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ネット時代だからこそ、店の棚には価値がある

実店舗の品揃え、それ自体が「情報」だ

  • 和田 けんじ

バックナンバー

2008年3月5日(水)

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前回から読む)

 ネット時代に、実店舗で大量の品揃えを持つ意味はあるのか。
 東急ハンズのような業態は、通販サイトにその場を譲りつつあるのじゃないか。

 前回はこのような疑問に、私なりの答を提示させていただきました。店頭でお客様のご要望を聞き、自ら商品を探し、実際に商品に触れ、使い勝手を知り、お客様に説明していくうちに、店員自身に「プロの消費者」としての、お客様の目線で見た商品情報が蓄積していく。これは、ネットを使って「メーカーからお客様へ商品を動かす」ことでは得られない、実店舗ならではの付加価値なのではないかと。

 しかし、考えていくうちに、もっと面白いことに気づきました。
 実際の店舗、そのものが、ウェブサイト同様かそれ以上の「情報」としての価値を持っている、ということです。それはもちろん、お客様に対しての「情報」です。

 最初は、お客様から求められる「こういう(漠然とした)商品はないの?」という、いわば情報のインプットで始まります。ですから、東急ハンズの品揃えは常に変化し続けています。お客様からお寄せいただくご要望やご意見から、「今、何を提案すべきか」、「何を仕入れるべきか」考え、品揃えに反映させていきます。

 以前、デンタルケア・オーラルケア用品でご要望を受けたお話をさせていただきましたが、当時も現在と同様、大手メーカーが圧倒的シェアを誇る商材のため、お勧めすべき商品を揃えるのは簡単ではありませんでした。

 そんな中、ある担当者が通っていた歯科医院で、歯科医専用の製品を発見し、製品の品質の素晴らしさに、小売店である東急ハンズとの取引をメーカーにご提案し、商品導入を実現したことがあります。

 そのメーカーには、歯ブラシはもちろん、歯間ブラシ・デンタルフロス・ミラー・歯間用ピック・歯垢発見剤・舌用ブラシなどなど様々な商品がありました。さらに、それら個々の商材に、たくさんの種類の商品がラインナップされているのです。このメーカーとの取引開始により、品揃えは飛躍的に幅広くなり、専門的になりました。

 ここまでが、以前お話ししたところです。

「漠然とした欲求」は、実物の品揃えで活性化する

 この幅広く専門的な品揃えは、お客様にご好評をいただきました。そして同時に、このことによって、新たなご要望が持ち込まれるようになったのです。「こんなものがあるとは知らなかった。だったら、もっと歯磨きや、口臭対策グッズも充実させてほしい。今まで知らなかった良い商品も、あるならあるだけ見てみたい」というものです。

 つまり、店頭でデンタルケア用品の充実が「目に見える」ようになったことが、潜在的な、お客様自身が気づいていないニーズを刺激したのです。

 お客様は、「商品に対する漠然とした欲求」、例えて言えば「飢え」のようなものを感じていました。「美しく、健康的な歯や歯茎であり続けたい」と。しかしどこに行っても、あまり大差ない商品しか売っていない。「何か、もっと良い商品があればいいのに・・・」。多くの方が、そう感じていたのです。

 そんな中、東急ハンズで今まで見たこともない商品を見つけたお客様は、「こんな商品があるなら・・・」と、ご要望を持ち込まれたのです。店頭で形となって現れた「商品」という情報が、お客様の潜在的な欲求を刺激し、さらなる欲求を生みました。

 それは従来と同じように店頭の我々に伝えられ、新しい商品探索の旅が始まります。こうして、先の歯科医院専門メーカーの情報などから、墨や野菜の歯磨き、口臭予防ガム・口臭予防タブレット等を次々に導入させていきました。

 ある商品を実際に仕入れたことで、来店客から新たなニーズを引き出し、さらに連鎖していく。商品が商品を呼び、進化(深化)した商品群が「情報」となり、「情報」が「情報」を呼んでいくのです。

 もちろんネットでも「品揃え」による、情報の連鎖は発生するでしょう。しかし、実際に店頭で現物がずらりと並んでいる(それも、「プロの消費者」が、自らのすべてを賭けて、配置に“物語性”を与えてです。「品揃えとは、つまり「従業員の顔」である」)ときと、単なる画像や文字の「記号的な情報」として見るときとでは、刺激の深さが違う。そこから誘発される情報の質や量も違う。わたしにはそう思えてならないのです。

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