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トップは、元“イケてる”女性研究者

眼科と皮膚科に特化し、新薬発売を目指すアールテック・ウエノ

2008年6月12日(木)

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 上場する新興企業の「公開価格割れ」が相次ぐなど、昨年から市況の低迷が続いていた新興市場。5月に入ってそうした状況に変化が表れた。3月以降に上場した新興企業のいくつかで株価が急騰したのだ。

 例えば、医療・介護サービスの「エス・エム・エス」や不動産業の「グローバル住販」は、上場来安値の5倍を超える高値をつけた。4月9日に大証ヘラクレスに上場し、同月では唯一の新規公開企業となった創薬ベンチャーの「アールテック・ウエノ」も、5月に株価が高騰した会社の1つ。上昇幅はエス・エム・エスやグローバル住販に及ばないものの、上場来安値の約2.7倍の191万円まで上昇した。その後は投資家の利益確定売りに押されて下降。一時は116万円まで下がったが、6月10日には反発して142万円まで上昇し、134万円で引けた。

売上高経常利益率で4割を超える高い収益性

 5月に株価が上昇したこれらの新規公開企業に共通するのは、売上高や経常利益がここ数年、右肩上がりに増えている点だ。とりわけアールテックの業績の伸長は特筆に価する。

アールテック・ウエノ

兵庫県三田市の研究開発本部で若手の研究者たちを見守るアールテック・ウエノの橋寺由紀子社長(写真左)
(写真:山田 哲也、以下同)

 新薬の候補物質を探し出し、患者を対象とした臨床試験で医薬品としての有効性や安全性を確認して発売にこぎ着ける──。こうした新薬の開発を手がける創薬ベンチャーの場合、上場後も薬が発売に至るまでは支出が収入を上回り、赤字が続くのが一般的だからである。

 実際、新興市場に上場している創薬ベンチャーのうち、経常黒字を計上しているのはアールテックだけだ。ただし同社の業績を牽引しているのは、創薬ベンチャーとは異なるもう1つの顔。それは、既に市場に出回っている医薬品の製造受託という第2の事業の柱である。

 製造を受託しているのは、緑内障・高眼圧症治療薬の「レスキュラ点眼液」と慢性特発性便秘薬の「アミティーザ」の2つ。いずれも、アールテックの創業者である上野隆司氏が発見した「プロストン」という機能性脂肪酸を主成分とする医薬品で、同氏が中心となって臨床開発を行い、医薬品としての販売承認を取得した。

 もっとも、この2つの薬を販売しているのは別の会社である。レスキュラは、日本国内は参天製薬、台湾と韓国はアステラス製薬、そのほかの国々はスイスのノバルティスがライセンス販売している。アールテックはこれらの製薬会社からレスキュラの製造を受託しているほか、参天とは共同で販促活動も行っている。

 一方、アミティーザは、武田薬品工業が北米でライセンス販売しており、アールテックはこの薬の原薬の製造を受託している。兵庫県三田市にある工場で製造された原薬は、北米でカプセル剤にして出荷されている。

 アミティーザは今年4月末、新たに便秘型過敏性腸症候群の治療薬としての効能を米食品医薬品局(FDA)から認められた。「アミティーザの販売が増加して、原薬の製造受託による売り上げが大きく伸びる。そう期待されたことも、5月に株価が上昇した一因になった」と、製薬会社を担当するある証券アナリストは見る。つまり、現時点でのアールテックは、創薬ベンチャーではなく医薬品の製造受託会社としての業績や将来性を評価されているわけだ。

橋寺由紀子社長

 その点はアールテックの橋寺由紀子社長も承知している。「アミティーザの原薬の量は、1錠当たり数マイクログラム(マイクロは100万分の1)。これだけ微小な原薬を安定的に量産するためには、非常に高度な製造技術が必要だ。社員数が100人に満たない小さな会社ながら、そうした技術を持ち合わせているのが当社の強み」と同社長は強調する。

 アールテックの2008年3月期の業績は、売上高が前期比21.1%増の63億3200万円、経常利益が同9.7%増の27億1300万円。競合薬との競争激化でレスキュラの製造受託と共同販促による売り上げは前期から減少したものの、アミティーザの原薬の製造受託による売り上げが大きく伸びた。売上高経常利益率は42.8%と驚異的な収益性を誇る。

 2009年3月期の業績は、新たな効能によるアミティーザの売り上げ拡大を織り込んで、売上高は前期比13.8%増の72億400万円と、増収を見込む。一方、経常利益の方は、アミティーザの増産に対応して三田工場の設備を拡充することなどがマイナス要因となり、同1.8%減の26億6300万円と、減益を予想している。

天才創業者が去り、親会社も手を引く

 先に言及したように、創薬ベンチャーは通常、新薬を発売する前に上場する。臨床試験にかかる膨大な費用を調達資金で賄うためだ。ところが、アールテックでは上場する前に既に開発した医薬品が発売されていた。順序が通常と逆になったのはなぜか。その理由を理解するためには、アールテックのこれまでの足跡をたどる必要がある。

 同社が設立されたのは1989年。創業者の上野氏は、食品添加物と化学薬品の製造・販売を主力とする上野製薬(大阪市)の創業家の出身だ。

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「トップは、元“イケてる”女性研究者」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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