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第40話 「斑目のカラクリを見破っているかもしれない」

2008年5月7日(水)

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◎前号までのあらすじ

 ジェピーの愛知工場では、本社の経理部長、斑目の手によって利益の水増しが行われていた。不正の仕組みを解くカギは、工場にある仕掛品の金額算出方法にあった。達也はその仕組みに気づいていた。

 本社では公認会計士の西郷による監査が始まっていた。監査5日目、それまで黙々と資料を検証していた西郷は、達也に質問をぶつけ始めた。愛知パーツ、ジェピー、北海道工業の3社で、年4回も全く同じ商品が購入・販売されていることに疑問を投げかけたのだ。

 西郷はこれを「循環取引」ではないかと、はっきり指摘した。

 達也は沈黙を続けた。

 「ほかに聞きたいことが山ほどありますから」

 西郷は話題を変えた。

 「こんな方法で仕掛品の在庫金額を計算する会社を初めて見ました」

 西郷は珍しく笑みを浮かべた。
 
 「通常、メーカーは仕掛品金額を計算するために、人手とコンピューターにお金をかけますが、お宅の会社は時間も金もかからない画期的な方法ですね」

 (画期的だって…強烈な皮肉だぜ)

 達也はおかしくなった。

 「経理課長の団さんに説明するまでもありませんが、仕掛品の金額は、それが製造工程のどこにあるのかで、大きく変わってきます。倉庫から払い出されたばかりの仕掛品と、完成直前の仕掛品では、加工費が全然違ってくるからです」

 「分かります」

 達也は短く答えた。
 
 「愛知工場の、ほとんどすべての工程に、たくさんの仕掛品在庫が散在していました。正直言って『これらを評価するのは大変だな』と思いました。ところが、当社の経理部はきわめて簡単に計算していました。驚きました」

 「ええ。斑目部長が考えた方法だそうです」

 達也が言った。

 「そうでしたか。優秀な方ですね」

 と言って、西郷は監査調書をめくりながら質問した。

 「経理マニュアルと今期の計算シートを見たのですが、簡単に言えば仕掛品の計算方式はこのように考えていいんですね」

 西郷は質問を続けた。

 「まず、決算期末の仕掛品の在庫数量をカウントする。具体的には、製品1つに対して1つだけ使うメインパーツの数をカウントして仕掛品数を確認し、部品展開、つまり部品表を使って構成部品に分解する。

 それぞれの部品の数量に単価をかけて材料費を計算する。この金額の合計が仕掛品の材料費です。さすがに、この作業はコンピューターを使わないとできませんね」

 西郷が確認した。

 「その通りです。愛知工場の木内課長が仕掛品数量を確定させて、コンピューターに入力しています」

 と、達也が答えた。西郷は話を続けた。

 「材料費は製品ごとに計算しますが、加工費は工場にある仕掛品を製品グループ別にまとめて計算しています。つまり、可変抵抗器とコネクターとスイッチごとの仕掛品金額ですね」

 達也は黙って頷いた。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第40話 「斑目のカラクリを見破っているかもしれない」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官