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ナノサイズで粒子を制御し
高機能鋼板を作り上げた技術者

住友金属工業の加藤 徹氏

  • 野村滋 日本機械工業連合会

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2008年5月19日(月)

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 建築や産業分野などになくてはならない厚鋼板。その母材であるスラブは、溶かした鉄を鋳型に流し込み、そこからローラーではさまれた「道」を通しながら徐々に冷やす「連続鋳造法」によって生産されるのが普通だ。しかし、鋼種によってはこの過程でスラブの表面にひび割れが生じるため、これを削り取る工程が必要だった。同社の総合技術研究所製鋼研究開発部は、不可避だとされてきたこのネックの解消に挑戦。スラブを急速に冷やした後に再加熱するSSC(Surface Structure Control Cooling)法を開発し、ひび割れの問題を解決した。スラブの検査、手入れの工程が丸ごと省けるため、溶接用の高品質厚板のリードタイムは3、4日も短縮。効率生産に大いに貢献している。

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【会社概要】

加藤 徹氏

加藤 徹氏 (42歳)
Toru Kato
総合技術研究所 製鋼研究開発部 主任研究員

住友金属工業(株)
大阪市中央区(総合技術研究所:茨城県神栖市)

設立
1949年7月
資本金
2621億円
従業員数
6852名(2007年3月現在)
ワンポイント
連続鋳造における「SSC法」技術と表裏一体の、ミクロ組織制御を考慮できる割れの評価試験法も独自に開発している

「避けられない現象」。
その常識に挑戦し研究は始まった

 大きな「鍋」の中で真っ赤に煮えたぎる鉄。クレーンにつるされ、次々と運ばれる厚板。時折響くごう音、そして熱気――製鉄所の内部には、ほかのどんな大規模工場とも違う勇壮な景色が広がっている。この場所で「ナノサイズ」の研究成果が息づいているとは、ちょっと信じられない思いだ。

住友金属工業(株) 総合技術研究所 製鋼研究開発部 主任研究員 加藤 徹氏

 製鉄所では、まず高炉で鉄鉱石とコークスから銑鉄(溶けた鉄)をつくり、製鋼工場で炭素分を除いた溶鋼にし、鋳造工程を経て母材を生産する。これをさらに圧延して、様々な鋼板にするのである。今回の現場は、その中の鋳造工程に当たる。

 鋳型に流し込まれた溶鋼は、その底の部分から押し出され、平べったい直方体のスラブとなってローラーの間を進み、徐々に冷やされていく。先にはトーチカッター(ガス切断機)が設置されていて、ここでようかん型に切り出される。これが「連続鋳造法」の概略である。この方式の場合、生産効率を上げるため、鋳型から下に向かって垂直に流れ出た熱いスラブを徐々に曲げ、さらにはのばして水平方向にカッターまで進行させるのだが、ここに問題が生じた。

 「近年需要が増加傾向にある建設、造船などに使われる低合金鋼の場合、この“曲げ”と、そこからの“矯正”が原因で、スラブの表面に横ひび割れが多発するのです。目を凝らさないと見つけられないほど微細なものなのですが、深さは5~10ミリメートルに達することもあって、圧延すると大きく広がってしまう」

 このデメリットを何とかできないか、以前から多くの研究が行われてきたが、切り札はなし。結局、スラブの非破壊検査を行い、傷が見つかればその部分を取り除くしかなかったのが現実だ。

 「横ひび割れは、800℃近くになると発生する『高温脆化』という現象によって引き起こされることはわかっていました。だから温度管理などで対応していたのですが、ひび割れを完全になくすのは難しいし、生産性の妨げになる。だったら、その現象そのものを起こらないようにはできないかと発想したのです。無理、というのが業界、学会の定説だったのですが」

 新しい方向性を目指した研究がスタートしたのは、90年代初頭のことだった。

熱い鉄はローラーの上を進むうちに冷やされ、切断され、巨大クレーンで運ばれる熱い鉄はローラーの上を進むうちに冷やされ、切断され、巨大クレーンで運ばれる

熱い鉄はローラーの上を進むうちに冷やされ、切断され、巨大クレーンで運ばれる

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官