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日本経済の再生~ポール・サミュエルソン(米マサチューセッツ工科大学 名誉教授)

成長し続ける道はある 日本よ、自信を取り戻せ

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2008年7月11日(金)

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サブプライム問題による金融の混乱に原材料価格の高騰──。
様々な不安要因が重なり、世界経済の行方は混迷を深めている。
そんな中、少子高齢化に直面する日本では将来への懸念が強い。
だが、ノーベル賞経済学者であるサミュエルソン名誉教授は
「日本経済には成長の方策がまだある」と悲観論を一蹴する。
“日本流”の欠陥を改め、輸出から内需主導の成長へ舵を切る。
さらに高齢者や女性を活用し、労働力の減少に対応せよ、と語る。

ポール・サミュエルソン名誉教授

ポール・サミュエルソン
1915年生まれ。米シカゴ大学卒業後、米ハーバード大学大学院に学び、41年博士号取得。米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授などを経て現在は同名誉教授。米民主党の理論的支柱の1人で、数学を駆使して体系化した価格理論とケインズ経済学を合体した「新古典派総合」と呼ばれる理論は長く近代経済学の主流を占めた。48年に出版した『経済学』は経済学の教科書として日本人にも馴染み深い。70年ノーベル経済学賞受賞。

 1990年代初頭にバブル経済が崩壊した後、日本は「失われた10年」と呼ばれる長期の不況に陥りました。長いトンネルから抜け出して自信を取り戻したかと思いきや、日本ではまたぞろ将来への悲観的な見方が広がっているようですね。

 確かに世界経済を取り巻く環境は厳しさを増しています。サブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)の焦げつきに端を発した金融市場の混乱はまだ収まっていません。原油価格が1バレル当たり100ドルを超えるなど原材料価格の高騰も続いています。

 こうした不安要因が重なり合って、世界経済の先行きには暗雲が立ち込めている。少子高齢化に伴って労働人口が減少に転じた日本で、将来に対する懸念が強まるのも無理はないのかもしれません。

 ですが、私は日本が将来に対してそれほど悲観的になる必要はないと思います。なぜなら、こうした困難な状況を打開してより豊かな国になる方策が日本にはいくつも残されているからです。

 とはいえ、日本の目の前に難題が立ちはだかっているのもまた事実です。例えば、中国やインドといった新興国が台頭し、これまでの日本の強みが失われつつある。それらの新興国が日本の成長モデルを取り入れて力をつけてきたからです。

 日本は戦後、奇跡的な急成長を遂げて、ついには米国に次ぐ世界第2位の経済大国になりました。その急成長の原動力は何だったのでしょうか。それは、日本が明治維新以来、一貫して注力してきた西洋の模倣です。

 米国で開発された製品を模倣して改良し、高品質で価格の低い製品を生産し販売する。それによって製品の輸出を増やし、自動車をはじめ多くの産業で覇権を米国から奪っていきました。

 これと同じことを今、中国やインドが日本に仕掛けているわけです。既に中国は購買力平価ベースのGDP(国内総生産)で日本を上回り、世界第2位に躍り出ています。いずれは米国をも追い抜いて世界最大の経済大国になる可能性もある。

 日本はこれまで西洋の模倣者として成功を収めてきましたが、新興国の台頭によって模倣者であり続けることはもはやできない。では、どうすべきなのでしょうか。

 研究開発に注力して独創的な製品やサービスを生み出すことです。既に日本から独創的なものは生まれ始めています。例えば、生物学の分野でこれまで行われたクローニングのうち最も重要なものは、恐らく日本の科学者の手によるものだと私は見ています。

日本流の欠陥を是正せよ

 長い不況の中では、日本独自の慣行や経営手法の欠陥も明らかになりました。そうした問題点を是正することも必要でしょう。

 例えば、日本人の貯蓄率は他国に比べて著しく高い。このこと自体は良いことですが、問題は貯蓄した資産の運用が上手ではないことです。日本銀行のゼロ金利政策によって、銀行預金の金利がゼロ近くまで下がったにもかかわらず、多くの人が預金を続けました。

 他方、外国人は金利の低い円で借り入れた資金を海外で運用して利ざやを稼いでいます。なぜ日本人もそうしないのか。私には不思議でなりません。

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コメント12件コメント/レビュー

彼の言われた中にはかねがね私が声を大にして周りの人に主張していたものがある。1.徒な労働人口を海外から入れること2.欧州の小国(人口の面で)どうマネージしているかを  勉強する事3.いかなる形態でも雇用の機会を増やし失業率を下げる  事は全員正社員になる夢をもつより重要である。以上ですが大先生も経験、その他から主張されているので安心しました。(2008/07/15)

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いただいたコメント

彼の言われた中にはかねがね私が声を大にして周りの人に主張していたものがある。1.徒な労働人口を海外から入れること2.欧州の小国(人口の面で)どうマネージしているかを  勉強する事3.いかなる形態でも雇用の機会を増やし失業率を下げる  事は全員正社員になる夢をもつより重要である。以上ですが大先生も経験、その他から主張されているので安心しました。(2008/07/15)

「日本は主要な働き手である男性が、仕事が終わった後も家族を置き去りにして同僚と飲み歩くおかしな国です」というが、家に帰った夫が妻を殴るアメリカのような国よりはずっといいと思う。(2008/07/13)

1日遅れで読みましたが、高名な経済学者に対して反論あり、怒りあり、何か安心しました。財政出動も何か懐かしい言葉です。緊縮財政財政再建ばかり耳にたこができるほど聞いてきたせいでしょう。民主党の小沢代表も財政出動のようなことを言っていました。本当に大丈夫かな、と言うのが庶民の感覚でしょう。これを経済学的に保障してくれたら嬉しかったのですが。あえて私論をいます。日本の経済再建は簡単です。この記事のように元気な高齢者によい職を準備すること。後期高齢者などと言わずに、高齢者に安心した社会を保障すること。そうすれば、高齢者が無理な貯蓄をしないで済み、団塊の世代の膨大な退職金が消費に回され、それだけで経済は活性化します。国家がけちけちせずにしっかりした安心社会を作ると宣言すればいいのです。それらの金は環境技術立国に使い、我が国で環境理想社会を作り、政治的な強力な説得とともに、世界にエコ技術と設備を売りまくればよいのです。賢明なる読者は詳細を書かなくても理解されるでしょう。nandemoya(2008/07/12)

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三品 和広 神戸大学教授