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第42話 「不透明なお金の流れが、他にもあるんですよ」

2008年5月21日(水)

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◎前号までのあらすじ

 公認会計士の西郷による監査が最終日を迎えていた。

 西郷は、加工費の配分基準に問題の本質があることを指摘した。完成品の50%に相当する加工費を未開封の部品に配分するジェピーのやり方こそが問題だというのだ。

 なぜなら、3月に生じた加工費の多くが仕掛品として翌年度に繰り越される。その分、今年度の会社の利益が多く計算されるからだ。

 達也はこれまで一度もこのことが指摘されなかったのはなぜかと、西郷に詰問した。

 「少し専門的な話になりますが、この問題には2つの要素が絡み合っています。1つは、生産量を増やすとそれだけ利益が増えてしまうという会計理論そのものの欠陥です。製品原価に含まれる加工費が薄められるからですね。これはどうすることもできない。

 もう1つは、繰り返しになりますが、加工費の配分基準として材料費を採用していることで、財務会計上も大いに問題があると考えられます。

 しかし、今川先生がどのように判断されるのかは分かりません。ただ、仮に私がジェピーの監査報告書にサインする立場にあった場合、この会計処理だけで不適正意見にはしないと思います」

 (こんなインチキな決算書でも不適正意見になるとは限らないだと。とんでもない話だ)

 達也は不愉快になってきた。

 「西郷さん。ボクにはさっぱり分からない。なぜ、あなたはそんな曖昧な態度をとり続けるのですか?」

 「曖昧? とんでもありません。監査意見は監査結果を総合的に判断して決めるのです」

 「待ってください。あなたは逃げている。上司をかばうために、そして自分の責任を回避するために。違いますか?」

 達也の剣幕をかわすように、西郷は鉛筆を静かに机に置き、首を左右に振った。

 「団さん。この会計処理は利益操作を意図して行われたのだと思います。しかし、この結果捻出した利益はいくらだと思いますか? 私の試算ではたかだか5千万円です」

 (5千万円でも不正は不正ではないか!)

 ついに達也は我慢できなくなって声を張り上げた。

 「じゃあ、循環取引はどうなんですか」
 
 すると西郷は「あの取引ですね」と、落ち着いた調子で話を始めた。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第42話 「不透明なお金の流れが、他にもあるんですよ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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