• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第43話 「部長が沢口さんを使って会社の金を着服したのですか?」

2008年5月28日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

◎前号までのあらすじ

 公認会計士の西郷による監査は最終日を迎えていた。

 西郷は、ジェピーが関わっている不正な取引や利益の水増しを次々と達也に向かって指摘した。

 西郷はだからといって監査の結果が不適正意見になるとは限らないと言う。達也は西郷の言葉に落胆を覚えた。

 西郷はそんな達也を驚かすようなことを口にした。不正には経理部の沢口萌が関わっていると断言し、萌の不正はそれだけではないと言うのだ。

 「切手と印紙代です。経理部では毎月50万円ほど購入しています。毎月ですよ。多すぎると思いませんか。現物は沢口さんが管理していますね。

 しかし、これらを買った時に通信費とか租税公課といった費用としていますから、どれだけ使って、今どれだけ残っているのかは分かりません。

 切手も印紙も金券ショップに持ち込めばすぐに換金してくれます。例えば、彼女が10万円の印紙を本に挟んで持ち出しても、誰にも分かりません」

 西郷は、切手や印紙は購入時にいったん「貯蔵品」として計上し、それを実際に使用した時に通信費や租税公課の費用とすべきだと言った。なぜこのような処理をしているのか。なぜ、購入時に費用としているのか。答えは簡単だ。裏金を捻出するためなのだ。

 「旅費の仮払い精算も沢口さんの担当ですか?」
 と、西郷が聞いた。

 「そうです…」
 「未精算の出張旅費申請書を見せていただけませんか?」
 「分かりました」
 と言って、達也が立ち上がろうとした時、西郷が声をかけた。
 「それから、沢口さんの直筆のメモがあれば見せてほしいのですが」

 達也は、西郷が何を考えているか見当がつかないまま部屋を出た。

 しばらくして達也は部屋に戻ってきて、書類を机の上に置いた。
 「これが未精算の出張旅費申請書と沢口さんのメモです」
 「ああ、この店は乃木坂のフレンチレストランの名前ですね。ここには一度行ったことがあります」
 西郷は萌の手書きのメモを見てつぶやいた。

 以前、達也が食通の萌にどこかいいレストランがないかと聞いた時、萌が店名をメモ用紙に書いてくれたのを思い出した。幸い、そのメモはまだ達也の手帳に挟んだままだったのだ。

 西郷は早速そのメモをテーブルに置き、未精算の出張申請書のファイル1枚1枚と見比べた。ものの10分もしないうちに5枚の申請書に付箋が張られた。

 「思った通りですよ。3月末に未精算の出張旅費が200万円もあったのですが、今でも精算していません」
 と言って付箋のついた申請書を達也に見せた。

 「筆跡が一致している…」

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

一覧

「第43話 「部長が沢口さんを使って会社の金を着服したのですか?」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

定年後の社会との断絶はシニアの心身の健康を急速に衰えさせる要因となっている。

檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師