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日中新時代、政治が機能する基盤とは

政治がもたらす閉塞感の打破に動く
言論NPO 工藤泰志代表に聞く

2008年8月3日(日)

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 一過性の話題に終わりがちなマニフェスト(政権公約)の継続的な評価に挑む言論NPO。日本に真の政策論争を根づかせたいという思いから、東洋経済新報社出身の工藤泰志氏が2001年に立ち上げたNPO(非営利組織)だ。

 そのNPOの代表である工藤氏がことさら危機感を募らせていることがある。世界における日本の存在感が、この10年間でとみに薄れていることだ。「政治が本来の機能を果たしていないことが、その最たる原因」(工藤氏)。マニフェストの評価を、工藤氏率いる言論NPOが愚直に続ける背景には、こうした思いがある。

 その工藤氏が今、最も力を入れているのが、2005年から始めた日中間の民間対話、「東京-北京フォーラム」だ。今年は9月に4回目のフォーラムを東京で開催する。この活動を始めたきっかけも、小泉純一郎政権時代、両国の関係で政治不在に陥ったことが原因で、日中関係を悪化させる様々な問題が表面化したことにある。

 中国の台頭、民族・宗教原理主義の広がり、資源争奪の激化と、大きく変化する世界情勢の中で、日本がその存在感を示していくためには、政治は何をすべきなのか。工藤氏に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス オンライン副編集長 真弓 重孝)


 ―― まもなく始まる北京オリンピックで、世間の関心は否が応でも中国に向かいます。日中関係は2006年10月に当時の安倍晋三首相の訪中以降、政治的な対話は進んでいますが、国民レベルでの相互理解はオリンピックなどをきっかけに進むでしょうか。

 工藤 進むことを期待したいですね。というのも、基礎は十分でないからです。両国の有識者も含めた国民レベルの意識調査を実施したところ、両国民が相互に信頼し合う段階までには至っておらず、様々な意識の食い違いが存在しています。たしかに政府間の関係は安倍訪中以降、改善しています。しかし、何かがきっかけで悪化に転じる可能性は、否定できません。

工藤泰志(くどう・やすし)氏

工藤泰志(くどう・やすし)氏
言論NPO代表

1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程修了後、東洋経済新報社入社。「金融ビジネス」編集長、「論争 東洋経済」編集長などを経て、2001年11月に言論NPO創設。主な著書に『図解 「土地神話」のゆくえ』(東洋経済新報社)がある

(写真:菅野 勝男)

 我々言論NPOは、2005年から毎年、日中の一般市民などを対象にした世論調査「日中共同世論調査」を実施してきました。調査を行う主体は、日本側は言論NPO、中国側は4大メディアの1つで英字紙のチャイナデイリー(中国日報社)と北京大学の3者です。

 調査は、両国の世論調査と、日本では有識者調査、中国では北京大学や精華大学などの大学生調査の4種類の調査を実施しています。言論NPOはこれまでの3年間の結果を『中国人の日本人観・日本人の中国人観』として出版しています。調査の実施概要や詳しい結果はそれをご覧になっていただきたいのですが、この調査から浮かび上がったのは、両国民の草の根レベルの交流はまだこれからの段階ということです。

 例えば、両国民にそれぞれ相手国を訪問した経験を聞いたところ、訪問したことがあると答えたのは、2007年の調査では日本人は13.5%、中国人は1.1%にとどまっています。相手国の知り合いの有無についての問いでは、日本人の84.3%、中国人の92.4%が「知り合いはいない」と答えています。

 こうした事情もあってか、相手国の情報を入手する手段について聞いてみたところ、両国民とも「自国のニュースメディア」がトップで、日本人の2位は「自国のドラマ・情報番組など」で、中国人の2位は「自国の書籍・教科書」になっています。

 両国民の相手国に対するイメージは、自分の目や耳で直接確かめたことに基づくものではなく、ほとんどが間接的な情報から作り上げられているのです。調査では、両国民とも相手国の情報を入手するメディアとしてテレビが8割を上下する状況で、ネットを含めて他のメディアを圧倒しています。

出発点は中国人との「本気のケンカ」

中国人の日本人観・日本人の中国人観

 ―― とすると、両国民が相互に信頼し合う関係を築くには、現時点ではマスメディアが非常に重要な役割を担っていることになります。

 工藤 この日中共同世論調査を始めたのは、私がある中国のマスコミ関係者と“喧嘩”したことがきっかけなのです。その人物は張平さん。張さんはこの調査の中国側のパートナーであるチャイナデイリーで、インターネット部門のトップを務めている人です。

 チャイナデイリーのインターネット版は英字のウエブサイトで、アクセス数は当時でも1日に800万、今では1100万になる巨大なインターネットメディアです。その影響力は中国にとどまりません。アクセス数の半分が、米国からと言われています。

コメント3件コメント/レビュー

テレビや新聞で表に出る話では、中国人は自分の政府を非難するような発言は出来ない。常に中国第一を基本として主張を展開している。従って、中国人の本音は表には出てこないのではないか。日本人も同様な主張をする人も居るが、逆に日本人という意識がないような主張も多く、自由に発言している。外国に対してある程度の基本的な主張の合意はあってよいと思うが、外に対してもばらばらである。お互いに困ったものです。一般の中国人との雑談が一番本音が出るようだ。(2008/08/04)

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「日中新時代、政治が機能する基盤とは」の著者

広野 彩子

広野 彩子(ひろの・あやこ)

日本経済新聞社NAR編集部次長

朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

テレビや新聞で表に出る話では、中国人は自分の政府を非難するような発言は出来ない。常に中国第一を基本として主張を展開している。従って、中国人の本音は表には出てこないのではないか。日本人も同様な主張をする人も居るが、逆に日本人という意識がないような主張も多く、自由に発言している。外国に対してある程度の基本的な主張の合意はあってよいと思うが、外に対してもばらばらである。お互いに困ったものです。一般の中国人との雑談が一番本音が出るようだ。(2008/08/04)

「日本側の結果を見ると、一般国民は、中国に対する印象はまだそれほど良くないと思っています」この分析はダメでしょう。中国に対する印象はどんどん悪化しています。そして、おそらく良くなることは絶望的です。(2008/08/04)

十数年前、ツアーで数日間、中国を旅行したことがありますが、現地ガイドと運転手付きで、観光客用の場所や店ばかりを、点と点を結ぶように連れ回されただけ、という感じでした。土産物屋では、日本人は「いいカモ」で、日本語をしゃべる店員の愛想は最上級だが、いったいどれくらいぼったくられているのやら…という印象しか残らず、「やっぱり安易に中国人の見かけの愛想の良さや、言葉を全面的に信用するのは危険だ」という思いが今でも拭いきれません。外交は「遠交近攻」が基本だと言われます。相互利益の道を開きつつも、最悪の事態だけは回避できるよう、日本人は精神的にも「物理的」にも、細心の注意を払っておく必要があると思います。(2008/08/04)

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