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第45話 「そんな理由で不適正意見にすべきと言いたいのかな」

2008年6月11日(水)

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◎前号までのあらすじ

 公認会計士の西郷による監査が終了し、西郷はジェピーを後にした。西郷の力によってジェピーの不正の数々が明るみに出た。それでも「不適正意見になるとは限らない」と言う西郷に、達也は苛立ちを覚えていた。

 そんな達也に、真理が新たな情報を持ってきた。それは愛知工場の木内課長が、本社にいる斑目部長に、三沢工場長の動向をメールで逐一報告していたという事実だった。その内容を見た達也は、斑目が行っていた不正の手口に気づき、急いで西郷と連絡を取った。

 数々の不正はなぜ行われたのか。そのカギを握る人物は沢口萌と間中専務だった。この2人のたくらみが背後にあったのだ。

ジェピー本社
 金曜日、真理は資金繰り予定表の作成が遅れているからと、斑目に残業の許可を申請した。会計監査が一段落したからか、斑目は「あまり遅くなるなよ」と、上機嫌で許可して会社を後にした。

 沢口萌は明らかに真理を警戒していた。その証拠に、金曜日はいつも6時には帰宅するのに、この日は7時まで机に向かっていた。だが、約束があると見えてしぶしぶ会社を後にした。

 真理は経理部員が一人残らず帰宅するのを待った。そして8時。同じフロアには営業部員が数人いるだけになった。真理はコンピューターを立ち上げて、部門費の月次推移表を開いた。まだ4月分しか入力されていなかったが、明らかに雑費の金額が目立った。

 真理は雑費勘定をクリックした。すると数百円、数千円単位の費用に混じって50万円の費用が計上されていた。摘要には「株式会社石渡倉庫」と書かれていた。真理は、4月分の請求書のファイルをキャビネットから取り出して、その請求書を探した。

 (団さんが言ってたのはこれだわ)

 請求金額は保管料として50万円、摘要には「貴社製品の荷役・保管料」と書かれていた。

 石渡倉庫の住所は静岡県湖西市だ。おそらく愛知工場のある豊橋市からそれほど離れた場所ではないだろう。真理はその請求書をコピーしてカバンにしまった。

 真理は雑費の中に、もうひとつ見過ごせない支払いが紛れ込んでいるのを見つけた。

 <井上啓二氏支払手数料10万円>

 井上啓二とは、あの玉川梱包の支払代金の着服で解雇された井上部長のことだと、真理はすぐに気がついた。井上は間中に解雇された後、どういう訳かジェピー商事で働いているとの噂は聞いていた。真理は、前期の雑費についても調べてみると、3月にも同様の支払いがあった。

 解雇されたはずの部長が子会社に勤務し続け、しかも、支払手数料として毎月10万円が本人名義の口座に振り込まれている。

 井上は実質的には解雇されていなかったのだ。

 真理は震える手で達也の携帯電話の番号を押した。

今川公認会計士事務所

 西郷は監査調書が入った重いカバンを抱えて、今川が待つ所長室に入った。先週終わったジェピーの監査結果を報告するためだ。西郷は革張りの椅子に腰を下ろすと、カバンから週末にまとめたレポートを取り出して、今川に渡した。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第45話 「そんな理由で不適正意見にすべきと言いたいのかな」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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