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“コピペ”と“規制”だけの
官僚主導国家から脱却せよ

「霞が関埋蔵金」問題を世に広めた
元財務官僚 高橋洋一・東洋大学教授に聞く

2008年7月6日(日)

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 小泉純一郎内閣のブレーンとして活躍し、「異能の財務官僚」と呼ばれた高橋洋一・東洋大学教授。財務省関係者から毛嫌いされながらも、当時閣僚だった竹中平蔵・慶応義塾大学教授を支え、数々の規制改革などで職務を全うした。

 少子高齢化を迎え、官民揃って独自の成長モデルを描けず、足踏みする日本。高橋教授に、まずは政策現場の組織改革の面から、日本に必要な処方箋について聞いた。

(聞き手は日経ビジネス オンライン副編集長 真弓 重孝)

 ―― 6月に、「内閣人事局」の設置などを盛り込んで、公務員改革法(国家公務員制度改革基本法)が成立しました。元官僚として小泉改革を支えてきた高橋さんは、現在の官僚制度について、様々な改革を行うのにふさわしくないとして、制度改革を提唱してきました。改めて、今なぜ公務員改革なのでしょうか。

写真1

高橋洋一(たかはし・よういち)氏
1955年東京都生まれ。東京大学理学部数学科、経済学部経済学科卒業。80年大蔵省(現財務省)入省。財政金融研究所(現財務総合政策研究所)、プリンストン大学客員研究員、理財部長など経て、2003年8月に内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)に就任、郵政改革を担当する。その後、内閣参事官を経て退官、現在に至る。2007年にいわゆる「霞が関埋蔵金」を世間に広める役割を果たした。著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省!』(講談社)、『「お国の経済」』(文藝春秋)などがある

(写真:菅野 勝男)

 高橋 日本は、少子高齢化社会に入っていくから、独自の成長モデルを作れ、とあちこちから言われていますね。でも、今のままでは無理ですよ。今の政治・立法システムは、そんなことができる仕組みになっていないのですから。

 過去、官僚にとっては非常にラッキーな時代が続いてきました。右肩上がりの成長が続く中で、極端に言えば、何も考えなくても政策が立案できた。でも外的環境が劇的に変わったから、今後はもう、今までのやり方では無理なのです。

 昔は楽だった。成長している限りは分配するものが次々と入り、政府は富の分配について何も考える必要がありませんでしたから。でも成長が止まると、今度は痛みの分配をしなければならず、これは本当に大変。いい考えもなかなか出てこないですしね。

 それに、成長していたら、少々の政策の失敗は見えなくなってしまいます。格差問題はその最たるものですよ。国全体が成長していると、格差問題なんて誰も声高に言いやしない。成長している間も実は格差は広がっているのだけれど、下層のレベルも一緒に底上げされているからです。しかし成長しなくなり、その底上げがなくなった途端、みんなが格差、格差と言うようになる。不思議なものです。

「コピペ」で済んだ成長期の官僚

 もう1つは、過去は追いつこうとするモデルだったから、簡単だったというのもあります。米国、英国、フランス、ドイツの政策を調べて真似をすればいいだけだから、役人はとても楽です。文献を調べ、制度を採用し、それで終わり。でも、もうそれは通用しない。

 ―― 過去は海外から「コピペ」していればよかったということですね。

 高橋 今は、誰もが納得するような簡単なモデルは、本当にない。価値観の多様化は、ここ10年でかなり進んだように思います。

 先進国の成功モデルがあった時代には、そのモデルでいいとみんなが思います。昔は米国の考えだと言うと、議論もしないで合意したものでした。しかし今は「いや、こっちだ」と反論する人が必ず現れる。でも、それでいいのだと思います。

 実際、現状ではどちらがいいのかなんて分かりません。半分社会主義的な政策がいいと言う人がいるかと思えば、究極の資本主義がいいと言う人もいて、実に多様な意見があります。仕方がないから、2~3種類の選択肢を示して、みんなで徹底的に議論して決めるしかないのです。

 でも官僚には、そこで2つの全く違ったモデルを示したり、日本独自の案を考え出すような力はないし、制度上も無理です。もう従来型官僚の知識だけでは、これから先どうしたらいいのかなんて、分からないということです。

 ―― 公務員改革法の成立は改革の1歩にすぎず、縦割り行政の弊害の打破など具体的な改革はこれからですが。

 高橋 これまでの改革はなかなか前に進まず、ゲームオーバーになってしまうことがあったので、法案の成立は前進と言えば前進です。

 公務員改革法は、改革の基本方針やプログラムを示した、いわゆるプログラム法です。成立から1カ月以内に政府は、福田康夫首相を本部長とする国家公務員制度改革推進本部を作ることになっています。この推進本部では、実定法という、既存の制定法や判例などで認められている旧法などを具体的に直す作業を今後、進めなければならない。

 この推進本部の事務局では現在、推進本部の人員構成をめぐって激しいバトルを展開しています。改革側は、半分ぐらい公募して民間の人材を入れたらいいと言っています。しかし抵抗勢力側は、全部役所からの出向者で固めたいのです。

出入り自由が重要

 先に進むと、またその段階でバトルが必ずありますね。日々ずっと、バトルが続く。郵政民営化推進本部でも民間の方を10人程度登用したから、それ自体は珍しいことではないんです。しかし今回は30人ぐらいで人数が非常に多いから、官僚が大騒ぎしているのです。

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「“コピペ”と“規制”だけの
官僚主導国家から脱却せよ」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師