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「成果主義は失敗だった」と企業は明言せよ

高橋伸夫
東京大学大学院経済学研究科教授に聞く

2008年6月29日(日)

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 バブル経済が崩壊した1990年代以降、日本企業の多くは従来の年功序列型の人事評価制度を取りやめ、成果主義型の制度へと改めた。こうした動きは「単なる流行にすぎなかった」。ベストセラー『虚妄の成果主義』(日経BP)で日本型年功制への回帰を説いた高橋伸夫・東京大学教授はこう切り捨てる。

 成果主義に伴う“自己責任”や“客観評価”を隠れ蓑にして、企業の経営トップは従業員への投資を怠り、管理職は部下の評価を回避してきたと批判。成長を目指すのであれば、かつての日本企業の成長を支えてきた年功制へ戻るべきだと主張する。それにはまず、企業のトップが「成果主義は失敗だった」と公言することだと訴える。

(本誌による要約 日経ビジネスマネジメント 中野目 純一)


 2004年に出版した『虚妄の成果主義』(日経BP)が思いもよらずベストセラーになったことで成果主義に関する取材をいまだに受けますが、少々辟易しています。経営学者である私の専門は経営組織論や意思決定論で、人事労務問題が専門ではありませんから。もう成果主義ではなくて、専門の企業経営について聞いてくださいと言いたくなります。

 企業の経営者にも同じことを言いたいですね。「いつまで人事や賃金の問題にかかずらっているのか。経営者としての本来の仕事に集中してください」と。

 そのためにどうすればいいのか。答えは簡単です。「成果主義を導入したのは失敗だった」と公言して撤廃すればいいのです。実際、三井物産8031)のように成果主義の誤りを認めて制度を変更した会社もいくつか出てきている。

 そもそも成果主義型の人事制度を導入したこと自体が、時代の流行、ファッションのようなものだったのだから、失敗だと分かったらすぐにやめればいいのです。そうしようとしないのはなぜなのか。私には不思議でなりません。

本来の仕事を放棄した経営トップ

高橋 伸夫(たかはし・のぶお)氏 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。専門は経営学、経営組織論、意思決定論など。1957年生まれ。80年小樽商科大学商学部卒業。87年筑波大学から学術博士号を取得。同年東北大学経済学部助教授。91年東京大学教養学部助教授。94年同経済学部助教授。96年同大学院経済学研究科助教授。98年から現職。主な著書に『できる社員は「やり過ごす」』(日経ビジネス人文庫)、『虚妄の成果主義──日本型年功制復活のススメ』(日経BP社)など(写真 都築雅人、以下同)

高橋 伸夫(たかはし・のぶお)氏
東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授。専門は経営学、経営組織論、意思決定論など。1957年生まれ。80年小樽商科大学商学部卒業。87年筑波大学から学術博士号を取得。同年東北大学経済学部助教授。91年東京大学教養学部助教授。94年同経済学部助教授。96年同大学院経済学研究科助教授。98年から現職。主な著書に『できる社員は「やり過ごす」』(日経ビジネス人文庫)、『虚妄の成果主義──日本型年功制復活のススメ』(日経BP社)など
(写真 都築雅人、以下同)

 成果主義は企業の現場に様々な弊害をもたらしましたが、その最たるものは「無責任」であると思います。企業の経営トップや管理職が総じて無責任になってしまった。

 トップが無責任だったのは、「失われた10年」に成果主義を導入してコストカットを進めた一方で、投資を怠ったことです。成果主義の導入や人員の削減によって、まるでタコが自らの足を食べるように身を削って内部留保を積み上げた。

 しかし、10年や15年たって現金はたまったけど、それをいざ使おうと思っても、それまで投資をしてこなかったから新規事業などの使い道がない。それで行き場のなくなった現金を投資ファンド)に狙われ、本来は会社や従業員のために使うべき資金を増配によって投資ファンドに渡したりしている。

 なぜトップは投資を怠ったのでしょうか。失敗するリスクを恐れたからでしょう。人事制度や組織の変更は、経営トップがやろうと思えば必ずできるものです。ですから、トップが交代するとだいたい最初に手をつける。つまり、失われた10年にトップはやろうと思えばできることだけをやって、失敗するリスクを避けてきたわけです。

 成果主義を導入した理由として、成果を上げた人に厚く報いる、すなわち成果の適正な配分がよく挙げられました。しかし、成果を配分する手段は賃金だけではありません。もう1つあります。それは投資です。

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「「成果主義は失敗だった」と企業は明言せよ」の著者

中野目 純一

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス副編集長

2012年4月から日経ビジネス副編集長。マネジメント分野を担当し、国内外の経営者、クリステンセン、ポーター、プラハラードら経営学の泰斗のインタビューを多数手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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