「ニッポンの底力」

「道路にあふれるママチャリをなんとかしたい!」
建設会社のノウハウ生かし新発想の駐輪場完成

技研製作所の南 哲夫氏

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2008年6月17日(火)

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 「エコロジー」な乗り物である自転車だが、一方で道路を不法に占拠し交通の妨げとなることも。しかし、町の中心部には、もう駐輪場をつくるだけの敷地がない。こうした問題を解決したのが、機械式地下駐輪場「エコサイクル」だ。自立できない自転車を安定してハンドリングする技術の開発により、入出庫に要する時間は平均10秒。また、鋼鉄製の矢板を油圧で正確な円形に圧入し構造体とする独自の工法は、工事中の周辺環境に対しても“エコ”である。現在、全国7カ所で20基が稼働中だが、従来工法と比較して工費で4分の1、工期も4分の1〜5分の1と「エコノミー」でもある。さらに地下駐輪場という機能はそのままに、ビルなどの基礎部分を兼ねることもできるため、地下有効利用の新しいかたちとして注目されている。

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【会社概要】

南 哲夫氏

南 哲夫氏 (55歳)
Tetsuo Minami
常務取締役
経営企画部長

技研製作所
高知県高知市

設立
1978年1月
資本金
34億4043万円
従業員数
251人(2007年8月現在)
ワンポイント
建設会社にして建設機械メーカー、さらには建設コンサルタントでもあるという、業界の常識を覆すユニークな存在

【その他の受賞メンバー(五十音順)】
池田敏夫、田内宏明


あっという間に入庫、あっという間に出庫。
人を待たせない駐輪場

「エコサイクル」

 「エコサイクル」とは同社が開発した地下駐輪場のこと。駐輪するにはまず、地上にある入出庫ブースの機械に管理用の磁気カードを読み込ませる。自転車をセットすると、ブースの入り口からアームが出てきて自転車の前輪を挟み、中に引き込んでしまう。あとはリフトで地下駐輪スペースへ。文章ではスピード感がないが、実際にはあっけないほど素早い。出庫はさらに感動的で、カードを入れて平均10秒、最短6秒で自転車が現れる。開発責任者の南氏は言う。

 「社長に『10秒を切れ。誰だって待つのはいやだろう』と、非常に高い目標を設定されまして(笑)。無理だと思いましたが、この目標があったからこそ、ユーザーの視点に立ったいいものができた」

 エコサイクルは直径約7メートル、深さ十数メートルの円筒状の空間に設置される。内部には駐輪スペース(凹型断面のレール)が1層につき18台分放射状に配置されていて、それが8〜10層ある。中心部にはリフトが通っており、台に仕込まれたアームが自動的に自転車を格納したり引き出したりする仕組みだ。

 実は同社には自動車用の機械式地下駐車場、「エコパーク」なるものが既に存在していた。エコサイクルは、そのコンセプトを踏襲して開発されたのである。

エコサイクルの原型となったエコパーク。駆動部分を中央のリフトのみとしたことで、素早い入出庫を可能にした

エコサイクルの原型となったエコパーク。駆動部分を中央のリフトのみとしたことで、素早い入出庫を可能にした

 「しかし、4輪の自動車と違って、自転車は自立できない2輪です。これをどう安定して移動させるか。試行錯誤の末、自転車というのは前輪さえ固定してしまえば安定すると分かって、今のシステムが完成したのです。どんなタイプにも対応できるよう、警察から放置自転車をもらって実験もしました」

 エコサイクルは、地上スペースに余裕のない大都市圏で好評で、違法駐輪や放置自転車の一掃に効果を上げている。しかし、この駐輪システムの価値は単にそれだけではない。人や建物が密集した地域で、周辺への影響を最小限に抑えながら、地下に建設できるという点が高く評価されているのだ。そして、それを可能にしたのが、同社が40年来取り組んできた独創の「圧入工法」なのである。

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著者プロフィール

瀬川 明秀(せがわ・あきひで)

日経ビジネス副編集長。



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「ニッポンの底力〜技術維新の立役者たち」は、地域の製造現場で日々ひたむきに技術や品質の向上を追求している人たちを表彰した第2回ものづくり日本大賞受賞者の技術を、テキスト記事と動画の組み合わせで、多角的にお届けします。ニッポンの根幹を支える技術維新の立役者たちの飽くなき挑戦を、ぜひご覧ください。

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 2005年にスタートした総理大臣表彰「ものづくり日本大賞」。日本の文化や産業を支えてきた“ものづくり”を新しい時代に継承・発展させていくため、ものづくりの現場を支える人々を顕彰し、広く世の中に伝えるために創設された賞です。評価の対象となるのは、技術と品質向上に対する飽くなき追求の結晶であり、日本が誇れる大きな財産。その技と心意気を称え、世界に発信していきます。本表彰制度は、経済産業省、国土交通省、厚生労働省および文部科学省の4省が連携し、隔年実施しています。

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