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地方分権と消費税の
年金財源化は両立しない

「霞が関埋蔵金」問題を世に広めた
元財務官僚 高橋洋一・東洋大学教授に聞く

2008年7月13日(日)

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 前回の国家公務員制度に加え、地方分権も改革の主要テーマの1つになっている。高橋教授は、地方分権と自由主義には親和性があるため、日本は道州制に移行すべきだという。

 地方分権を進めるうえで留意すべきは、消費税の税源移譲。消費税については福祉税として公的年金の財源とすべきという議論があるが、税収13兆円の消費税を地方政府の管轄にしないと、地方分権の実現可能性はなくなると、高橋教授は警告する。

(聞き手は日経ビジネス オンライン副編集長 真弓 重孝)


 ―― 地方分権の進捗状況について、どうご覧になりますか。

 高橋 進んでいるとはとても言えない状況ですね。しかし私は、道州制による地方分権を進めることが、今の市場主義社会の中では非常に重要だと思っています。

 本当の地方分権とはどのようなものかの旗印を示し、政治家の方々がこの旗に食らいつくかどうか、いろいろな場所で働きかけをしています。例えば、本格的に「脱・霞が関主導」「道州制国家移行」をうたった自民党の国家戦略本部政治体制改革プロジェクトチームの議論もそうですね。奥野信亮(しんすけ)衆院議員が座長を務めて進めてきた活動です。

道州制導入で地方公務員や国会議員は3分の1、省庁は6つに

写真1

高橋洋一(たかはし・よういち)氏

1955年東京都生まれ。東京大学理学部数学科、経済学部経済学科卒業。80年大蔵省(現財務省)入省。財政金融研究所(現財務総合政策研究所)、プリンストン大学客員研究員、理財部長など経て、2003年8月に内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)に就任、郵政改革を担当する。その後、内閣参事官を経て退官、現在に至る。2007年にいわゆる「霞が関埋蔵金」を世間に広める役割を果たした。著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省!』(講談社)、『「お国の経済」』(文藝春秋)などがある

(写真:菅野 勝男)

 また、「ポスト福田」と言われている中川秀直衆院議員は、著書『官僚国家の崩壊』(講談社)の中で、道州制導入後の体制を具体的に数字で示しています。その表を見ると、道州制の導入により、地方公務員の数は3分の1、国会議員の数も3分の1、省庁は半分の6つまで減る。 国土交通省も経済産業省もいらない。省庁の役割は、みんな道州に移るのです。

 官僚の多くは、本当は、より自分の裁量の範囲が広い中央集権をやりたいのです。確かに、自民党のプロジェクトチームの描いた世界では、歳入でも国の税収より地方税収の方が、規模が大きくなって今と逆転するし、国から地方への交付税の規模も小さいから、そう思うのも仕方がない。それをどこまで我慢できるか、いいと思うかどうかということです。

 そしてここが重要なのですが、地方分権を実現するためには、消費税を年金財源に使わないことが必須となります。新聞の報道などには、年金財源に消費税の導入をせよという主張があるでしょう。しかし、消費税で年金財源を賄ったりしたら、地方分権なんてできません。

 ―― 地方分権と、公的年金制度の話は一見、別の話のように思えますが、それはどうしてですか。

 高橋 公的年金の業務は、広域にわたることもあり、ほとんど中央政府の仕事なのです。しかし、公的年金の財源に消費税を使うと、地方分権は困難になってしまうのです。

コメント5件コメント/レビュー

ピグー税としてのたばこ税については賛成です。ガソリンについていえば大都市圏ではそうあるべきでしょうけど、公共交通機関の整備されていない地方の場合には死活問題です。一概に公害を出すという理由だけで上げられるのには首をかしげます。(もちろん代替交通機関が整備されているのでしたら賛成ですけどね)(2008/07/14)

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「地方分権と消費税の
年金財源化は両立しない」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ピグー税としてのたばこ税については賛成です。ガソリンについていえば大都市圏ではそうあるべきでしょうけど、公共交通機関の整備されていない地方の場合には死活問題です。一概に公害を出すという理由だけで上げられるのには首をかしげます。(もちろん代替交通機関が整備されているのでしたら賛成ですけどね)(2008/07/14)

本題部分ではありませんが、ピグー税制にのところに共鳴しました。現下のガソリン価格騒ぎの中でガソリン税を引き上げるべきだと言っているので、私は肩身の狭い思いをしていました。公害もそうですが、有限な資源なので、代替エネルギーの開発を促進するという意味での外部経済的な意図もあるべきでしょう。「現在のガソリン価格が安すぎて消費が過度になる」ということは、とりもなおさず現在の消費者が将来世代から資源や富を奪っているということです。しかも、一部の途上国のように補助金で国内の石油製品価格を低く保っていると、消費に価格メカニズムによるブレーキがかからず、結果的に原油価格の上昇を助長することになります。消費が抑制され、代替物の開発が促される水準に石油製品価格が上昇する経路としては、現在のように原油価格が上昇するまで待つか、消費国がガソリン税等で政策的に引き上げるかという選択肢があったわけです。そして、前者となった結果、我々の所得は産油国に移転しました。後者であれば、早めに代替物の開発が進み、ついでに税収が財政赤字削減の役にたったかもしれない(道路特定財源が一般財源化されれば、ですが。わはは)わけです。(2008/07/14)

 高橋先生を最近の報道で知り、立派な人だと思っています。おっしゃることはすべてに近く賛成です。 ただし少し心配があります。それは日本の国民、民主主義がそこまで成長しているのだろうかということに不安があることです。 私は61歳の技術系大企業社員を退職した者で、社会に出て以来ずっと自民党の守旧的勢力に反対し、進歩派に投票してきました。現在の40歳位の世代が若いとき、若者の無気力保守化があり情熱や正義感の無さに失望し、最近やっと既得権の保守に批判が強くなったように、時代が変わろうとしているように思います。 宮崎の東国原さんを革新の意味で応援して来ましたが、彼の道路財源の確保の思想はがっかりです。 民主主義は衆愚政治といわれる面は避けられませんし、すこしなら試行錯誤はするべきと思いますが、東洋人には賢い政治的行動ができるのか不安があります。 賢い層は自分たちの権益を守ってずるく立ち回るのが、彼らには正解です。 先生のような賢い人が、自分たちだけでなく、世のために行動されることを支持します。(2008/07/14)

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