成果主義の見直しの気運が出ている背景には、ふさわしい評価システムや評価のモノサシを確立する前に、制度の導入が先行してしまったことが要因の1つとしてあるはずだ。企業は社会的存在である以上、自社にふさわしい人事・評価制度を確立していくには、自社と社会の関係性をどのように定義づけるかを見極める必要がある。
世界の4大会計事務所の一角を占めるプライスウォーターハウスクーパースは、英オックスフォード大学経営大学院のジェームズ・マーチン研究所と共同で2020年の企業の将来像を探った。その研究では、3つのシナリオを作り、それぞれのシナリオに沿って企業の雇用や人事がどう変わるかを想定した。
研究内容について、人事コンサルティングを手がけるプライスウォーターハウスクーパースHRSの山本紳也氏に聞いた。
山本 紳也(やまもと・しんや)氏
慶応義塾大学理工学部管理工学科卒業、米イリノイ大学経営大学院でMBA(経営学修士号)を取得。セイコーエプソン、外資系人事コンサルティング会社などを経て、1999年に米大手会計事務所、プライスウォーターハウスクーパースの日本法人に入社。2004年から現職。18年にわたって企業の組織・人事戦略についてのコンサルティングを手がける。著書に『新任マネジャーの行動学』(日本経団連出版)などがある
IT(情報技術)の発展、CSR(企業の社会的責任)の追求、少子高齢化、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の台頭、そしてデカップリング(非連動)といった言葉に見られるように米国主導の経済モデルが変化する予兆――。こうした様々な変化が世界を変えてきていることで、企業と社員との関係はこれから大きく変わっていくに違いありません。
こうした問題意識から、プライスウォーターハウスクーパース(PWC)は英オックスフォード大学経営大学院のジェームズ・マーチン研究所と共同で研究を実施。その結果を「Managing tomorrow's people: The future of work to 2020」と題するリポートにまとめました。タイトルの通り、2020年という将来における働き方や人事のあり方を考察したものです。
2020年に起こり得る3つのシナリオ
まず2020年における企業の将来像について3つのシナリオを作り、それぞれのシナリオに沿って企業の雇用や人事がどう変わるかを想定しました。シナリオは、PWCが毎年実施している「CEO(最高経営責任者)サーベイ」や、米国、英国、中国の大学生に対して行ったアンケート調査の結果などを基に作成したものです。
3つのシナリオのうち、企業の存在が今以上に大きくなっていると想定したものが「ブルーワールド」です。ここでは大企業の論理が社会のルールをリードし、人間の生活様式も企業に大きく左右されるようになります。
企業は規模の拡大を一段と追い求め、優秀な人材を貪欲に探し続けます。規模が大きくなって従業員の数が増えると、従業員を束ねていくための企業文化や行動規範の重要性も高まる。企業文化や行動規範によって、膨大な数の従業員が統制の取れた行動をするようにする必要が生じるからです。
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