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「一枚岩文化」では、世界で勝てない

ジョン・ウェルス経営開発国際研究所(IMD)学長
「日本の競争力が低ランクに甘んじている理由」

2008年6月22日(日)

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ジョン・ウェルス(John R. Wells)氏
英オックスフォード大学で物理学を専攻し、卒業後に欧州原子核研究機構(CERN)、英蘭ユニリーバを経た後1979年、ハーバード大学経営大学院修士号(MBA)取得。ボストンコンサルティンググループで2年働いた後、同大学院の教授陣に加わり、1984年、経営学博士号(DBA)を取得、同大学院助教授に就任。86年米モニターグループの欧州子会社代表取締役、94年ペプシコ・ヨーロッパのスナック菓子部門最高財務責任者(CFO)など主に財務部門で数々の要職を歴任し、2002年からハーバード大学経営大学院教授。2008年春、スイスの経営開発国際研究所(IMD)学長に就任。

(写真:花井 智子)

 スイス・ローザンヌにあるビジネススクールのIMDは、年に1度、「世界競争力ランキング」を発表しています。55カ国・地域における4分野、331項目の統計や聞き取り調査を集計するものです。最新のランキングで、日本は22位になっています。経済大国の日本がこうした順位にあることは、非常に懸念されるべきことです。

 世界で2番目の経済力を持った国が、22位なのですから、おかしいですよね。何が心配なのかと申しますと、競争力というのは、自国民に対して富を生み出す能力の指標であるからです。実際、ランキングを少し詳しく見てみると、日本が22位に甘んじているのにはたくさんの理由があります。

 顧客満足度ではナンバーワンですし、日本には非常に熟練した労働者が大勢いて、研修・トレーニングに関しても3位に入っています。上位にあるカテゴリーもあるのです。しかし、トレーニングにしても、それが本当に正しいトレーニングなのか、という点が、ランキングの内訳を見て起こった私の疑問です。

 なぜなら、下から10~20%のところにランクされている内容が、起業家精神(53位)、海外の考え方への開放度(49位)、それと国際経験(47位)といったものだからです。世界で競争力を保つには、この3点は絶対に重要な要素です。

 ほかに弱かったものに、「社会の枠組み」もあります。統計上の事情もありまして、信頼できる統計を取っている国に限っているがためにこうなるという部分もありますが、「政府の効率性」分野における「社会の枠組み」は、55カ国中51位でした。

トレーニングが必要なのは経営幹部

 日本の大企業は、日本こそが自分たちの市場だ、と定義すべきではありません。日本の人口が減少していくことは、世界中の人間が知っています。ターゲットはあくまでグローバル市場です。日本企業が果敢にチャレンジして、グローバル市場でもっと競争力を強化していくことが、日本が豊かであり続けるために、とても必要なことです。

 とりわけ、経営幹部への適切なトレーニングが重要です。国際的経験があり、起業家精神を持ち、外部の考え方に注視しそれをうまく取り入れる姿勢を備える必要があります。

 元来、日本のR&D(研究開発)の強さは定評があります。労働者の質も素晴らしい。しかし、前進するために必要な地力を、経営幹部の強いリーダーシップによってさらに加速させる必要があるのです。

コメント18件コメント/レビュー

本記事の内容は、欧米人から見た日本という国を良くまとめられたものだと思う。外国に住み外国企業に勤め、日本企業と取引している私にも日本という国が記事の内容と同じように見える。確かに耳に痛いところもあり、他にコメントにあるような否定的なことを言いたくなることもよく分かる。常日頃、ではどうしたらよいかと考えているが、良い答えを得ていない。言えることは、世界の中で日本が記事に書かれているように見られ、そのような位置付けにあるということを認めた上で、ではどうすれば良いかと皆で考えて、良いと思う方向へ舵を切ることではないだろうか。(2008/07/05)

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「「一枚岩文化」では、世界で勝てない」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

本記事の内容は、欧米人から見た日本という国を良くまとめられたものだと思う。外国に住み外国企業に勤め、日本企業と取引している私にも日本という国が記事の内容と同じように見える。確かに耳に痛いところもあり、他にコメントにあるような否定的なことを言いたくなることもよく分かる。常日頃、ではどうしたらよいかと考えているが、良い答えを得ていない。言えることは、世界の中で日本が記事に書かれているように見られ、そのような位置付けにあるということを認めた上で、ではどうすれば良いかと皆で考えて、良いと思う方向へ舵を切ることではないだろうか。(2008/07/05)

著者がいっているのは基本的には日本の大企業文化のことであると思われます(それ以外を彼は知らないでしょう)。であるとすれば、日本大企業文化が同質化を指向しているのは間違いないと考えます。日本人だけ、大卒男性だけ、基本的には新卒入社のプロパー社員だけという状況が、批判されながらもほとんど変わらず続いているわけですから、私の住むロンドンの多くの大企業は、EU圏内含めると外国人の比率が恐らく30%を超えてます。女性の比率も同じく高いです。両親あるいは親の片方が外国生まれである可能性はもっと高いでしょう。この中には非キリスト教圏出身者も多いわけですから全員がキリスト教などといった批判はやや的外れです。一流を目指さず必要はないから変化したくないという「座して死を待つ」タイプの意見が多いようで不可思議かつ残念です。(2008/07/05)

記事へのコメントというよりはコメントへのコメントですが、「それなりの資産をそれなりに活用してそれなりの利益を得るだけの、国際的プレゼンスはないがそれでも誰も困っていないドメスティックな二流の国、と言う選択肢はないのか」という問題意識について惹かれるものがあるので書かせてください。しょせん私見ですが、今の日本は、人口からしても経済力からしても、そう言って他の国々に許してもらえるほど小さな存在の国ではないと思いますし、「それなりの利益」では、今のような経済や生活の水準は保てずに「誰も困っていない」どころではなくなると思います。(2008/06/25)

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