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Vol.10 ブログメディアのスゝメ(その1):上から目線をはねのけろ

  • 小林弘人

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2008年3月31日(月)

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 前回(Vol.9 あなた自身が「誰でもメディア」の勝者になるには?(後編))は、「誰でもメディア」として大成功した有人メディアの「BOING BOING」の成功について、そこから私たちが得ることのできるヒントについて触れました。今回は、改めてブログというツールを駆使した有人系メディアの可能性について語ってみましょう。

企業がブログをメディア化するのが、なぜ難しいのか

 私の知己であるブロガーや、私がプロデュースに携わった著名ブロガーのなかには、ブログの運営によって、アフィリエイトで小遣いを稼いだり、これまで訴求できなかったターゲットを獲得でき、本業が潤った人もいます。なかには、ブログでの連載が受けて一気にスターダムに駆け上がり、新しいファン層を開拓できた人もいました。そのような成功に至らないまでも、新しい交遊関係や商流を築けたという人は多いでしょう。

 「ブログが人生を変えた」という話は、ブログ関連の書籍に任せて、ここではメディア・パブリッシング・ツールとしてのブログの可能性をメディア・ビジネスの運営者として考えてみます。

 おそらく、メディアとしてのブログの使い方は大きく分けて3つです。

 「日刊あなた(ブログを書く、あなたのことです)」か、そうでないか、あるいはその両者を兼ね備えたハイブリッド・タイプか。また、企業などの法人は、大別すれば「日刊あなた法人版」という括りになるかと思われます。

 米国のWOMMA(Word of Mouth Marketing Association)という団体~私は「全米口コミ協会」と訳しています~が定義する口コミ・マーケティングの手法のなかに、ブランド・ブログ・マーケティングと呼称される方法があります。これはブログを利用して、企業やその商品のブランドを向上させるというものです。

 このブランド・ブログ・マーケティングは、実は「ブログで人生が変わった」と思う人たちの多くが無意識に行なっていたりします。企業がそれを行なった場合の成功事例として、マイクロソフトの広報ビデオ・ブログ「チャンネル9」が有名ですが、いずれも忍耐強く、オーディエンスとの対話を続け、また真摯にレスポンスすることで、ブロゴスフィア(ブログ圏)でのコミュニティを形成、そして長期に渡る信頼を醸成していくのが、ブランド・ブログ・マーケティングの真髄であり、その対極に「嘘くさい人工的な」ブログが存在します。

 ※「チャンネル9」のサイトはこちら

 SMO(Social Media Optimization)~SNSなどのソーシャル・メディアにおける情報の適正化~という言葉を生み出したRohit Bhargava氏は、ブランド・ブログ・マーケティングのカギを握るのは、「Personal matters」(個人的なこと)であると主張しています。つまり、多くのブロガーにとっては、「何を今さら当然のことを語っているのだ?」と思えることですが、企業や既存メディアのプロがブログを利用する場合、この点は軽視されがちです。

 この「個の声を届かせる」ということが、ブログやSNSなどのメディア上では重要だということですね。

嘘は致命的、共感こそ最優先

 かつて、北米において、宣伝臭が漂う動画ビデオを、さも偶然に自分が発見したかのように、その動画へのリンクを貼った自称・個人ブログが、ブロガーたちから糾弾されたことがありました。投稿内容の真贋がブロゴスフィアで検証され、それが企業によるヤラセであることを突き止めようと、ブロガーたちが躍起になったのです。

 このとき、伝説の広告マンであるスティーブ・ヘイデン氏は有名な言葉を発しました。

 "If you fudge or lie on a blog, you are biting the karmic weenie"

 意訳すると、「ブログでデタラメを言ったり、嘘をついたら、そいつはとんでもないヘマをしでかしている」という意味です。

 かの自称・個人ブログはすぐに姿を消しました。「嘘くさい人工的な」ものは、短命なのです。

 この「誰でもメディア」時代に、コケおどしや、「豪華超大作」というのは、第一義にコンテンツの設計思想に掲げるべきテーマではありません。私は「個の声」による「共感」が第一義にあると考えますが、実はクリエイティブの原点も、この共感の創出にあるのではないでしょうか。

 前述の事件はすでに風化し、いまではブロゴスフィアでは当たり前の教訓ではありますが、この件から窺えるように、旧来メディア人はこの「個の声」を消すことを訓練されてきたわけです。しかし、「誰でもメディア」時代は、その逆をいき、共感を引き出すことがパワーをもちます。

 それは必ずしも記名でブログを運営しろ、という単純な解を提起しているわけではありません。媒体としてのブランドを構築するにおいて重要なのは、個人名ではなく、個性ということです。

個人名ではなく、個性

 これまでも、記憶に残る雑誌などは、集団で生み出されたものでも、一人のエディターシップの個性が貫徹されているケースが少なくありません。つまり、運営者は、かつて紙媒体の編集者がそうであったように、フレームを設計する「力」や個性を身につけていることが前提となるのです。

 私はメディア戦略のコンサルテーションも行なっているため、よく企業に呼ばれ、宣伝担当者から「このコンテンツは、有名な○○と××によるもので、Win-Winを狙っています」と聞かされることが稀にありますが、そのようなコンテンツをネットで開陳すれば、即成功と考える人々を説得するのは骨が折れます。まして、そのような著名な著作権者が管理するコンテンツであればあるほど、「あれをやるな、これをやるな」という再クリエイティブに対する縛りが多いものです。

 日本では初めての試みとなりますが、2003年に映画の制作日誌をブログ化した案件がありました。それは、有名なアニメ・クリエーターの新作映画の公開にあわせたものです。その頃、ブログ自体が一般的に認知されていないこともあったのですが、宣伝担当者は古くからのネットユーザーであり、ブログを利用したプロモーションに前向きであったため、ぜひブログで宣伝活動を行なおうということになりました。

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