激しい温浴業界において異彩を放つ「花和楽の湯」
「癒やし」や「健康」に対するニーズが高まる中で、都市部を中心に温泉施設の開業が相次いでいる。新規参入が比較的容易であることから、異業種が温浴施設の運営に乗り出すケースも少なくなく、温浴業界は激しい競争環境にある。
このような中、池袋から電車で1時間、人口わずか3万4000人の町に、宣伝なしで関東近郊から年間に30万人が訪れる温浴施設がある。埼玉県小川町にある「花和楽の湯」である。
「花和楽の湯」を運営するカワラリゾートは、新田悟詞社長(38歳)が、祖父の代から経営していた工務店の廃業をきっかけに立ち上げた会社である。当時外食産業大手企業に勤めていた新田社長が、癒やしビジネスの将来性に注目し、市場調査や温泉発掘に2年9カ月の歳月をかけ、満を持してオープンしたのが「花和楽の湯」である。
露天風呂を含むお風呂、岩盤浴、足湯、レストランやバーといった飲食施設、マッサージやエステといったリラクゼーション施設といった設備だけを比較すれば、他の日帰り温泉施設と大差ない。そんな「花和楽の湯」がなぜ、高い人気を誇るのか。その理由に迫りたい。
顧客を惹きつける明快なコンセプト「本物の温泉旅行の提供」
「花和楽の湯」は、その立地から、地元の人が毎日通うようなスーパー銭湯の類と思われがちだ。だが、新田社長の目指すものは“本物の温泉旅行の提供”。ライバルは温泉地だと言う。
天然の温泉であることはもちろんのこと、国産の木の総木造りの建物は、伝統ある旅館を想像させる。さらに、「温泉旅行といえば、“お風呂”と同じくらい“食事”が楽しみ」といった顧客のニーズを応えるべく、“食事”にも手を抜かない。小川町には観光地に見られるような特産品こそないが、地元の素材や料理をメニューに取り入れたり、地元の人から「あの店のあの料理が絶品」と聞けば、直接交渉してメニューに採用したりと、外食産業での経験を生かした新田社長独自の発想で“本物の温泉旅行”を演出している。
「直営主義」でサービス品質を徹底
“本物の温泉旅行の提供”のため、施設の中で提供されるサービス一つひとつに目を配る。
温浴施設の多くは、施設内で提供する飲食、マッサージ、エステなどのサービスは専門業者へ委託しているケースが多い。
一方、「花和楽の湯」は、基本的にすべてのサービスについて、自社で採用した社員やアルバイトが提供する“直営主義”を貫く。新田社長はその理由を「委託してしまえば、サービスの品質管理が徹底できないため」と言う。
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1979年、東京都生まれ。2002年慶應義塾大学理工学部卒業、2004年慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程を修了。専攻は情報システム工学。同年、株式会社野村総合研究所入社。現在は、社会産業コンサルティング部 副主任コンサルタント。専門は、サービス産業を中心とする産業政策、人材育成・人材活用戦略、など。






