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競争排除は金銭で買えるのか

  • 大西 利佳

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2008年6月29日(日)

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 公正取引委員会は、2007年9月に「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」を公表した。これは、発明・開発を奨励しながら公正な競争を保護するという観点から、特許権利の行使とは考えられない制限行為に対しては独禁法を適用するというものだ。

 特許には、発明者に独占使用の権利を与えることで技術や製品開発を推奨し競争を促進するという効果がある一方、発明者が不当に他者との技術取引を拒否したり、ライセンスの譲渡に他社の販売・生産を制限する条件を付けるなど、競争を妨害する恐れもある。

 多くの企業にとって知財が事業成功の大きなカギとなっていることは議論の余地のないところだろう。特に製品の技術や質が販売に大きく影響する業界では、多額の投資をして新製品の開発を行い、その成果を特許権等で守ることは当然と言える。

 もし、ライバル会社が自社の特許を侵害し同様の製品を販売するとしたら侵害訴訟を提起することも少なくない。しかし自社の権利を堅守するための侵害訴訟がその和解内容次第では独禁法違反に繋がることもある。

医薬品業界での特許訴訟

 米国では、ここ10年間に医薬品業界でよく見られる特許侵害和解内容が独禁法違反としてFTC(米連邦取引委員会) に大きく取り上げられている。日本でも最近、特許が切れた医薬品と同じ成分を持つ後発医薬品(ジェネリック医薬品)が伸びている。米国ではジェネリック医薬品の使用はかなり前から一般化していて、特許が切れた医薬品とジェネリック医薬品は激しい競合関係にある。

 米国にはジェネリック参入を促し価格を引き下げる目的で、ハッチ・ワクスマン法(the Hatch-Waxman Act)が設けられている。これは特許が無効であるという申し立てをして特許権者のブランド医薬品メーカーからの反論がないか、または反論があっても無効が立証できれば特許期限以内にジェネリックが市場参入できるといった法律である。この法律によりジェネリックメーカー参入に危機感を覚えるブランド医薬品メーカーは、防衛的特許侵害訴訟を相次いで起こすようになった。

 このような訴訟が和解で決着した場合、特許侵害者から特許権者に和解金が払われるのが一般的と思われる。しかし、この和解金の流れる方向が原告であるブランドから侵害者のジェネリックへと逆になる現象がある。市場参入をしないまたは遅らせることを条件に、特許権者から侵害者に金銭またはその他の知財(ライセンシングなど)が払われるケースで「リバースペイメント(逆支払い)」と呼ばれている。

 FTCは、「リバースペイメントは特許訴訟和解を言い訳とした競合同士による競争排除の取り決めであり、当然違法である」という見解を示し、その動向に特に注視している。一方で、米国では「リバースペイメントは必ずしも違法ではない」という判決も出ている。さらに特許侵害訴訟で和解成立を難しくする環境をつくるのは効率的でないという意見も、専門家の間では聞かれる。

 果たしてリバースペイメントは、競合を排除するための特許権者から侵害者もしくは新規参入者への“ワイロ”なのか。

知財権の行使と反競争的行為の境界線

 リバースペイメントで焦点になるのが、その特許が果たして本当に有効なのかということと、和解行為が反競争的かどうかの判断だが、事は一筋縄にはいかない。

 まず特許が本当に有効であるならば、ライセンスなどの取引が当事者の間で行われなければ、基本的に市場への新規参入は不可能になる。そのため和解する以前に、参入できないことになり、和解が反競争的とは言えない。

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