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第2回 戦略の王道は“足元”にある

  • 佐久間 陽一郎

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2008年6月21日(土)

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 経営戦略の本質は、ヒト、モノ、カネからなる経営資源を的確に配分して無駄なく有効に使うことにある──。

 企業の経営戦略について前回にこう定義し、戦略という言葉はもともと軍事用語に起源があることに言及した。敵に勝つために戦局を大きく捉えて、部隊という“資源”の配分を見直す。そこで資源の配分が戦略の本質、すなわち、戦略に欠かせないキーファクターであると強調したのである。

 軍事用語であった戦略という概念が企業経営の世界に持ち込まれたのは1950~60年代と見られている。マネジメント(経営)を発明したと言われる経営学者のピーター・ドラッカーは、1964年に出版した『創造する経営者』(ダイヤモンド社)の改訂版(1993年)の巻頭に次のように、記している。

 「本書は、今日、事業戦略と呼ばれているものについての世界で最初の本である。そして、今日に至るも、最も読まれている事業戦略についての本である。二〇年前に書いたとき、私自身のつけた題名が“事業戦略”だった。だが当時、戦略という言葉は一般的ではなかった」

 このように執筆した時に戦略という言葉が一般的ではなかったことから、『創造する経営者』に題名を変えたのだという。この記述から、ドラッカーが戦略という概念を企業経営の世界に最初に持ち込んだと言うこともできるだろう。

 「マネジメントの大家」と称される彼は、米ゼネラル・モーターズ(GM)や米ゼネラル・エレクトリック(GE)といった企業のコンサルタントを務める傍ら、新聞などに精力的に執筆。30冊を超える本を出版し、分権化や目標管理、知識労働者、民営化といった言葉を生み出した。米ニューヨーク大学や米クレアモント大学の教授などを歴任。2005年11月に95歳の生涯を閉じた。私が今でも敬愛してやまない経営学の巨星である。

「経営戦略の父」と呼ばれるアンゾフ

 一方、戦略を企業経営に取り入れた先駆者として、米国の経営学者であるイゴール・アンゾフの名前を挙げる人もいる。彼は1965年に『企業戦略論』を出版した。「経営戦略の父」と呼ばれることもある。

 アンゾフは1957年、この著書の基になった論文「Strategies for Diversification」(邦題:「多角化戦略」)を、米マネジメント誌の「ハーバード・ビジネス・レビュー」に発表した。下の図は、この論文でアンゾフが提唱した「成長マトリックス」という成長戦略の分析ツールである。

アンゾフの成長マトリックス

 アンゾフは、企業の事業拡大の戦略として、(1)市場浸透、(2)市場開拓、(3)製品開発、(4)多角化──の4つを提示。成長マトリックスを使って、どの戦略が望ましいのかを分析した。次のページの図は、この分析ツールを現代風にアレンジしたものである。横軸に「市場・顧客」、縦軸には「能力・技術」という指標を置いている。

 ここで言う能力とは、企業に固有の経営資源を指す。希少で模倣にコストがかかることから、他社に対する競争優位を持続的にもたらしてくれる。英語ではコンピタンス(competence)やケイパビリティー(capability)と呼ばれるもので、例えば、“ブラックボックス”化されたシャープの液晶テレビの生産工程などが該当するだろう。

4つの戦略の優先順位

 2つの指標で区分された事業拡大の戦略は、(1)既存事業の深耕、(2)新市場の開拓、(3)新能力の開発、(4)新規事業の開発──の4つがある。企業の経営資源には限りがあり、これら4つの戦略のすべてに配分することは難しい。では戦略に優先順位をつけるとしたら、どのような順番になるだろうか。

コメント3件コメント/レビュー

デジタル技術を活用し、それまで使うことに抵抗のあったお母さんにも子供の成長を撮影できるようにした「小型簡単ビデオカメラ」。デジタル技術を活用し、新しい楽しい生活を提供した「ウォークマン」。「デジタル技術を活用し、新たな顧客を創造する。」これがソニーの姿だったが、「ファミコン→PS→PS2」とデジタル技術を活用すればするほど、「若い男女→若い男性→ゲームをやり続けている若い男性」と客層は絞り込まれていってしまった。デジタル家電の分野では、圧倒的強者のソニーが、弱者の戦略をとったので、井出氏のビジョンは適切ではなかった。(2008/06/23)

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デジタル技術を活用し、それまで使うことに抵抗のあったお母さんにも子供の成長を撮影できるようにした「小型簡単ビデオカメラ」。デジタル技術を活用し、新しい楽しい生活を提供した「ウォークマン」。「デジタル技術を活用し、新たな顧客を創造する。」これがソニーの姿だったが、「ファミコン→PS→PS2」とデジタル技術を活用すればするほど、「若い男女→若い男性→ゲームをやり続けている若い男性」と客層は絞り込まれていってしまった。デジタル家電の分野では、圧倒的強者のソニーが、弱者の戦略をとったので、井出氏のビジョンは適切ではなかった。(2008/06/23)

出井氏の戦略は適切ではない。なぜならば、ゲーム機は面白いかどうかであり、最新技術が面白いかどうかは別である。時代が早すぎたということになる。最新技術はコストを上げる。消費者は最新技術を求めているわけではない。任天堂が証明した。但し、ユニークな商品を目差したのは正しい。(2008/06/23)

優先順位はまさにおっしゃるとおりなのですが、経営資源が豊富で既存事業の深耕余地がある(下位企業から市場を奪う力がある)大企業とは異なり、既存事業で戦っていただけではいずれ市場から追い出される可能性がある中小企業にとってはどうすべきなのか、いつも悩みます。何か一つ選択しなさい、それで駄目なら火傷しないうちに会社を畳んであきらめなさい、ということなんでしょうけど。(2008/06/23)

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