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世界最大級の望遠鏡レンズを研削で
つくるマシンを開発した男たち

ナガセインテグレックス・山口 政男氏

  • 瀬川 明秀,日本機械工業連合会

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2008年4月8日(火)

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 天文台の大型望遠鏡に使われる集光レンズの鏡面加工には、従来は砥粒で磨くラッピングという加工法が用いられてきたが、加工には時間がかかり、ものによっては1年も要した。しかし、同社が超高精度な位置制御を行いながら砥石で削る研削盤を開発したことで、複雑な非曲面レンズの超高精度な研削加工が可能になり、製作期間は1カ月程度に短縮された。ハワイのすばる望遠鏡にはシュミットレンズと呼ばれる赤外線観測用のレンズが組み込まれているが、このレンズも同社の工作機械だけで研削加工されたもので、形状誤差は200 nm(ナノメートル)、面粗さは50nmに抑えられている。最近では日本の名だたる精密機器、電子機器メーカーで同社の工作機械が使われ、精巧で故障が少ないという日本製品の評判を支えている。

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【会社概要】

山口 政男氏

山口 政男氏 (63歳)
Masao Yamaguchi
専務取締役 工場長

ナガセインテグレックス
岐阜県関市

設立
1958年9 月(1950年創業)
資本金
5000万円
従業員数
120 人(2007年10月現在)
ワンポイント
10nmの面粗さ精度を加工機で出す技術は、日本の最先端企業が必要とする技術となっている

【その他の「ものづくり日本大賞」受賞メンバー(五十音順)】
板津武志、宇野剛史、木村吉行、郷泰幸、長瀬幸泰、野口典孝


世界一の研削盤を目指してきたら、望遠鏡のレンズ研削盤ができた

 「自分たちが天文台の望遠鏡レンズをつくるなんて、想像もしていなかったし、今までそれを目指してきたわけでもないんです」

 山口さんは開口一番、こんなことを言った。

 天文台に設置される望遠鏡のレンズの鏡面加工には極めて高い精度が要求される。従来は砥粒と呼ばれる粉を使って磨くラッピング工法で精度を出していたが、加工には1年近くかかった。ところが、同社の超高精度な研削盤(砥石で削る工作機械)で加工したところ、ラッピングと同等の精度のレンズが1カ月でできてしまったのだ。常識を超える精度の研削盤を開発したら、レンズまでできてしまった。そういう意味である。

 では、なぜそのような高精度の研削盤を製造できたのか。その謎に対する解答は、精度を追い続けてきた同社の歴史そのものにある。山口さんが高校の夜間部を卒業して長瀬鉄工所(同社の前身)に入社したのは1969年。当時はドイツなどの欧州メーカーの工作機械が世界最高の精度を誇っていた時代だが、同社は「性能には目をつぶるので、とにかく安い機械が欲しい」という金型の町工場向けに工作機械を製造販売していた。


「小さなことでも世界一を目指す。
その積み重ねから 世界に類のない工作機械が生まれた」

 そのことに山口さんは特に疑問を感じていなかったが、機械の設計・導入のため米国に1年間駐在した経験が転機になった。

 「工場の設計から機械の販売、さらには普段の生活レベルまで、何もかも日本より進んでいたことに大きなショックを受けたんです」

 日米の格差に衝撃を受けて、山口さんの中で何かが目覚めた。帰国後しばらくして、社長の二男の長瀬幸泰氏(現社長)が大学で機械工学を学んで入社してきた。

 「私は、優秀な成績で有名校を卒業してきた彼に、もっと大きな舞台で活躍することを勧めたんですが、父親がつくった会社を立派にする仕事がしたいというので、それなら『後継ぎで楽しようなんて思うな。どうせやるなら一緒に世界一を目指そう』と」

 誰もやらないこと、小さなことなら中小企業でも世界一になれる。同社の挑戦はここから始まった。

コメント6件コメント/レビュー

日本は沈んでいる など無責任な評論家の報道に国民として自信をなくしたり、兎角暗くなりがちな所です。 このように、しっかりと先を見て真似することの無い技術開発をされていることを見聞きしますと、嬉しくなります とともに、政治の世界では税金を無駄な時間をかけて、浪費しているような感があり、国土交通省の私腹を肥やすような使い方を見聞きすると、もっとこのような地道に取組んでおられる分野への助成を望みたいものです。(2008/04/08)

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日本は沈んでいる など無責任な評論家の報道に国民として自信をなくしたり、兎角暗くなりがちな所です。 このように、しっかりと先を見て真似することの無い技術開発をされていることを見聞きしますと、嬉しくなります とともに、政治の世界では税金を無駄な時間をかけて、浪費しているような感があり、国土交通省の私腹を肥やすような使い方を見聞きすると、もっとこのような地道に取組んでおられる分野への助成を望みたいものです。(2008/04/08)

(1)夜間高校を出て、世界のトップ技術にまでに上り詰める。孫悟空かアラジンのような凄い話です。同時に、若い彼の才能を見抜いて、米国に派遣したナガセ社長の決断が光ります。今の日本に、これだけの決断が出来るトップがいるだろうか? 心は未だ若いと公言し、会長や社長の地位に汲々として古希を迎えようとする人、の如何に多いことか。落語に「酔った、と言う人は大丈夫。問題は、俺は酔っていねえ、と言う奴が一番危ねえ」というのがあります。あれです。(2)”日経ビジネス”の性格から先端技術を重視するのは当然でしょう。が、宮大工・竹細工・染色・養蜂・育林・米作などの伝統技術の継承と発展も取り上げて下さい。そうして、何れは単行本か又は、動画を含むDVD版で刊行して欲しい。百科事典もその傾向ですね。(2008/04/08)

すばらしい技術だとおもう。しかし残念なのは、この技術を十分に生かしきるだけの経営的発想、即ちトップセールスが日本にないことだ。謙虚すぎるのだ。レンズだけではもったいない。たとえば防振技術を超高級オーディオに応用したり、航空・宇宙関連にアピールすることもできるとおもう。がり(2008/04/08)

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