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湯上がりに色づく乳房、マニキュアの塗れる指~極めた「シリコーンゴムの造型」

中村ブレイスの中村俊郎氏

  • 野村滋,日本機械工業連合会

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2008年6月30日(月)

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 義手、義足。それを生活に必要とする人にとっては、なくてはならないものだ。実は人工乳房も。中村さんが米国留学から帰って、故郷の島根で設立した義肢装具の専門メーカーである同社は、1991年にシリコーンゴム製の人工乳房の研究開発をスタートさせた。乳がんでおっぱいを失った女性が人工の乳房を着ける――そんな発想も製品も、日本にはほとんどなかった時代だ。しかも、同社が送り出す「作品」はリアルな形状はもとより感触、色合いなど、どこを取っても本物そっくりの、世界に二つとない逸品。その技術は、やがて手部や指、鼻、耳といった体の様々なパーツに応用され、使う人のクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)向上に一役も二役も買っているのである。

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【会社概要】

中村俊郎氏

中村俊郎氏 (59歳)
Toshiro Nakamura
代表取締役社長

中村ブレイス
島根県大田市

設立
1982年10月
資本金
2000万円
従業員数
65人(2007年10月現在)
ワンポイント
多くの義肢装具士を擁し、医療現場の最前線で医療スタッフとして製品の製造、適合業務に携わる

【その他の受賞メンバー(五十音順)】
岡田祐、川上千賀、那須誠、波多野正義、森原悟子


湯上がりに色づく乳房、マニキュアの塗れる指。そこまで極めた「アート」

着色は、シリコーンゴムの内側からていねいに施す

着色は、シリコーンゴムの内側からていねいに施す

 テーブルに無造作に置かれた手や指、そして乳房……正直、これを目にしてギョッとしない人はいないはずだ。表現は穏当ではないが、まるで今しがた切り落としてきたかのようなリアルさ、圧倒的な存在感。だが驚嘆は、中村さんの話を聞くにつれ、やがて感動に変わっていく。

 “出世作”は、人工乳房「ビビファイ」。シリコーンゴムでできたそれは、たとえば横になった時の違和感のないたわみ具合までを計算し尽くしている。うっすらと透き通って見える血管、ホクロや微妙なシミまで、見事に再現。これなら特別な下着を着ける必要もないし、専用の粘着剤を使えば入浴などもオーケーだ。

 「日本では少なくとも年間1万人の女性が乳がんで乳房を失っています。そのつらさ悲しみたるや、特に我々男性からすれば、想像を絶するものがある。『もう女ではなくなってしまった』などと思い詰めて、うつ病になる人も少なくないと聞きます。口幅ったいのですが、そんな女性たちがウチの製品で、生きる希望を見いだしてくれたら。そう思って、つくり続けているのですよ」

旧酒造蔵を移築した「メディカルアート研究所」。世界遺産・石見銀山の“入り口”に位置することから、景観にも配慮した

旧酒造蔵を移築した「メディカルアート研究所」。世界遺産・石見銀山の“入り口”に位置することから、景観にも配慮した

 その願いが数多くの女性たちの胸に届いているのは、「誰よりも子どもたちが大喜びしてくれました」「鏡に映った自分を見て、生き返ったんだと実感しました」といった、お礼の言葉をつづった分厚い手紙の束が証明している。

 むろん、リアルさを実現するのは並大抵のことではない。造型も着色も、すべて手作業。オーダーメードの場合、受注から完成までざっと2、3カ月はかかる。高い技能と努力、感性も根気も必要だ。加えて、たゆまぬ技術革新。

 「ビビファイは、湯上がりにほんのり赤みを帯びます。お湯でほてっているのに、一方の乳房だけ真っ白じゃいけないと研究しました」

 こうして蓄積、進化させた技術をもとに、人工乳房開発から3年後の1994年、その名も「メディカルアート研究所」(100%子会社)を設立、乳房以外の体のパーツづくりに乗り出した。ここでも、ある女性ユーザーの声を参考に爪を改良、今ではマニキュアもネイルアートも思いどおりである。

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