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成果主義は必然、後戻りはあり得ない

花田光世
慶応義塾大学総合政策学部教授に聞く

2008年6月28日(土)

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 中高年層のモラール低下、職場のチームワークの崩壊──。成果主義型の人事評価制度の導入に伴って、多くの企業で表面化した問題の原因は、成果主義そのものではなく運用のあり方にあると、人事制度の国際的な分析に取り組む花田光世慶応大学教授は指摘する。

 企業における仕事の内容や重要性が刻々と変わる中、評価と処遇を固定化する年功序列型の人事評価制度では、仕事の重要性の変化に応じて処遇を柔軟に見直すことはできない。だから成果主義は必要だと断言する。

 成果主義の運用を見直せない企業が残る半面、中高年層のモチベーションの向上や新たなチームワークのあり方を模索して、成果主義の運用を改善する企業が増えてきたとする。

(本誌による要約 日経ビジネスマネジメント 中野目 純一)


写真1

花田 光世(はなだ・みつよ)氏
1948年生まれ。専門は国際人事システム論、新人事組織設計論など。71年慶応義塾大学文学部卒業。その後、米南カリフォルニア大学で教育心理学の修士号、社会学の博士号を取得。同大研究員、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校講師などを経て、91年から現職

(写真 陶山勉、以下同)

 日本企業が成果主義型の人事評価制度を導入し始めてから、10年以上が経過しました。にもかかわらず、成果主義の是非を巡る論争が後を絶ちません。最近でも、成果主義を導入した企業で職場のチームワークが薄れてしまった実例をセンセーショナルに紹介した書籍が、ベストセラーになっています。

 確かに、職場のメンバーがお互いに支援し合う風土や雰囲気があったり、個々の社員が仕事を通じて生きがいや自分自身の成長を実感できたりすることは大事なことです。ですから、そうしたことがなくなった企業の話が注目される。しかし、その一方で、職場のメンバーがお互いにサポートし合う風土づくりや社員の働く意欲の向上に注力している企業も多いのです。

 職場の崩壊がニュースとして取り上げられるから、それが日本全国に蔓延しているように錯覚しがちですが、目を凝らせば現実は異なることに気づくはずです。

成果主義が招いたもう1つの「失われた10年」

 もちろん、成果主義を導入した企業で問題が起きたことは否めません。職場のチームワークが弱まっただけでなく、中高年層の社員のモラールが著しく下がってしまった。彼らの多くが、従来の年功序列型の人事評価制度であれば手に入れられた地位や給与をあきらめなければならなくなったからです。

 そうした人たちに対して、企業はこれまで仕事に対する新たな価値観や働きがいを十分に示してきませんでした。その結果、中高年層のモラールが下がったままの状態が長く続いている。私はこの現象を「もう1つの失われた10年」と呼んでいます。

 このように成果主義を取り入れた企業で様々な弊害が生じたことは事実ですが、成果主義そのものに問題があったとは考えていません。成果主義が十分に展開できずに中途半端になった。つまり、成果主義の運用に問題があったと見ています。

結果に終始し過程を評価せず

 どういうことかというと、個人の売り上げなどの結果を評価するだけに終始し、結果を生み出すのに必要とされたプロセスを、きちんと評価しなかったのです。そうなった原因の1つには、短期志向の強い欧米企業で普及している制度ということから、「成果は短期的な結果」と狭く捉えてしまったことがあると思います。

 実際には、ゼネラル・エレクトリック(GE)など成果主義を徹底していると思われている米国企業でも、短期的な結果だけでは決して評価していない。もっと社員の人間としてのありようを含めて評価している。

 このように社員の人間性や結果を生み出したプロセス、努力といったものを加味して評価しなければならないのに、単なる結果だけで評価してきた。その裏には、「欧米企業の成果主義は結果重視」という思い込みがあったわけです。

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「成果主義は必然、後戻りはあり得ない」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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