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1度の成功に酔いしれている時間などない

ジョン・ウェルス経営開発国際研究所(IMD)学長

2008年6月29日(日)

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 日本を成功に導いてきた「一枚岩文化」からどう脱却するか--。それは、実際、最も難しいことの1つです。

写真1

ジョン・ウェルス(John R. Wells)氏
英オックスフォード大学で物理学を専攻し、卒業後に欧州原子核研究機構(CERN)、英蘭ユニリーバを経た後1979年、ハーバード大学経営大学院修士号(MBA)取得。ボストンコンサルティンググループで2年働いた後、同大学院の教授陣に加わり、1984年、経営学博士号(DBA)を取得、同大学院助教授に就任。86年米モニターグループの欧州子会社代表取締役、94年ペプシコ・ヨーロッパのスナック菓子部門最高財務責任者(CFO)など主に財務部門で数々の要職を歴任し、2002年からハーバード大学経営大学院教授。2008年春、スイスの経営開発国際研究所(IMD)学長に就任。

 先日、思い出していたのですが、1980年代に私は、日本の力をもってすれば、世界全部を買えるかもしれないとさえ思いました。日本は、今頃最も強力な多国籍企業集団になれていた可能性があった。

 しかし、そうしたくなかったからなのか、結果として失敗したのか、日本企業は現在、それほどパワフルではありません。

 イノベーションにも、様々なレベルがあります。日本人もしくは日本企業は商品のイノベーションが得意ですし、それで成功している日本企業も複数あります。例えば、ハイブリッド自動車では、世界のトップを走ります。また効率改善のイノベーションでも、日本企業は非常に長けている。

 日本人がこれらを得意としてきた1つの要因は、競争に向けすべてのエネルギーを総動員できるという強い同質性を持っているからでしょう。前回述べた一枚岩文化が支えてきたのです。しかし、それが時間の経過とともに弱点となり、グローバル市場で不可欠な多様性の欠如につながっている。ある意味パラドックスですね。

技術革新の才能をビジネスモデル革新に応用せよ

 弱点の例として挙げられるのが、日本企業はビジネスモデルのイノベーションに関しては、なぜか得意ではないという点です。言い換えれば、テーマに取り組むための、違ったやり方・考え方の受け入れに慣れていないということです。常に、同じビジネスモデル、同じ組織構造であろうとする傾向があります。

 もし、日本人が商品や技術、効率改善のイノベーションで発揮する天賦の才能を、ビジネスモデルのイノベーションに応用し、市場の先を行く仕組みを構築できるなら、もっと効果が上がると思います。

日本の強み・弱み

 日本のイノベーションにおける成功というのは、少数の人たちの着想のたまものである、と感じます。トップが特定のゴールを見つめ、皆をそのゴールに走らせる。イノベーションのプロセスで、人々が一点に集中すれば、不可能が可能になりますから、確かにこれは非常に重要です。その点から言えば、日本のイノベーションの大半は、先見の明のあるリーダーによるものであると言えます。

 そうしたイノベーションの一線では、全員がゴールを見つめ、試行錯誤を繰り返しながら見事に目標を成し遂げています。そしてこの目標は、リーダーにあらかじめ与えられているものです。しかし私の認識では、話がこと「ビジネスモデル」となると、日本には、同じように試行錯誤をして、目標を設定し、新しいモデルを試してみようという機運がないのです。

花王の蹉跌

 恐らく日本人にとって、ビジネスモデルは、1つだけのものなのです。だからこそ、別のモデルだったらどうなるだろう、ということを検討するのが非常に難しい。これは、まさに文化的なものですね。しかし、もしビジネスモデルの点から見てもっと適応力があれば、組織オペレーションはもっと楽に、効果的になると思います。

 トヨタ自動車7203やキヤノン7751のように国際的に成功している企業もありますが、あまりうまくいっていない会社もあります。例えば花王4452です。同社は、 コンパクトなシャンプーや洗剤など、商品のイノベーションの観点から言えば、非常に優れた会社です。

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「1度の成功に酔いしれている時間などない」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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