「技あり中小企業が続々誕生!」

測定の分野で“世界トップ”〜「最高」の称号を得た浜松の部品メーカー

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2008年7月11日(金)

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浅沼社長

3次元測定機の測定が正確かどうかを検査する装置を開発した浅沼技研の浅沼進社長(写真:上野英和、以下同)

 静岡県のJR浜松駅からタクシーで約20分。航空自衛隊浜松基地の西側に広がる畑の只中に、白い長方形の建物がひっそりと佇んでいた。浅沼技研(静岡県浜松市)の本社兼工場だ。同社はここで、主に自動車のエンジンや産業機械などの試作品に使う部品を製造している。

 ありふれた工場の外観からは、この会社が海外で「最高」とお墨付きを得た“実力”の持ち主であることはうかがい知れないだろう。同社は2003年、米国標準技術研究所(NIST)から「NVLAP(ナブラップ)」という最高位の認定を受けた。

 認定の対象となったのは、一般には馴染みのない特殊な装置だ。様々な部品の加工精度をマイクロメートル(マイクロは100万分の1)単位で測る3次元測定機。この機械が正確かどうかを簡易に調べる装置である。いわば、モノサシのモノサシだ。

 「3次元測定の分野で、NVLAPの認定を受けているのは国内では当社だけ。世界でも3社しかない」と浅沼進社長は胸を張る。2005年には、経済産業省などが主催する「ものづくり日本大賞」の特別賞も受賞した。

取引先との口論が開発の発端

3次元測定機の精度を確認しているところ。写真中央の円柱形の装置が精度を検査する「クオリティーマスター」

 3次元測定機の精度を測る装置の名称は「クオリティーマスター」。文字通り、ユーザーに品質の達人になってもらいたいとの思いからつけた名前だ。鋳鉄でできたこの装置は独特の形状をしている。円柱形の装置の上面と側面にいくつもの穴が開いているのだ。

 穴の数は計12個。実はこの穴の直径や深さ、そして2つの穴の距離を3次元測定機で測ることによって、測定が正確かどうかを調べる。測定したデータは、専用のソフトウエアでリアルタイムに解析して、結果をグラフ化する。

 検査に要する時間は約20分。「従来の装置では、3次元測定機の精度を調べるのに半日ぐらいかかった。そのため、年に1回といった頻度で検査することが多かった。20分しかかからない当社の装置を使えば、毎日でも検査できる」と浅沼社長は語る。

 試作品向けの部品の製造を主力とする同社がなぜ、このような装置を開発したのか。事の発端は取引先からのクレームにあった。もう20年以上も前のことだ。ある自動車メーカーに試作品の部品を納入したところ、相手の担当者から「寸法がずれている」と指摘されたのである。

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著者プロフィール

中野目 純一(なかのめ・じゅんいち)

日経ビジネス記者。日経アーキテクチュア、日経コンストラクション、日経ビズテックの記者を経て、2005年12月日経ビジネス記者。2012年4月から現職。



このコラムについて

技あり中小企業が続々誕生!

バブル経済崩壊後の長く暗いトンネルを抜けて、大企業の財務体質や収益基盤は大きく改善し、過去最高益を稼ぎ出す企業が増えている。一方で、しわ寄せが中小企業に来ているのも事実。大幅なコストダウンを要求されたり、中国などへ製造拠点のシフトで取引を減らされたりしているからだ。しかし、そんな悪環境の中でもたくましく成長している中小企業がある。小ぶりな企業の特徴を生かして時代の変化を先取りし、創造的な新規事業を生み出しているのだ。そういう元気な企業をシリーズで取り上げていく。

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