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「気がついたら、世界で最も進んだ鋳物屋になっていた」

木村鋳造所の木村 博彦氏

  • 野村 滋

  • 日本機械工業連合会

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2008年5月7日(水)

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 鋳物は、鋳型の内部(木型などを使って砂で固めた“空間”)に、溶けた金属を流し込んでつくるのが一般的。これに対して、木型の代わりに発泡スチロールの模型を“砂込め”し、そこに直接金属を注ぐのが「フルモールド鋳造法」だ。従来法に比べ、より短納期で高精度の製品をつくることができる半面、模型は一度使えば消失してしまうため、量産品には向かない。というより「使えない」というのが業界の常識だった。IT(情報技術)を取り入れることでこの難問をクリアした木村鋳造所は、現在、国内の自動車用プレス金型鋳物で45%、工作機械用鋳物では19%のシェア(2006年)を持ち、特に大型工作機械向けでは、世界レベルでその強さを発揮している。一般の目には触れないところで、製造業を支えている。

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【会社概要】

木村 博彦氏

木村 博彦氏 (67歳)
Hiroyoshi Kimura
代表取締役

木村鋳造所
静岡県清水町

設立
1948年5月
資本金
8000万円
従業員数
744人(2007年4月現在)
ワンポイント
88年から、従来の鋳物工場のイメージを一新させた御前崎工場(静岡県)を稼働。システマチックでクリーンな作業環境を実現した

「量産は無理」に挑戦。職人芸を凌駕し、業界の常識を覆す

 発泡スチロール製の丸や四角の“部材”を持ち歩き、何やら組み立てている女性たち。「さて、ここで何をつくっているのでしょう?」と聞かれても、答えに窮するだろう。種を明かせば、これから鋳造によってつくられる製品と寸分たがわぬ模型である。加熱すれば溶けてなくなる発泡スチロール製、というのがポイント。金枠の中で模型を砂で押し固め、そこに溶けた金属を流し込めば、模型が鋳物に入れ替わるというわけだ。

従来の金型に代わって、発砲スチロールで模型を作製、熱く溶けた金属を注げばその模型と同じかたちの製品ができる
従来の金型に代わって、発砲スチロールで模型を作製、熱く溶けた金属を注げばその模型と同じかたちの製品ができる
従来の金型に代わって、発砲スチロールで模型を作製、熱く溶けた金属を注げばその模型と同じかたちの製品ができる

従来の金型に代わって、発砲スチロールで模型を作製、熱く溶けた金属を注げばその模型と同じかたちの製品ができる

 「鋳物といえば、木型法が主流です。でも、最終製品のかたちと同じ空間を実現する木型をつくるのには、熟練の技が必要ですからね。鋳型から木型を引き抜く時の“抜け勾配”を計算しなければならないし、作業は煩雑を極めます。『フルモールド鋳造法』なら、すべての工程で製品そのものの形状さえ考えていればいい。それが大きなメリットなのです」

 ただし、デメリットもあった。溶けてなくなるとはいえ、石化製品の発泡スチロールが燃えれば、微量の炭化物が残る。これが製品に悪影響を及ぼすことがあるのだ。もう1つ決定的な弱点は、木型が繰り返して使えるのに対し、模型は“使い捨て”であること。いいものはできるが単品しか無理。これが常識だった。同社は、「生成したカーボンを外に出す世界で唯一の技術」を開発することで、前者の問題を解決。そして後者を克服するのに活躍したのは、ITだった。

 「たくさんの鋳物メーカーが、このフルモールド鋳造法にチャレンジし、ことごとくうまくいかなかった。当社だけが大型で高精度の製品を量産できたのは、この鋳造技術をITと融合させることに成功したからにほかなりません」

 コンピューターを活用したCAD/CAMによる模型づくりに踏み切ったのは1996年。その後の技術の発展に歩調を合わせるようにIT化を進め、2002年には自社のCAD/CAM比率は100%になった。この年、模型製作職人のトップスピードを初めて凌駕し、業界の常識を覆す。同じ模型を速く大量につくることで、量産を可能にしたのである。

 IT による模型づくりは製品の3D(3次元)データ作成から始まる。このデータをプラモデルの部品のように分割し、それに基づいて発泡スチロールをNC(数値制御)加工により切り出す。次のステージが、冒頭に紹介した組み立てだ。簡単な設計図をもとに、彼女たちは1000でも2000でも、同じ模型を手際良くつくり上げていく。IT化によって、模型製作期間はおよそ1週間~10日(自動車用プレス金型用鋳物、重量12トンの場合)に短縮。手づくりに比べると、約半分でよくなった。

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