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その売り上げでは、なぜバツなのか

  • 松尾 絹代

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2008年3月19日(水)

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 「とりあえず開発を始めてしまおう。受注金額はおいおい決めればいい。黒字は確保できるだろう」。ソフトウエアなどの情報システム開発や建設工事で、これまで当たり前のように行われてきたこうした契約慣行は、もはや通用しなくなる。

 というのは年の瀬も押し迫った昨年12月27日、企業会計基準委員会(ASBJ)は新しい会計基準を公表したからだ。その基準の名称は、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」。

 この新基準の施行で、システム開発や建設工事にまつわる会計処理は、原則としてソフトウエアの開発もしくは建設工事(作業)の進捗に応じて収益や費用を計上する「工事進行基準」を採用することが明示された。工事進行基準に基づいた会計処理では、作業の進捗率が30%であれば、売り上げも原価も総額の30%計上する。

 これまでの会計処理では、情報システムや建物などが完成し、顧客に引き渡した時点で、その作業にかかった収益と費用の総額を一挙に計上する方法が認められてきた。この会計処理は「工事完成基準」と呼ばれている。

 しかし、昨年末に示された会計基準では、2010年3月期からは原則として、工事進行基準の適用を義務づけられる。従来の工事完成基準は、「工事進行基準を適用できない場合のみ」という条件付きとなった。

不適切、不正な会計処理を防止する

 工事進行基準の原則適用で、システム会社や建設会社は、「この工程では、●●円の原価が発生しているから、進捗率は●●%」というような原価や進捗率を正確に把握する工程管理能力が求められる。管理能力に磨きをかけなければ、架空売り上げの計上や赤字の繰り延べといった不適切ないしは不正な会計処理を行ってしまうからだ。

 例えば実際は10%の進捗率なのを50%と見積もってしまうと、40%分の架空売り上げを計上してしまう。また実際は原価が売上高を総額で1億円上回っているのに、原価総額の見積もりを実際より1億円低くしていれば、見積もりが修正されるまで1億円分の赤字が繰り延べられてしまう。

 新基準では、例えばこうした損失の繰り延べを防止するために、損失が見込まれることが分かった時点で、将来分も含めて100%損失を計上しなくてはならない。そのため仮に赤字で受注したならば、その時点で赤字を全額、先行して損失計上しなくてはならない。

ソフトウエア開発会社は既に対応求められる

 工事進行基準の適用は、対象となるソフトウエア開発や建設工事を行う企業に、これまでより厳格な会計処理を強いることになる。特にここ最近、循環取引など不正な会計処理などが次々と明らかにされたソフトウエア業界にとっては、会計処理を適正化し、投資家の信頼の確保は喫緊の問題と言える。こうした事情もあり、実はソフトウエア業界には、2010年3月期の「工事契約に関する会計基準」の適用に先駆けて、今期2008年3月期から適用しなければならない別のルールも公表されている。それは今から2年前の2006年3月にある書面で公表された。

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