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第3回 顔の見えない企業に戦略は作れない

  • 佐久間 陽一郎

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2008年6月28日(土)

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 戦略の王道は既存事業の深耕にある──。前回に米国の経営学者であるイゴール・アンゾフが作った「成長マトリックス」という戦略の分析ツールに基づいて、(1)既存事業の深耕、(2)新市場の開拓、(3)新能力の開発、(4)新規事業の開発、の4つの事業拡大戦略に優先順位をつけ、こう結論づけた。

 既存の顧客に対する販売量を増やしてシェアを拡大する。あるいは既存の商品を改良して顧客のニーズを掘り起こす。このように既存の事業を深く掘るために、最初にしなければならないことがある。それは、自社の既存事業、すなわち本業が何かを明確にすることだ。ところが、日本企業の中には本業が明確ではないところが少なくない。

 なぜだろうか。理由の1つには、あまりにも多様な事業を手がけていて、何が本業なのかが分からなくなっていることがある。例えば、経営資源の配分をきちんとできていない企業の典型として初回に取り上げた日立製作所。同社の本業は何かと問われたら、あなたは即答できるだろうか。

企業の経営戦略には3つの段階がある

 こうした問いの答えがすぐに浮かぶくらいに本業を明確にする。すなわち、会社の“顔”をはっきりさせることが、実は企業の経営戦略を立てるうえでも極めて重要である。本業が明確でなければ、ヒト、モノ、カネからなる経営資源を的確に配分することはできないからだ。特定の事業に重点的に配分して伸ばしていくことなどおぼつかない。

 企業の経営戦略の本質は、経営資源を的確に配分することにある。これまで繰り返しこう述べてきた。経営戦略を立案して経営資源を配分するプロセスには、大きく3つの段階がある。

経営戦略の3つの段階

※図をクリックすると3ページ目文末の宿題の送信フォームへ飛びます。

 第1の段階は本業、つまり、会社の顔を明確にすることだ。英語で言えば、「Who are we(我々はそもそも何者か)?」という問いに答えられるようにする。

 第2の段階は、経営資源をどの事業や領域に配分するかを決めることである。すなわち、「Where should we compete(どこで戦うか)?」という問いに対する解答を見つける。

 そして第3の段階が、特定の事業や領域に重点配分された経営資源をどう使って競争相手に勝つかを考えることだ。「How will we win(どうやって勝つか)?」という問いの答えを探すわけだ。

 このように第1段階の本業を明確にすることが経営戦略の起点となる。本業を定めなければ次の段階には進めないのだ。これが簡単なように見えて意外に難しい。経営学者のピーター・ドラッカーは、1973年に出版した著書『マネジメント』(日経BP社)で次のように記している。

 「『会社の事業[内容]は何か』に答えるほど簡単明瞭なものはないと思われるかもしれない。だが実際には、『我々の事業は何か』は、ほとんどつねに難しい質問なので、正しい答えがはっきりしているどころではないのが普通なのである」

ビジョンと変化を恐れない姿勢が永続する企業の条件

 「我々の事業は何か」という問いは、「我々は何のために存在するのか」「我々はどうありたいのか」と言い換えることができるだろう。こうした企業の存在意義や目的を社内外に明示するものが、「ビジョン」だ。ビジョンの企業経営における重要性を改めて示したのが、ジェームズ・C・コリンズとジェリー・I・ポラスの共著、『ビジョナリー・カンパニー』(日経BP社)である。

 1994年にこの著書を出版した当時は米スタンフォード大学経営大学院の教授だった2人は、真に卓越した企業とそれ以外の企業との違いはどこにあるのかを探究。時代を超えて成長を続ける米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米ジョンソン・エンド・ジョンソン、ソニーなど計18社の「ビジョナリー・カンパニー」と、それらの企業と競合する優良企業とを比較した。

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