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第33話 「間中君を侮ってはいけない」

2008年3月12日(水)

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◎前号までのあらすじ


 達也は間中専務から転勤を命じられ、愛知工場の副工場長に就任した。出迎えてくれたのは、間中によって実権を奪われていた工場長の三沢だ。

 工場では、本社の経理部長、斑目の手によって利益の水増しが行われていた。不正の仕組みを解くカギは、工場にある仕掛品の金額算出方法にあった。達也はその仕組みに気づいたが、粉飾はまだ明るみになっていない。公認会計士の西郷による工場の棚卸し監査が終わり、次は本社の監査が始まる。

伊豆高原

 熱海駅の新幹線の改札口で、工場長の三沢充は財部早百合を見つけた。2人は伊豆高原にある宇佐見の別荘に行くため、熱海駅で落ち合ったのだ。

 「お嬢さん、お久しぶりです。奥様はお元気ですか」
 三沢が声をかけた。
 「もうほとんど寝たきりです。でも、頭はしっかりしておりまして、今日も出がけに三沢さんと宇佐見先生によろしくと申していました」
 早百合は、力のない声で答えた。

 「母がどうしても先生と三沢さんにお伝えしたいことがありまして、ご足労願いました」
 三沢は早百合の表情からただならぬ覚悟を感じ取った。

 2人は伊東駅からタクシーで宇佐見の別荘に向かった。窓からは思わず絶句するほど美しい新緑の景色が広がっていた。
 宇佐見の別荘は一碧湖の先にあった。大室山まで歩いて小一時間の場所だ。門のベルを押すと「お待ちしていました」と夫人の声がして、ロックされていた扉が自動的に開いた。2人はこぢんまりした居宅に入った。

図版

 「この度は母のわがままをお聞きくださり、本当にありがとうございます」
 早百合は宇佐見夫妻に深々と頭を下げた。
 「ふみさんの頼みだからね」
 宇佐見はマヒした左手をさすりながら答えた。

 「お体は大丈夫でしょうか」と、三沢が心配そうに聞いた。
 「見ての通りだよ。ところで達也は元気でやっているかな?」
 「頑張っています」
 「頑張っている? あいつは頑張りすぎてへまをする」と言って、宇佐見はうれしそうに笑った。

 「で、早百合さん。今日の用件は何だね」
 「母からのお願いです」と言って、早百合はハンドバッグから封筒を取り出して、宇佐見に渡した。
 「読んでくれないかな」
 早百合は、万年筆で書かれた便せんを封筒から取り出し、声を出して読み始めた。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第33話 「間中君を侮ってはいけない」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ビル・エモット 英エコノミスト誌元編集長