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あなたは見分けられる?~実は浅草寺の“本瓦”はチタン製に変わっていた

ルーフシステムの渡部 渉氏

  • 野村 滋

  • 日本機械工業連合会

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2008年6月9日(月)

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 2007年6月に終わった東京・浅草寺「宝蔵門」の改修工事。屋根に乗る瓦がそれまでの土瓦(本瓦)からチタン製の瓦に置き換えられたことを知る人は少ない。色、風合い、質感などの点で、元の瓦と違いが見いだせないからだ。変わったのはその耐久性と軽さ。屋根の葺き替えは、もともと老朽化した土瓦が割れて落下したら危険だという浅草寺の要請によって行われたものだが、チタン製なら寿命は半永久的だ。屋根重量はなんと8分の1にまで軽減できる。金属瓦は、芯木(木材)に薄い板を加工して葺いていくのだが、曲げても元の形に戻ろうとする性質の強いチタンは、これが困難だった。素材の改良に加え、工法自体も変えることで不可能を可能にした「チタン段付き本瓦葺き」。伝統の屋根を最新技術が守る。

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【会社概要】

渡部 渉氏

渡部 渉氏 (61歳)
Wataru Watanabe
代表取締役社長

ルーフシステム
福島県喜多方市

設立
1989年5月
資本金
3000万円
従業員数
36人(2007年11月現在)
ワンポイント
軽くて、地震、台風、豪雪に強い金属製の屋根づくりに特化。一般住宅のほか寺社建築向けなどにも高い実績を持つ

【その他の受賞メンバー(五十音順)】
安藤修一、江花珠代、鈴木和浩、林雅康、星豊男、矢吹真哉


「曲がらない」はずのチタンを曲げる。
あえてその困難に挑戦

 屋根や外壁の改修が終わり、新装なった浅草寺の「宝蔵門」。出来上がりを視察したある自治体の瓦組合の面々が、「実はあの瓦、チタン製なんですよ」と説明されて、言葉を失うほど驚いたという。この話を伝え聞いた同社の開発担当者が、快哉を叫んだのは言うまでもない。チタンは、まさにプロをもあざむく不思議な金属なのだ。

 「銅にしろアルミにしろ、屋根に使えばすぐそれと分かる。でもチタンだけは、金属っぽさを全く感じさせないんだよねぇ。浅草寺のは燻し瓦(いぶしがわら)の風合いそのもの。瓦って、ところどころにちょっと色の薄いのがあったりするでしょ。あの焼きムラの感じも、予想以上の出来でした」

従来は「平葺き」にしか使えなかったチタンで、重厚感ある「本瓦葺き」の瓦を実現。燻し瓦と称される独特の風合いも見事に表現されている

従来は「平葺き」にしか使えなかったチタンで、重厚感ある「本瓦葺き」の瓦を実現。燻し瓦と称される独特の風合いも見事に表現されている

 優れているのは、外見の再現性だけではない。チタンは、鉄鋼と同等の強さを持つ。銅板が酸性雨などの影響でまれに腐食を生じることがあるのに対し、そうした弱点もなく、寿命は半永久。かつ、軽いのも特徴だ。重量は鉄鋼の約60%。今回の宝蔵門の屋根面積は1000平方メートル強だが、使われたチタンは約8トンで、屋根重量は土瓦を使っていた補修前の8分の1程度に抑えられている。

 しかし、一見非の打ち所がない優等生に見えるこのチタンだが、実はとんでもない“きかん坊”の一面も持ち合わせていた。曲げたり、延ばしたりする加工が、極めて難しいのだ。「スプリングバック」と称される性質があり、簡単に言うと曲げても元に戻ってしまう。無理やり加工しようとすれば破損してしまうこともある。

 もともと、一文字葺きという平面の多い屋根にチタンを使っていた同社は、そういう性質を十分認識していた。それでもチャレンジしようと決めたのは、軽くて丈夫な金属瓦に対する、寺社などからの要望が強かったことと、素材メーカーの技術革新が進み、徐々に加工しやすいチタンが供給されるようになったからである。2001年頃のことだった。

コメント8件コメント/レビュー

表面を覆うチタン薄板も「断熱材」となる心材の木の上で直射日光に焼かれるから温度サイクルによる金属疲労も相当なもの。強度ぎりぎりの曲げ加工をしているからクラック浸水は必至。内側が木だから何年持つやら。(2008/06/18)

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表面を覆うチタン薄板も「断熱材」となる心材の木の上で直射日光に焼かれるから温度サイクルによる金属疲労も相当なもの。強度ぎりぎりの曲げ加工をしているからクラック浸水は必至。内側が木だから何年持つやら。(2008/06/18)

芸術品ならともかく屋根瓦にチタンを使うなんてもったいない。今のところ軽量化なら長寿命のスレートやガルバリウム鋼板が合理的。これからは、工場拡充が進む太陽電池内蔵瓦の普及を経済と環境の両面から期待。(2008/06/18)

1967年アサヒテックに在社中に,アルミ WHeelを開発しました。次の商品について検討し、アルミI製品の新規開発で、屋根瓦の軽量化を考え、瓦メーカーと一緒にアルミ瓦の開発を相談し実際にサンプルを作ることまで実行しました。当時のアルミ地金が高かったこともあり、市場性から見てだめだと判断して。試作品は作りましたが、断念した経験があります。屋根の軽量化は、地震国の日本では将来性があると考えての、計画でした。(2008/06/11)

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三品 和広 神戸大学教授