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第9回: 買収価格の算定(1)取扱注意!
企業価値は壊れ物です

経営者自身が企業価値算出のリーダーシップをとれ

  • 西村 裕二

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2008年4月3日(木)

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 買収先の会社の値段はどうやって決めれば「適正」と言えるのだろう。

 例えば、米マイクロソフトが米ヤフーに対して行った買収提案。買収前20ドル近辺に落ちた株価に対してマイクロソフトの買収提示額は1株31ドル(総額約450億ドル)だった。平均的なプレミアムは3割程度といわれている中で、破格の6割ものプレミアムを支払う提案。しかし、2008年2月23日の週刊ダイヤモンドによれば、ヤフー経営陣は35ドル~40ドルの企業価値があると考えているという。更に価格の上昇があるかもしれない。

 2007年の米検索広告市場は、Googleが75%(前年60%)と圧倒的なシェアを誇る一方、2位のヤフーは9%しかシェアを持っておらず(eMarketer社調査)、2位以下は「弱者連合」といえるかもしれない。しかし、バナー広告のようなディスプレイ広告市場では、2007年11月時点でグーグルが1%しかないのと比較しヤフーは19%と1位、マイクロソフトも7%と3位を占め、この買収により両社が合併すればダントツのトップとなる(comScore社調査)。マイクロソフトにとっては、事業構造をソフトからネットへ大きくシフトするのに有効な買収だということだろう。

 今回のディールに関して、プレミアムの割合の違いがどの程度買収金額に影響を及ぼすかを簡単な計算で見てみよう。プレミアムがなく時価ベースだと買収提案額は約280億ドル、平均レベルのプレミアムの3割だと約360億ドル、今回の6割プレミアムで約450億ドル、ヤフー経営陣の想定している最大値の倍だと約560億ドルである。2007年12月時点で現預金、短期投資を合わせた流動資産を約210ドル保有する「超お金持ち」のマイクロソフトといえども、これらの価格差は経営的に意味が大きい。

 価格決定は買収の成否、ひいては経営の成否に大きなインパクトを与える。最初の問いに答えるなら、買収価格が「適正」になるかどうかは経営の判断と実行次第なのだ。しかし、現状を見ると、一般的に経営陣は価格決定に積極的に関与しているわけでなく、財務担当者や投資銀行などの「専門家」に丸投げしているケースが多く見られる。

 今回は「適正な」価格で買うためには、経営者の関与がいかに重要であるかを説明したい。

「プレミアム」って何?

 マイクロソフトのヤフー買収提案のケースのように、一般株主からの株式の公開買い付け(TOB: Take-Over Bid)を実施するときには、株価にプレミアムを上乗せするのが常道だ。

 それでは、なぜ買い手はプレミアムを払わなければならないか?

 ひとつの説明としては、株式に対する需要が増加するために価格が上がるという「需給メカニズム」だ。また、経営的な意味合いからも説明できる。株式を多く保有することで、経営に参画する権利が得られるが、会社を「支配」可能な株式を保有できれば、業績改善や既存事業とのシナジーにより、投資に対するリターンを得ることができる。一方、少数の株式しか保有していなければ、当然経営に参画できず、現経営陣に任せざるを得ない。

 つまり、買収者と現経営陣の「経営手腕の差」が、この「支配権プレミアム」の本質である。従って、買い手が買収により見込むことのできるリターンの大きさにより、プレミアムが異なってくる。

企業価値はそもそも脆弱(Fragile)なもの

 企業価値にはしっかりとした「定価」があるように思われている方が多い。ところが、企業価値は業績修正、事故、アナリストのレーティング変更など個別企業の状況だけでなく、景気動向や市場金利などマクロ状況にも大きく左右され、企業実態はほとんど変わらなくても大きく変動する。その意味で、企業価値というものはとても脆弱なものであるともいえよう。

 例えば、トヨタ自動車ほどの優良企業でかつ営業利益、純利益ともに最高を更新した企業であっても、株価は2007年2月に記録した昨年の終値ベースでの最高値8340円から2008年1月における今年最安値の4880円へと4割低下した。なぜ企業価値は、これほど大きく変動するのか。

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