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第48話 「これよりジェピー株式会社、株主総会を開催します」

2008年7月2日(水)

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◎前号までのあらすじ

 達也は本社での監査の立会いを終えて愛知工場に戻った。しかし、不正があることに気づいていた達也は、真理と西郷とともに、それを暴くためにジェピーが契約する倉庫に向かった。

 案の定、倉庫にはジェピーのロゴが印刷された段ボール箱が山積みになっていた。それは伝票上はワールドワイド電機(WWE社)に販売されたことになっている製品だった。ジェピーは粗利益を水増しし、2億円の架空利益を計上していたのだ。

 一方、創業者の娘である早百合は病床にある母、財部ふみの枕元でジェピーの行く末を案じていた。ふみはジェピーの大株主でもあった。

ふみの病室

 ふみが入院している病院は、JR飯田橋駅の近くにあった。達也は 病室の向こうに見えるお堀を見ながらベッドのふみに語りかけた。
  
 「いい眺めですね」
 「この景色を見ることだけが、私の楽しみなの」
 と言ってふみは微笑んだ。

 「でもね、団さん。私の楽しみをもう1つ作ってくださらないかしら」
 「もう1つって?」
 「宇佐見さんがね、私の望みをかなえられるのはあなたしかいないって…」
 達也は恐縮して頭を下げた。

 「今日初めてお会いしたけど、私もそう感じたわ」
 と言って、ふみはベッドの脇に置かれた封筒を達也に渡した。
 「これは宇佐見さんに書いた手紙。わたしの最後のお願いを聞いてほしい。ジェピーとジェピーで働く人たちを助けて…」
 ふみの声は小刻みに震えていた。

 「できる限りのことは…」
 達也は力強く約束した。

 「お母さん、もう安心ね」と早百合がふみに声を掛けた。
 ふみは安堵の表情を浮かべて目を閉じた。
 「もう時間だから」
 早百合は達也と病室を出た。

 「団さん。母も、私もジェピーを自分たちの所有物などとは思ってはいません。もちろん、隆三さんのものでもありません…。ジェピーは働く人たちの会社です」

 この物静かな女性にこれほどの力強い信念が隠されていたとは…。
 達也は初対面の早百合の物言いに気圧されるような思いで「明日の総会では、思う存分暴れてきます」と言い残して病院を後にした。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第48話 「これよりジェピー株式会社、株主総会を開催します」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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