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会計基準の孤島になりかねない日本

  • 杉田 庸子

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2008年4月28日(月)

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 “Goodbye GAAP”(さようなら、米国会計基準)

 英「エコノミスト」が米国で発行しているCFO(最高財務責任者)向け月刊誌「CFO マガジン」の2008年4月号の表紙を、そんな言葉が飾った。同誌は4月号のカバーストーリーの中で、「米国企業も、近い将来、国際会計基準を採用しなければならなくなるだろう。問題は、それがいつかだ」という米系多国籍企業CFOのコメントを引用し、「2013年には米国の上場企業が国際会計基準をもって財務諸表を作成及び報告することになるのでは」との予測を示した。

 米国が国際会計基準の採用に傾いている様子は、スタンフォード大学経営大学院が主催した「SECの挑戦-米国企業の国際会計基準への用意は万全か?」と題したセミナーに参加した際に改めて確認させられた。このセミナーの講師は国際会計基準を設定する主体の国際会計基準審議会(IASB)の委員であるスタンフォード大学経営大学院のメアリー・バース(Mary Barth)教授であった。セミナー参加者に対し、バース教授は米国基準を国際会計基準と一致させていくIASBとFASBの決意を繰り返し強調した。

 米国は自らが世界の資本市場をリードしてきたという自負を持っており、世界一厳しいとされる米国基準に対するする強い自信もあった。それゆえに、米国証券市場は従来、世界中のどこの国の基準で作成された財務諸表も米国基準に直さない限りは認めないという強気な姿勢を通してきた。

 その米国の、昨今の手のひらを返したような動きは瞠目に値する。一体米国で何が起きているのか。

2002年からの取り組み

 米国の国際会計基準へのコンバージェンス(共通化)への歩みは2002年に国際会計基準審議会と米財務会計基準機構(FASB)が、会計基準を中長期的にほぼ同じ内容とすることを念頭に、協力関係を構築していくことを宣言したところから始まっている。

 それから5年の年月がかかっているが、当初設定したMOU(覚書)の達成状況は芳しいとはいえない。その背景には、米国会計基準と国際会計基準の間に大きな違いがあるからだ。国際会計基準は原則重視(Principal Based)である一方、米国会計基準は規則重視(rules based)であることがある。米国基準は詳細に適用すべき会計処理を定めてきたのに比して、国際会計基準は原則の設定に注力し、適用に当たって企業の判断の余地を大きくしている。

 また、税法上のメリットを狙って米国の上場企業の40%が採用しているという後入先出法を国際会計基準が認めていないことも大きな議論だ。米国にとっても国際会計基準へのコンバージェンスは決して簡単ではない。

米国企業にも国際会計基準の採択を認める方向か

 こうした壁はあるものの、米国は2007年11月、米証券取引委員会(SEC)が米国で上場する外国企業に、2008年分の財務報告を行う時から国際会計基準による財務諸表の提出を認めると決定した。またSECは、2007年に米国企業にも国際会計基準の採用を認める方針についてコンセプトリリースを公表した。

 2008年2月5日には、欧州を訪問していたSEC委員長クリストファー・コックス氏が、欧州・米国経済界会議で、「投資家は(世界)共通の言語を必要としている。2008年にも米国企業に国際会計基準の適用を認めたい」と発言している。米国内では、コックス氏は米大統領選挙の前、2008年夏には米国企業に国際会計基準の適用を認める発表をするのではという説が濃厚だ。米国公認会計士協会(AICPA)も上院公聴会で「米国の上場会社にも国際会計基準の適用を認めるべきである」と証言している。

コメント3件コメント/レビュー

日本の株式市場は海外投資家が左右している。日本の大手メーカーの連結財務を見れば、優良企業であればあるほど生産活動の多くを海外子会社で行っている。投資資金もM&Aもボーダーレスになっている今の時代に、会計基準の国際化に乗り遅れれば大変なことになる。第三の開国が迫っているのではないか。(2008/04/28)

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日本の株式市場は海外投資家が左右している。日本の大手メーカーの連結財務を見れば、優良企業であればあるほど生産活動の多くを海外子会社で行っている。投資資金もM&Aもボーダーレスになっている今の時代に、会計基準の国際化に乗り遅れれば大変なことになる。第三の開国が迫っているのではないか。(2008/04/28)

この国には自覚、自戒、自己客観視、という言葉の意味が理解できる政・財・官の人物が居ないのでしょうか。戦前、戦中、自国の利権を守る為と称し、軍事力を行使して敗北した愚をまた繰り返すのでしょうか。過去の過ちや失敗から何も学べない、反省の欠片もない今の日本に未来はないと思います。(2008/04/28)

日本の場合、国際基準を推進する人達にしても反対する人達にしても、自分たちで働きかけて国際基準に自分達の考えを盛り込ませるという考えがないのが不思議ですね。(2008/04/28)

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