしているのだ。
 棚卸し時に、西郷が書き留めた仕掛品がそのリストに載っていることを確かめさえすれば、部品の数量は自動的に計算される。

 達也は、そのような資料があるか情報システム部に電話で聞くと、意外な返事が返ってきた。入力チェックに使った後に、シュレッダーにかけた、というのだ。

 「誰の指示で廃棄したんだ!」

 達也は声を荒げた。すると電話の相手は「いつも捨ててますから。そんなこと言われたのは副工場長が初めてです」と、悪びれた様子もなく答えた。

 「タグの入力リストを捨てたんでは、監査になりませんね」
 西郷も声を荒げた。

 そこへ木内が書類を抱えて戻ってきた。
 西郷は製品説明書と部品構成表に目を通すと、腕組みした。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第32話 「団さん、監査はこれからです」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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